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わかりやすい伝え方  〜本当に実践できる3つのやり方〜

皆さんにはこんな経験ありますか?

・せっかく頑張って説明したのに「なんかわかりにくい」と言われてしまった
・説明している間に、自分自身でも何を言いたいのかわからなくなってしまった
・前提から丁寧に説明したのに「結論だけ言って」と言われた

指示された作業はできるけど、それを人に説明してほしいと言われると途端に困ってしまう。
そんな誰かへ説明することに苦手意識を持つ人は少なくありません。

そのような説明に対して苦手意識を持つ人のニーズを汲みとってか、
巷にはわかりやすい説明のやり方をレクチャーするセミナーや、
関連する書籍もたくさんあります。

そこではわかりやすい伝え方について、こんな感じで教えてくれています。

「要点を絞って簡潔に話しましょう」
「むずかしい言葉は使わず、誰にでもわかる言葉を使いましょう」
「たとえ話をうまく活用しましょう」
「最初に結論から話しましょう」

とてもシンプルかつ誰にでもできるような内容なので、
このやり方で実際の仕事で成果を出せる人もいます。


しかし、その一方では、こんな問題も生じています。

「要点がたくさんある時はどうしよう?」
「この言葉は誰にでもわかる言葉?」
「たとえ話を使ったら、余計に混乱させてしまった」
「結論から話したら、その理由を説明する前にわからないと言われてしまった」

ここにあげたものは一例であり、教えられたやり方の大半で、
「こんなケースの時はどうすれば良いの?」という問題があります。
そして、よくあるセミナーでは「あとは実践で慣れてください」と言われるだけで、
具体的な解決方法がわからないままで終わってしまいます。

結局、実際の仕事でうまく成果が出せずに
今も説明に対する苦手意識が拭えない人がいるのです。

今日のテーマは、「わかりやすい伝え方」です。
説明のやり方はわかっても、それがうまく実践できないという方のために、
そもそも「わかりやすい」とは何か?本当に使えるわかりやすい伝え方について、
その本質から解説します。

目次[非表示]

  1. 1.わかりやすい伝え方とは 〜「わかる」とはどんな状態?〜
  2. 2.“わかりやすさ”を意識できない理由
    1. 2.1.いちいち区別していられないから
    2. 2.2.正解か不正解かを意識してしまうから
  3. 3.“わかりやすさ”は相手によって決まる
  4. 4.わかりやすい伝え方 〜本当に実践できる3つのやり方〜
    1. 4.1.結論から話す/全体像から話す
    2. 4.2.相手が知っているたとえ話に変換する
    3. 4.3.気持ちや予測は事実とわけて話す
  5. 5.わかりやすい書き方とは 〜口頭での説明と文章の違い〜
  6. 6.わかりやすい書き方 〜書いた文章を読み易くする3つの工夫〜
    1. 6.1.文章の変わり目で改行や空白行を入れる
    2. 6.2.箇条書きを使う
    3. 6.3.文章は短く切る
  7. 7.社員にわかりやすい伝え方を習得させたいならカスタムメイド研修をご利用ください
  8. 8.エナジースイッチの“わかりやすい伝え方”研修事例

わかりやすい伝え方とは 
〜「わかる」とはどんな状態?〜

まず「わかりやすい」とはどういうことを指すのでしょうか?

これをはっきりさせないと、具体的に何をどうすれば良いかがわかりません。

この「わかりやすい」を解明するために、
その根本にある「“わかる”とはどういった状態なのか?」から解説します。


「わかる」とはどういった状態か?
結論から述べると、それは「イメージができるか?」ということです。


たとえば、誰かから説明を聞いて、その説明した内容が頭の中でイメージできる。
これが「わかった」状態です。

一方で、説明を聞いたのに、その光景がイメージできない、
これが「わからない」という状態です。

“わかりやすさ”を意識できない理由

前述のとおり、「わかる」とは、「イメージできている」ということです。

何を当たり前の話をしているのか?と思うかもしれませんが、
何がわかって何がわからないのか、これをしっかり意識しながら、
日々を送っている人はほとんどいません。

その理由は2つあります。

いちいち区別していられないから

ひとつ目の理由は、私たちの日常では、ふつうに目に映るものの中にも、
わかるものとわからないものがたくさんありすぎて、いちいち区別していられないからです。


たとえば、道を走っている車、それが車だとはわかりますが、
その中のエンジンや各部品がどう組み込まれているかまでは、
ふつうの人にはイメージできません。

カフェで隣の席で仕事をしている人、その人が仕事をしていることはわかりますが、
その人がどんな性格で、どんな仕事をしているかまではわかりません。

生活で使っている道具は、その使い方はわかっても、
それを誰がどこでどうやって作っているかまではわかりません。


このようにちょっと突き詰めれば、いくらでもわからないことがありますが、
私たちは日々それを受け流して暮らしています。

いちいち区別していたら、とても大変だからです。

そしてこの慣れのせいで、
「わかった」と「わからない」の線引きがどこにあるのかも、あいまいになっているのです。

正解か不正解かを意識してしまうから

「わかるとはイメージできること」
このあたりまえのことが意識できない理由がもうひとつあります。

それは正解か不正解かの意識です。


わたしたちは、子どものころから学校をはじめ、
さまざまな場面でたくさんのテストをしてきました。

そこではイメージできているか否かではなく、
イメージしたものが正解か不正解かだけが重要でした。

つまり、わかりやすい説明や、わかりやすいノートのまとめ方よりも、
書かれているものが正しいか、覚えているものが正しいかが重要だったのです。


この価値観のせいで、わかりやすくする工夫がおろそかになっても、
そこは気にならず、正解かどうかだけを気にするようになっていました。

最近になって、ノートのうまいまとめ方などが注目を浴びるようになってきましたが、
もし小学校で、まず間違ってでも良いから、
どうまとめればわかりやすいかを教えるようにしたら、
きっと学習力は今よりも向上すると考えています。

“わかりやすさ”は相手によって決まる

さて、「わかるとは、イメージできること」という前提が明確になれば、
自然と「わかりやすいとは、イメージしやすいこと」となります。

<ポイント>
◯:わかる  = イメージできる  ◯:わかりやすい= イメージしやすい 
×:わからない= イメージできない ×:わかりにくい= イメージしにくい


ここでひとつ質問です。
以下の文章で何を言っているのかイメージできますか?

「生命保険の保険料は、統計上の生存率(死亡率)に金利を掛けた生命年金原価と、
保険会社の維持費を掛け合わせて算出されており、
もともと保険会社がリスクを負うような金額にはならないように設定されている。」


初めて聞く言葉で意味がわからない、なぜリスクを負わないのか仕組みがわからないなど、
ほとんどの人にとって、この文章はいまいちイメージができないものだと思います。

しかし、生命保険の会社で保険数理を勉強したことがある人であれば、
これは生命保険の基本の話なのです。


ここでポイントとしたいのは、
「わかる」「わかりやすい」は、説明内容ではなく、その説明を聞く相手の
「知識」「理解力」「想像力」によって左右されてしまうということです。


たとえば、説明がとてもわかりやすいと多くの人から賞賛されている
フランス人セミナー講師がいたとします。

この人にフランス語で解説されても、わたしは絶対に理解できないでしょう。

なぜなら、その説明に対して、私のフランス語の知識が圧倒的に不足しているからです。


そして、このわかりやすいか否かは言葉だけのせいではありません。

同じ日本語で決して難しい言葉を使わずに、自分が知らなかった歴史の偉人について
説明をされている状況を想像してみてください。

そしてその説明が延々と30分続いたとします。

話が終わった後に、全体的にどんな内容だったか復唱することができますか?

話の最後の方なら覚えているかもしれませんが、前半の部分はもう覚えていられません。

また話が長いだけでなく、話の内容があっちに行ったりこっちに
行ったりと展開が激しければ、何がどの順番で起きたのかを整理することも困難です。

もちろん、記憶力の良い人、頭の中で整理することが上手な人はいます。

要は、「わかる」「わかりやすい」は、
相手の知識や、頭の中で整理したり想像したりする力、
すなわち情報を処理する能力によって決まるということです。


<ポイント>
「わかる」「わかりやすい」は、説明内容ではなく、
説明を受ける人の情報処理能力によって決まる


わかりやすい伝え方 〜本当に実践できる3つのやり方〜

説明がわかりやすいか否かが、相手によって決まるのであれば、
必然的に、説明の都度、相手の知識や理解力に応じて
そのやり方を変えないといけないことになります。

このように考えると、相手の知識や理解力なんて、そもそもわからないのだから、
わかりやすく説明することなんて、無理な話と思うかもしれません。

しかし、ここでまた想像してみてください。
あなたが説明する相手の大半は、
同じ言語で話し、同じ時代に生きてきた人ではありませんか?

これまで見てきたもの、聞いてきたもの、
全く同じものでなくても、ある程度似たような経験があるのではないでしょうか?

もしも、あなたの周りにいる人たちが、違う言葉で話し、
全く異なる経験をしてきた人たちであれば、
その人たちがイメージできるように話すことは、とても大変なことです。

しかし、それこそこの日本の会社などであれば、
大半の人がそれをイメージできる伝え方をすることは可能です。

ここからは、どんな内容の説明でも効果が出やすい、
わかりやすい伝え方について解説します。

結論から話す/全体像から話す


何かを伝える時は、結論を先に述べます、もしくは全体像から話をします。
これは話のゴールや全体像が先にわかっていれば、その内容をイメージしやすいからです。


たとえば、パズルをしている自分をイメージしてみてください。

あなたはパズルのピースをひとつずつ渡されながら、それを正しい箇所にはめていきます。

完成した時の絵を見ながらであれば、渡されたピースがどこにはまるのかがわかりますが、
完成形がわからないと、渡されたそれぞれのピースから全体がどんなものになるのか
想像しないと、どれがどこにはまるのかがわかりません。


結論や全体像がわからない話は、相手に完成形がわからないパズルをさせていると思って、
まずはどんなことを話そうとしているのかを伝えて、
相手が話の内容をイメージしやすいようにしてあげてください。


ここで誤解してはいけないのが、あくまで相手にとって話がわかりやすくなるために、
結論や全体像を述べているということです。

自分だけがわかるような言い方で、相手のイメージ作りに全く効果がなければ、
先に結論や全体像を言ったからといって意味がないということです。


なお、要点として伝えるものがいくつもある時や、
全体像を話すだけでも時間が掛かるような時は、
「重要なポイントが10個あります」とか、
「まず全体像だけを話しても5分以上かかる長い話です」というように、
これから伝えるボリューム感を先に伝えます。

次に「大きく3つのパートに分けてお話します」など、
これから伝える大量の情報を、どんな順番で話していくかなどを説明してください。

聞き手にはそれだけでも話の全体感が伝わるので、
それぞれの話のパートで集中して内容を聞く事ができます。

これはプレゼンテーションのような、
一定の時間をひとりで説明しなければならない場面でも有効な方法です。

相手が知っているたとえ話に変換する


仕事でも日常でも、相手に対して人が知らないことを説明する状況は多々あります。
ここで相手にとって未知の言葉で説明しても、当然伝わりません。

使い方がわからないのでいざマニュアルを読んでみたら、
わからない言葉のオンパレードで、
まったく理解できなかった経験をしたことがある人は少なくないと思います。

相手にとって未知のことを説明する時は、相手がイメージしやすくなるように、
相手にわかるたとえ話を使うことが有効です。


たとえば、仕事の場面で、はじめてその作業をやる人に、
そのやり方や目的を説明する機会があったとします。

相手ははじめてやることなので、重要なところも、
そうでないところも一語一句漏れなく聞き取ろうとします。

しかし、その結果、理解力のキャパオーバーを起こして、
目的や重要なところに限って、よくわからないという事態が起きます。

また、ここで独特なたとえ話をしてしまうと、
わからない話にさらにわからないたとえ話が加わるので、相手は混乱状態になります。

このような場合は、その人がこれまで経験したことがある作業にたとえて説明すると、
話がぐっとわかりやすくなります。


説明を聞く相手も、たとえ未知のものでも、これまでの仕事と同様に、
ちゃんと目的があって、注意しなければいけないポイントがあるということを認識し、
冷静に説明を聞いて理解できるようになります。

気持ちや予測は事実とわけて話す


仕事の報告では事実だけを述べる、または事実と意見は分けて報告しなさいと
教えられたことがある人もいるかもしれません。

これは事実だけを正確に捉えるという意味もありますが、
そもそもイメージしやすくするためです。

説明を受けた相手は、頭の中で聞いた話の事実や予測のそれぞれを結びつけながら、
わかろうとします。

ここでどこにも結びつかないものがあると、この部分がわからないということで、
「ここはどういう意味なの」と質問されます。

実際の仕事では、「ここからは予測ですが」とか、
「これは私の意見ですが」という話の内容の区切りになる言葉をつけるようにすると、
話を聞く人にとって情報を処理する助けになります。


これ以外にも、「結論から述べますと〜」「その理由は〜」「具体例をあげると〜」
といったように、話の内容が変わる場面で、
これから何について述べるのかを差し込むだけで、話がぐっと聞きやすくなります。

<ポイント> わかりやすい伝え方
その1:結論から話す/全体像から話す
その2:相手が知っているたとえ話に変換する
その3:気持ちや予測は事実とわけて話す


わかりやすい書き方とは 〜口頭での説明と文章の違い〜

わかりやすい書き方も、口頭で行う説明と本質は同じです。
相手の知識や理解力に応じて、いかにイメージができるように伝えることが大切です。


しかし、口頭での説明と文章での説明には、大きく異なる点があります。

それは口頭での説明は言った先から、発した言葉は消えていきますが、
書いた文章は、相手がその内容を読み取る前から存在し、
終わった後も残り続けるということです。


たとえば、手のひらくらいのスペースに、何百文字もの文章が隙間なく書かれていたら
どうでしょう?読む前からちょっと嫌な気持ちになります。

そして頑張って読み始めたとしても、途中でどこを読んでいるのか見失ったり、
大切だと思ったところを読み返そうとしても、それが
どこにあったのかわからないという状況に陥ります。


つまり、読みにくい文章、読みにくい文字の羅列は、
決してそれが無駄な内容じゃなかったとしても、
重要なポイントを埋もれさせてしまったり、
相手の理解力を妨げる要因になるということです。

<ポイント>
書いて伝える時、読み易く記述しないと、
その文字の羅列自体が相手の文章理解の妨げになる。


わかりやすい書き方 
〜書いた文章を読み易くする3つの工夫〜

相手にわかりやすくするための工夫は、相手にとってイメージし易くすることですが、
書いた文章においては、まずはそれを読み易くする工夫が必要です。

ここでは読み易くする工夫を3つ紹介します。

文章の変わり目で改行や空白行を入れる


前述でも触れたように、
記述するスペースに改行も入れずにぎっしりと文字を書く人がいます。

読み手にとってみれば、
細かい迷路をとおりながら文字をひとつずつ拾っているようなものです。

話の変わり目で改行したり、空間をあけるなどして、読みやすくする工夫が必要です。

ちなみに、このような書き方をする人ほど、文章に誤字や脱字がよくあります。

それはぎっしり書きすぎて、
書いた本人も読み返しの際にうまくチェックができていないためです。

箇条書きを使う


学校での作文の夏休みの日記で染み付いてしまったのか、
何がどうしてどうなったという文章の形のみを好み、
箇条書きにすることを躊躇する人がいます。

これも読み手からすれば、
箇条書きがあるのと無いのでは、ある方が断然わかりやすいです。

もっといえば視覚的に伝わるように、
イメージ図や表になっている方がさらに伝わりやすくなります。

イメージ図が載せられない時は、
せめて箇条書きにしてポイントを浮き立たせようとする意識が必要です。

文章は短く切る


日本語には、
だから、なぜなら、しかし、でも、そして、または、ただし
など、たくさんの接続語があります。

この接続語を多用し、とにかく長い文章を書く人がいます。

これも読み手にとっては、イメージ化を難しくさせる文章のひとつです。

その理由は単純で、接続語で文章を繋げればつなげるほど、情報量自体が多くなるので、
頭の中でイメージ化することが大変になるのです。

また、「私は歩きながら食べている人を注意した」というように、
私が歩いているのか、食べている人が歩いているのか、
どちらの意味にも取れるような表現になることがよくあります。

このようなややこしい表現にならないように、文章は短く切る癖をつけると良いです。

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