アサーティブコミュニケーションとは~意味や実践法、具体例、職場の人間関係を円滑にする伝え方、研修事例をご紹介~
ダイバーシティ&インクルージョン推進が進み、多様な属性や価値観の人と一緒に働く職場が
増えています。また、少子高齢化が進んだことで定年が延長され、これまで以上に多様な年代の人が職場にいるようにもなっています。
そこで、これまで以上に重要視されているのが、職場での円滑な人間関係構築です。
そして、そのための「アサーティブコミュニケーション」スキルが、今、注目を集めています。
アサーティブコミュニケーションを身につけることで、自分と相手を同時に大切にすることが
できるようになります。そうすると、ビジネスはもちろん、プライベートでもより良い人間関係を構築できるようになります。
今回のコラムでは、そんな「アサーティブコミュニケーション」をテーマに、その意味や伝え方、具体例、実践方法、アサーティブコミュニケーションスキルを高めるための研修事例を
ご紹介します。
目次[非表示]
- 1.アサーティブコミュニケーションとは
- 2.アサーティブコミュニケーションの必要性
- 3.ノンアサーティブなコミュニケーションとは
- 4.アサーティブコミュニケーションのメリット
- 4.1.ストレスの軽減
- 4.2.ハラスメントの防止
- 4.3.自己主張力の向上
- 4.4.組織の問題解決力の向上
- 5.コミュニケーションスタイルの種類
- 6.アサーティブコミュニケーションを実践する4つのポイント
- 7.アサーティブコミュニケーションの実践に役立つDESC法
- 7.1.Describe:事実や背景を描写する
- 7.2.Explain(またはExpress):自分の意見や感情を説明する、表現する
- 7.3.Suggest (またはSpecify):提案する、要求を明確にする
- 7.4.Choose(またはConsequence):相手の反応に対する行動を選択する
- 8.アサーティブコミュニケーションの高め方
- 8.1.傾聴のスキル
- 8.2.ロジカルコミュニケーションスキル
- 9.社員の育成ならカスタムメイド研修をご利用ください
- 10.エナジースイッチのアサーティブコミュニケーション研修事例
アサーティブコミュニケーションとは
アサーティブ(assertive)とは、「自己主張すること」という意味の言葉です。
ただし、ここでいう自己主張とは、一方的に自分の意見を伝えることではありません。
アサーティブなコミュニケーションとは、
「自分と他者の両方の考えや感情を尊重しながら自己表現をおこなう」
コミュニケーションスタイルのことです。
アサーティブコミュニケーションでは、
自分の意見や要望をはっきりと伝えますが、一方で相手に対して攻撃的ではなく、
相手の反応を尊重しながら意見を述べることが必要です。
アサーティブコミュニケーションで大切なことは、「自己主張」や「伝え方」ではなく、
相手とどのようにコミュニケーションを取るのか、深く掘り下げて考えることです。
このアサーティブコミュニケーションを身につけることで、自分自身の意見や感情を
自由に表現でき、他者とのコミュニケーションが円滑にすることができます。
アサーティブコミュニケーションの必要性
もともとアサーティブコミュニケーションは、人間関係構築が苦手な人のために、
1949年にアメリカの心理学者ジョセフ・ウォルピによって開発された
カウンセリング手法が起源だといわれています。
70年以上の歴史があるアサーティブコミュニケーションが今、あらためて注目を集めている
理由は、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が進んだからです。
ダイバーシティ&インクルージョンが進んだことで、性別はもちろん、
多様な国籍や年代の人と一緒に仕事をするようになりました。
当然、そのような“表層”的な属性の違いだけではなく、
価値観のような“深層”ダイバーシティも進んでいます。
そうした職場環境やビジネス環境のなかでは、従来の日本式の「空気を読んだ」
なんとなくのコミュニケーションは、ミスコミュニケーションを発生させてしまいます。
また、多様性を尊重しようとするあまり、過度に相手に配慮し、
自分は我慢しようとしてしまうのも、多くの日本人の特徴です。
アサーティブコミュニケーションによって、
“自分を含めた”職場の人間関係をより良いものにし、ストレスを軽減させ、
仕事をスムーズに進めることができます。
だからこそ今、アサーティブコミュニケーションが注目を集め、
自社社員に身につけてもらいたいと考える人事、教育担当者が増えているのです。
ノンアサーティブなコミュニケーションとは
ノンアサーティブとは、アサーティブの反対で「自己主張しないこと」を意味します。
つまり、自分よりも相手のことを優先、または尊重して、
自己主張しない受け身なコミュニケーションのことを、
ノンアサーティブコミュニケーションといいます。
周囲の目を気にしすぎて自己主張しないということは、
自分の意見や感情を軽んじるということです。
そうなると、不満や不安などのストレスを抱えることになります。
日本社会は集団意識が強く、「自己主張は和を乱す」と思われることがあります。
また、多くの企業では年功序列の人事制度の影響で、
上司や先輩社員に意見を言いづらい雰囲気もあります。
ですが、ダイバーシティ&インクルージョン推進による多様性は、
簡単に言うと「みんなが違う」ということです。
違いによるミスコミュニケーションを回避するためには、たとえ相手が上司や苦手な相手で
あろうとも、自分が伝えたいことをはっきりと伝えなくてはいけません。
そうしないと、
相手を優先するだけで結果的に組織として誤った判断をまねく可能性が高まります。
アサーティブコミュニケーションのメリット
アサーティブコミュニケーションを身につけることによって、
コミュニケーションを深く考え、自分も相手も大切にした会話ができるようになります。
そうすると、結果的に職場のコミュニケーションが活性化し、
チームワークが強化され、生産性の向上にもつながることが期待できます。
そんなアサーティブコミュニケーションのメリットは、
以下の4つにわけることができます。
・ストレスの軽減
・ハラスメントの防止
・自己主張力の向上
・組織の課題解決力の向上
ストレスの軽減
アサーティブコミュニケーションを身につけることで、
相手との対立や人間関係のストレスを減らすことができます。
相手を尊重することは良いことですが、一方で相手の意見ばかりを受け入れていたら過度に
ストレスが溜まる恐れがあります。自分の意見をはっきりと伝えることはミスコミュニケーションによるトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
人のストレスのほとんどが人間関係に起因するものです。
コミュニケーショントラブルが減ることは、ストレスを減らすことにつながります。
ハラスメントの防止
相手を大切にしながらコミュニケーションができることで、
ハラスメントの防止効果を期待できます。
アサーティブコミュニケーションを身につけることで、
一方的で攻撃的な、相手に嫌な思いをさせるような主張をしなくなります。
その結果、無用なハラスメントが減少します。
自己主張力の向上
自分の意見をはっきりと伝えることは、
実は相手とのコミュニケーションを円滑に進めることにつながります。
また、一方的にならないよう意見を伝えようとすることで、
言葉の表現力を高めることができます。
たとえば会議の場で意見交換をするときに、まわりくどい表現をしても誰にも伝わりません。
自分が思いついたアイデアや主張を的確に相手に伝えられると、
会話や意見交換も活発になります。
組織の問題解決力の向上
仕事はひとりでするものではなく、さまざまな関係者と一緒に取り組みます。
仕事におけるコミュニケーションは、解決したい課題を中心におこなわれます。
そこでは、特定の目標を達成するためにより効果的な行動をするためにはどうしたらいいか、
というコミュニケーションが要求されます。
アサーティブコミュニケーションを身につけることで、
的確に自分の意見を伝えることができ、
また、相手の意見を理解することができるようになります。
そうすると、仕事の進め方が改善され、組織の問題解決能力の向上につながります。
コミュニケーションスタイルの種類
アサーション・トレーニングの基礎を築いた、ウォルピとラザルスによると、
人の自己主張・自己表現方法には3種類あるとされています。
それが、「アグレッシブ」、「ノンアサーティブ」、「アサーティブ」の3種類です。
ただ、いつでもこの3種類のうちのどれかのコミュニケーションを取るというわけでは
ありません。
たとえば、緊張する場面や自分の苦手な相手に対して、
つい普段とは違うコミュニケーションスタイルになってしまうことは当たり前にあります。
ですので、そうした場面で自分が取りがちなコミュニケーションスタイルを知ることで、
あらかじめその対策を考えることができます。
そこでここからは、この3つのコミュニケーションスタイルを簡単に解説します。
アグレッシブ(攻撃的なコミュニケーション)
アグレッシブな人は、相手よりも自分を大切にします。
ですので、相手の立場や意見、感情を無視した、自分さえよければそれでいい、という
コミュニケーションを取ります。
「一方的」「押しつけ」「ひとりで話している」「自信過剰」「怒っている印象」などの
印象を与える人は、アグレッシブである可能性があります。
自分の主張を押し通そうと感情が表に出やすくもなるため、
ハラスメントにつながる危険性も大きく、注意が必要です。
ノンアサーティブ(受け身なコミュニケーション)
自分の意見を主張しようとせず、受け身に徹します。
つまり、自分よりも相手を大切にしている状態です。
「優柔不断」「自信がない」「何も言わない」「関心がない」「反応が薄い」などの
印象を与える人は、ノンアサーティブになっている可能性があります。
相手に言われたことを何でも受け入れることで不満やストレスを溜め、
メンタルダウンしてしまう危険性があります。
また、組織としても意見を言ってくれない人がいると仕事が円滑に進まなかったり、
業務改善が進まないことがあります。
アサーティブ
(相手の意見を受け入れつつ自己主張もするコミュニケーション)
相手の立場や意見、感情を尊重し、自分と異なる意見であったとしても受け入れ、
一方で、自分の意見も明確に伝えます。
アサーティブな状態とは、相手と自分を同じくらい大切にしている、という状態です。
「正直」「率直」「尊重している姿勢が伝わる」などの印象を与えます。
アサーティブなコミュニケーションができる人は、
その場や相手にあった表現を選択して話すことができ、
相手を傷つけることなく建設的な意見交換ができます。
そうすると、お互いに納得できる結論や解決策を導き出すことができます。
アサーティブコミュニケーションを実践する4つのポイント
NPO法人アサーティブジャパンの代表理事である森田汐生氏は、
アサーティブコミュニケーションを構成する4つの柱を紹介しています。
4つの柱では、アサーティブコミュニケーションを“スキル”であると同時に、
“心の持ちよう”とも考えています。
ここからは、その4つの柱について紹介します。
誠実
アサーティブコミュニケーションをおこなうときには、
自分にも相手にも誠実であることが大切です。
相手と自分の両方に誠実であろうとすれば、それは態度と言葉遣いに自然にあらわれます。
そうすれば、一方的で攻撃的な言動になったり、
逆に自分を過度に抑えた受け身な言動になることを防止することができます。
率直
アサーティブコミュニケーションでは、
遠回しな言い方をせず、相手に伝わる表現で率直に自分の意見を伝えます。
そのときに大事なことは、主語を「私」にして、I(アイ)・メッセージで伝えることです。
「〇〇さんが言っていた」「みんなこう言っている」のように主語を第三者にしてしまうと、
自分の意見が正しく伝わりません。
「自分はこう思っている」「こう考えている」と、ストレートに伝えることが大切です。
対等
相手の立場と自分の立場を比べて、どちらが上でどちらが下かを考えてしまうと、
アサーティブコミュニケーションができなくなります。
そうではなく、相手が誰であろうと対等な関係で意見交換をします。
そうすれば、無理に自分の意見を曲げたり、相手に一方的に意見を押しつけるような
コミュニケーションを防止することができます。
自己責任
自分が言ったこと、言わなかったことでおこった結果に対する責任は、
自分が引き受けるというマインドを持つことが大切です。
「自分はあの時こう思っていた」のような後出しの言い訳をしないことで、
今の状況をどうやったらより良くできるか、建設的な意見交換ができるようになります。
アサーティブコミュニケーションの実践に役立つDESC法
ここまで、アサーティブコミュニケーションの概要をご紹介してきました。
では、実際にアサーティブコミュニケーションを実践するには、
どうしたらいいのでしょうか。
ここからは、アサーティブコミュニケーションに必要な表現方法を
身につけるために開発された「アサーティブ・トレーニング」から、
“DESC法”を具体例とともにご紹介します。
DESC法とは、以下の4つの段階にわけて伝えることで
相手を傷つけることなく自分の意見を主張する手法です。
“DESC”はその4つの段階の頭文字を取った言葉です。
・Describe:事実や背景を描写する
・Explain(またはExpress):自分の意見や感情を説明する、表現する
・Suggest (またはSpecify):提案する、要求を明確にする
・Choose(またはConsequence):相手の反応に対する行動を選択する
Describe:事実や背景を描写する
相手とのコミュニケーションをするときに、まず状況や相手の行動について述べます。
このとき、自分の感情や相手に対する評価、意見や推測を
含めないようにすることがポイントです。
あくまでも正しい情報を伝えるだけにとどめます。
たとえば、
「会議が始まって30分経ちました。意見も出てこなくなりました。」が事実情報で、
「活発に議論をする気がない人ばかりですね。」というのが意見や憶測です。
Explain(またはExpress):自分の意見や感情を説明する、表現する
次に、その状況によって自分が感じた感情や意見を表現します。
自分の感情や意見を述べることで、
その人が自分に対してどのような影響を与えたかを伝えることができます。
このとき、感情的にならないことがポイントです。
あくまでも冷静に自分の感情や意見を伝えます。
たとえば、「私もよい意見を出したいと考えていますが、
今日はこれ以上の意見を出せないように思っています。」というのが自分の意見の説明です。
一方、「誰もこの仕事を真剣に思ってくれていないと感じます。」と言うと、
感情的な言い方になる恐れがあります。
Suggest (またはSpecify):提案する、要求を明確にする
このステップでは、相手に対して何を望むのかを明確にします。
具体的には、相手に伝えた事実の解決方法や妥協案を分かりやすく相手に提案します。
ここでは、一方的に意見を押しつけないことが重要です。
相手の同意を得られるように、あくまでも提案や依頼というかたちを取ります。
たとえば、「少し考える時間がほしいので、今日の会議はここで終え、
日を改めたいと思いますが、いかがでしょうか?」というように提案・依頼をします。
ここで、「誰も意見を言ってくれないので今日の会議は終わりにします。」や
「もっとこの仕事を大切に思ってくれませんか?」と言ってしまうと、
一方的な押し付けになったり、
行動が具体的に想像できず人によってとらえ方が変わってしまいます。
Choose(またはConsequence):相手の反応に対する行動を選択する
最後に、自分が提案したことに対する相手の意見が「Yes」か「No」かによって、
それぞれのパターンで自分が取るべき行動を選択します。
自分の提案がすべて通るわけではありません。
「No」と言われたとしても、その前のステップに戻らないよう、
柔軟な対応を心がけることが大切です。
これまでの具体例でいうと、
「Yes」の場合はそのまま次の会議の日程を決めます。
「No」の場合には、
「いったん休憩をはさんだ後、切り口を変えて意見を聞かせてくれませんか?」や
「ここまで出た意見からできる行動を決めて、2週間後に振り返るのはどうでしょうか?」
など、これまでとは違った提案をします。
アサーティブコミュニケーションの高め方
アサーティブなコミュニケーションを取ることができるようになるためには、
以下の2つのスキルを高めることが有効です。
・傾聴のスキル
・ロジカルコミュニケーションスキル
傾聴のスキル
アサーティブコミュニケーションは、自己主張をすることが目的のスキルではありません。
自分と相手を同時に大切にすることで、より良い人間関係を構築することが目的です。
自分と相手を対等に考えるためには、相手の意見や感情を尊重する必要があります。
そのためには、相手の意見や感情を聞きだす“傾聴”のスキルが必要です。
また、コミュニケーション相手がアサーティブであるとも限りません。
相手も人間ですので、場合によっては攻撃的になったり、受け身になったりします。
そんなときにも、相手の本音を聞きだすことができれば、
相手も徐々にアサーティブな状態になっていきます。
▼傾聴については、以下のコラムで詳しく知っていただけます。
https://energyswitch-jp.com/column_hearing_skill_mind/
ロジカルコミュニケーションスキル
自分の意見や感情を表現するためには、分かりやすく伝える技術が必要です。
DESC法にくわえ、
・コミュニケーションの目的を伝える
・自分の話を整理し、つなげる
・非言語コミュニケーションにも気を付ける
ことができると、より効果的なコミュニケーションになります。
また、日本人はついつい受け身の態度を取ってしまいがちです。
そうしたときに、“伝わる”コミュニケーションの型を習得していると、
自分の意見や感情を表現する大きな助けとなってくれます。
▼ロジカルコミュニケーションについては、以下のコラムで詳しく知っていただけます。
https://energyswitch-inc.com/archives/column_logical-dialogue
社員の育成ならカスタムメイド研修をご利用ください
自社の社員に向けた育成プログラムの情報収集をされている方は、
ぜひエナジースイッチをご利用ください。
エナジースイッチは、研修成功の2大要因である
「研修プログラム」と「トレーナー」の両方を、フルスクラッチでゼロから提案している、
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ぜひご活用ください。
エナジースイッチのアサーティブコミュニケーション研修事例
エナジースイッチは、研修成功の2大要因である
「研修プログラム」と「トレーナー」の両方を、フルスクラッチでゼロから提案しています。
これまで提案したプログラムにひとつとして同じものはなく、
協力いただいている外部のトレーナーも450名以上と非常に豊富です。
対応しているテーマも幅広く、階層別研修やテーマ別研修、
キャリア研修などあらゆる研修に対応いたします。
ここからは、15年の実績があるカスタムメイド研修のカリキュラムのなかから、
アサーティブコミュニケーション研修事例を1つご紹介します。
管理職/メンバー向け『アサーティブコミュニケーション』研修
管理職層とメンバー層が、活発に意見交換をすることができないという課題に対して
実施した研修です。
同時期に同テーマの研修を、管理職層とメンバー層の両方に向けて実施することで、
より効果的に研修後の行動変容が生まれるように設計しました。
▼詳しいカリキュラムは以下のURLから知っていただけます。
https://energyswitch-inc.com/solution/custom/130
今回ご紹介した以外にも、
エナジースイッチのカスタムメイド研修の導入事例は、
こちらのページで多数ご紹介しております。
https://energyswitch-inc.com/solution/custom
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ぜひお気軽にご相談くださいませ!
https://energyswitch-inc.com/contact