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エビデンスから理解する「ダイバーシティ(多様性)マネジメント」の重要性



ダイバーシティマネジメントについて学ぶことは、
企業の成功に欠かせない重要な要素といわれています。

それは、多様性を尊重する職場づくりによって、
創造性やイノベーションの促進、社員のエンゲージメント向上、
企業の社会的責任の積極的推進、グローバルビジネスの強化といった、
さまざまなメリットが見込まれるとされるからです。


とはいえ、実際にどのようなメリットがあるのか、
社内理解推進のためのエビデンスが欲しいと思われる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、
「ダイバーシティマネジメントの重要性についてのエビデンス」
をテーマとして取り上げてみたいと思います。


目次[非表示]

  1. 1.ダイバーシティマネジメントとは
  2. 2.ダイバーシティマネジメントが注目される背景
    1. 2.1.少子高齢化による人手不足
    2. 2.2.労働者の意識変化
    3. 2.3.日本の競争力低下
  3. 3.エビデンスで理解する!ダイバーシティマネジメントのメリット
    1. 3.1.多様性による創造性とイノベーションの促進
      1. 3.1.1.マッキンゼーによる「ダイバーシティによる成果調査」(2018)
      2. 3.1.2.リー・フレミングの特許調査
      3. 3.1.3.ボストン・コンサルティング・グループの調査
      4. 3.1.4.競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の 在り方に関する検討会
    2. 3.2.社員のエンゲージメントの向上
      1. 3.2.1.ダイバーシティとワークエンゲージメントの関係性研究
    3. 3.3.社会的責任の推進による企業イメージの向上
      1. 3.3.1.『Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査』
      2. 3.3.2.ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ
  4. 4.3つの切り口から解説!ダイバーシティマネジメント実践事例
    1. 4.1.制度づくり
    2. 4.2.採用
    3. 4.3.育成
  5. 5.ダイバーシティマネジメントの推進ならエナジースイッチのカスタムメイド研修
    1. 5.1.部下の性質の違いによるアプローチ
    2. 5.2.切り口の違いによるアプローチ
  6. 6.まとめ

ダイバーシティマネジメントとは

まず、ダイバーシティについてです。

アメリカ大学協会によると、ダイバーシティとは、
「個人の違い(例:人格、これまでの知識、人生経験)と、
集団や社会の違い(例:人種や民族、階級、性別、性的指向、出身国、および能力、
ならびに文化、政治、宗教等の団体への所属)である。」

出典:「グローバルな視点と洞察ダイバーシティとインクルージョンが組織体に与える 影響の把握」内部監査人協会(IIA)訳者:堺咲子
 
としています。
(ここには「障がい」は明示されていませんが、当然に含まれると解釈してよいでしょう。)

その上で、ダイバーシティマネジメントは、
「多様な背景を持つ社員が組織内で共存・尊重し合い、
個々の能力を引き出す環境を築くための取り組み」といった定義が考えられます。


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ダイバーシティマネジメントが注目される背景

ダイバーシティマネジメントが注目される背景には、以下の3つが挙げられます。
 
①少子高齢化による人手不足
②労働者の意識変化
③日本の競争力低下

少子高齢化による人手不足

日本では年々少子高齢化が加速しています。

総務省によると、15歳から64歳までの生産年齢人口は、
1995年をピークに減少を続け、2021年には約7,450万人となり、
2050年には約5,275万人にまで減少するといわれています。
 
こうした社会情勢を背景に、優秀な人材や若手人材の確保に苦戦する企業が増えています。
 
そんななか、安定して人材を確保するために、
ダイバーシティマネジメントが重要だと考えられています。

労働者の意識変化

労働者の意識も変わってきています。

女性活躍が進んだことなどによって、ライフワークバランスへの意識が高まり、
プライベートと仕事の両立ができるようなバランスが重要視されるようになりました。
 
副業やリモートワークなども広がっており、
ダイバーシティマネジメントを進めることで自社の社員が
サスティナブルに働ける環境を整備することが求められるようになっています。


日本の競争力低下

日本の国際的な競争力がどんどん低下していることは、
当たり前に認知されるようになりました。

そんななか競争力を強化するためには、海外市場でも活躍できるグローバル人材をはじめ、
多様な人材に力を発揮してもらう必要があります。
 
自社で働く多様な人材を活躍させるためには、
ダイバーシティマネジメントは欠かせません。


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エビデンスで理解する!ダイバーシティマネジメントのメリット

ダイバーバーシティマネジメントを進めることにより、
企業には以下のようなメリットがあるとされています。
 
①  多様性による創造性とイノベーションの促進
②  社員のエンゲージメントの向上
③  社会的責任の推進による企業イメージの向上
④  グローバルビジネスの強化

 
この①~④のうち、④については「異なる人種や国籍、宗教、文化背景」を持った人材が
増えれば、自然と強化されるものであることについて、あまり異論はないかと思います。

ですので、ここでは①~③の3つのメリットについて、
それぞれエビデンスを提示していきたいと思います。

多様性による創造性とイノベーションの促進

ダイバーシティマネジメントの取り組みにより、
多様な視点や経験が集まることで、創造性とイノベーションが促進される。

こういったメリットを裏付ける研究や事例には、どのようなものがあるのでしょうか。

マッキンゼーによる「ダイバーシティによる成果調査」(2018)

グローバルコンサルティング企業「マッキンゼー」が2018年に実施した、
「ダイバーシティによる成果」調査では、
「どのようなダイバーシティ施策が組織の収益性に影響を与えるか」について、
様々な観点から検討され、次のような結果が公表されています。
 

①経営陣の性別のダイバーシティが上位4分の1の企業は、(下位4分の1の企業に比べて)
収益性が上回る可能性は21%高く、優れた価値を創造する可能性は27%高かった。

②経営陣の民族や文化のダイバーシティが上位4分の1の企業は、
(下位4分の1の企業に比べて)業界トップの収益性を達成する可能性が33%高かった。

③経営陣の性別と民族や文化のダイバーシティの両方が下位4分の1にある企業は、
マッキンゼー・アンド・カンパニーがデータを持つ他の全企業よりも
平均を超える収益性を達成する可能性が29%低かった。

出典:「グローバルな視点と洞察ダイバーシティとインクルージョンが組織体に 与える影響の把握」内部監査人協会(IIA)訳者:堺咲子


リー・フレミングの特許調査

リー・フレミング(2004)らは17,000件以上の特許を調査し、
それらを「イノベーションの価値」と「メンバーの専門領域の類似性」
についての2軸にとったグラフを作成しました。

それによると、ブレイクスルーを興すような
「異常に価値の高いイノベーション」は、非常にまれではあるものの、
メンバーの多様性が高いことによって創造される可能性が高いことを指摘しています。

出典:Perfecting Cross-Pollination, Lee Fleming

ボストン・コンサルティング・グループの調査

さらに、ボストン・コンサルティン・ググループ(BCG)は、
経営チームの多様性と全体的なイノベーションの間に強力で統計的に有意な相関関係があり、
経営陣の多様性が平均以上であると報告した企業は、
リーダーの多様性が平均を下回る企業よりもイノベーション収益が
19 ポイント高かったと報告しました。

出典:「経営層の多様性はイノベーションにどう影響するか?」©ボストン・コンサルティング・グループ

競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の 在り方に関する検討会

経済産業省は、競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の
在り方に関する検討会において
「ジェンダーの多様性および文化面の多様性を含む企業は、それぞれ7%と15%ほど高い
確率で、業種平均よりもすぐれた業績を達成する傾向が見られる。」
とマッキンゼーの調査を引用紹介しています。


出典:「ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ」経済産業省
 
これらは、ダイバーシティが創造性とイノベーションを促進することに対する
エビデンスといえるでしょう。

これらの研究結果を踏まえて、企業が多様な人材を活用することで、
競争力を高め、より持続的な成長を遂げることが期待できるという、
組織のダイバーシティマネジメントに対する重要性を
企業風土にしていくことができるのではないでしょうか。


社員のエンゲージメントの向上

次に、多様性がエンゲージメント向上に寄与するという主張について、
実際の調査結果や研究を見ていきます。

ダイバーシティとワークエンゲージメントの関係性研究

慶應義塾大学とバリュエンスホールディングス社の
「ダイバーシティとワークエンゲージメントの関係性研究」でも、
「ダイバーシティ項目(「組織的支援」「相違を受け入れる組織風土」「心理的安全性」
「伴走型リーダーシップ」「インクルージョンリーダーシップ」)が
従業員の「ワークエンゲージメント」と相関関係にある」と結論付けています。

出典:「ダイバーシティとワークエンゲージメントの関係性研究」慶應義塾大学及びバリュエンスホールディングス社

社会的責任の推進による企業イメージの向上

最後に、ダイバーシティマネジメントの取り組みは、顧客や株主、投資家に対して
企業の社会的責任を示すポジティブな影響を与えるという主張です。

『Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査』

ダイバーシティマネジメントによる企業イメージへのポジティブな影響調査としては、
株式会社RASHISA(本社:東京北区、代表取締役:岡本翔)が実施した、
『Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査』があります。


①D&Iに積極的な企業に対して「働きたいと思う」「好感を持てる」と回答したのは94.6%で、
大多数がポジティブな印象を抱くことがわかった。

②D&Iに消極的な企業に対して「働きたくないと思う」「好感を持てない」と回答したのは
54.6%で、過半数がネガティブな印象を抱くことがわかった。

③希望の職種・業界であれば、年収が50万円下がったとしても、68.7%が
「D&Iに積極的に取り組んでいる企業で働きたい」と回答した。


出典:『Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査』株式会社RASHISA

これは、18歳〜24歳(Z世代)のダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)
に対する意識や、就職や働き方に関する価値観を知ることを目的としたものですが、
非常に顕著な数字が出ており、特に新卒・第二新卒採用を強化したい企業にとって
重要ではないでしょうか。

ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ

その他、経済産業省の調査でも、「多様性の受容によって得られた恩恵」の第3位に
「ブランド力や評判の強化」がランクインしています。

出典:「ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ」経済産業省

これらのエビデンスから分かるように、多様性を重視する企業は、
多様な顧客層へのアピールが可能であると同時に、企業の社会的責任への取り組みや、
従業員の満足度向上などに取り組んでいる姿勢を示すことになり、
企業イメージの向上にポジティブな影響を与えることが示されています。


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3つの切り口から解説!ダイバーシティマネジメント実践事例

ここからは、ダイバーシティマネジメントを推進するために人事ができることとして、
ダイバーシティマネジメントの実践事例を、
①制度づくり、②採用、③育成の3つの切り口で簡単にご紹介します。

制度づくり

制度づくりには、
・ライフワークバランスを実現できる多様な働き方の実現
・障がい者やLGBTQ、他宗教の方など、
 日本ではマイノリティとされる方が働きやすい環境づくり
・シニア社員が活躍できる環境づくり
などが挙げられます。
 
具体的には下記のような施策が効果的と考えられます。

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・時間単位で取得できる休暇の整備
・フレックスタイム制度
・在宅勤務制度
・育児休業制度(女性だけでなく男性育休の取得推進等)
・トランスジェンダーの方に配慮した休暇(ホルモン治療休暇等)
・定年制度撤廃
・宗教的慣習に配慮した施設(祈祷室(礼拝室))の設置
・職場のバリアフリー化


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採用

採用を見直すことでダイバーシティマネジメントを推進する事例もあります。
 
こちらも、制度づくり同じく効果的と考えられる施策例をご紹介します。

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・職務別の採用(ジョブ型雇用)
・一度退職した方に対するリターン制度
・外国籍社員など多様な人材の採用
・中途採用を増やす

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育成

異なる背景をもった人材を活躍させるために、研修を充実させる企業も増えています。

ダイバーシティマネジメントを推進するための研修は、
個社ごとに社風や事情が大きく異なるため、
フルカスタマイズで設計してもらえる研修がおすすめです。
 
ダイバーシティマネジメントを推進することに対する理解の促進や、
必要なスキルの強化、チームビルディングなど、そのときの企業の課題に合わせて
継続して研修をおこない、新たな企業文化を根付かせることが必要です。

ダイバーシティマネジメントの推進ならエナジースイッチのカスタムメイド研修

エナジースイッチは、研修成功の2大要因である
「研修プログラム」と「トレーナー」の両方を、フルスクラッチでゼロから提案している、
業界でも非常に珍しい研修会社です。

以下より、エナジースイッチの会社案内資料をご覧いただけます。



エナジースイッチが創業以来15年以上、力を入れているのが、
ダイバーシティ関連の研修です。
 
ダイバーシティマネジメントを推進する研修には、
・部下の性質の違いによるアプローチ
・切り口の違いによるアプローチ
の2種類があります。

部下の性質の違いによるアプローチ

部下の性質には、たとえば、
・育児期男性
・女性リーダー候補
・女性部下
・Z世代の若手
・年上部下やシニア社員
・LGBTQ
・障がい者
・外国籍社員
などが挙げられます。
 
ここでは、女性リーダー候補、女性部下、シニア社員に向けて実際に実施した
研修事例をご紹介します。
 
■女性管理職が少ない部門で女性管理職を増やそうと実施した研修事例
https://energyswitch-inc.com/solution/custom/003
 
■一般職から総合職に転換した女性部下のポータブルスキルを高める研修事例
https://energyswitch-inc.com/solution/custom/086
 
■会社にぶら下がる意識が強いシニア社員のやる気を再点火する研修事例
https://energyswitch-inc.com/solution/custom/063

切り口の違いによるアプローチ

ダイバーシティマネジメントを推進する切り口には、たとえば、
・D&I推進の意義の理解
・アンコンシャスバイアス
・世代間の理解の促進
・異文化理解
・多様な人材を巻き込むスキル
・聞き方・伝え方などのコミュニケーションスキル向上
などが挙げられます。
 
ここでは、全社員に向けたアンコンシャスバイアス研修事例と、
多様化する組織を動かすリーダーを育成する研修事例をご紹介します。
 
■男性社員と女性社員の相互理解を促進するアンコンシャスバイアス研修事例紹介
https://energyswitch-inc.com/solution/custom/108
 
■多様性を活かしシナジーを生み出すD&I時代のリーダーを育成する研修事例
https://energyswitch-inc.com/solution/custom/105
 
 
今回ご紹介した以外にも、エナジースイッチのカスタムメイド研修事例は、
以下のページで100以上ご覧いただけます。
https://energyswitch-inc.com/solution/custom


▼ダイバーシティマネジメント推進研修事例は、こちらから無料でダウンロードできます


まとめ

いかがだったでしょうか。

ダイバーシティを推進したり、職場に浸透させていくためには、
企業規模の大小にかかわらず、1人1人の理解が必要になることはいうまでもありません。

ふわっとした「イメージ」だけでは、
なかなか意識改革が進まないことも往々にしてあるかと思います。

そういったときは、このようなエビデンスも提示しながら、
理解や納得を得て進めていくという地道な取り組みが有効になるかもしれません。


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