傾聴とは? 〜ビジネスでの活用方法や具体的なやり方、トレーニングのための研修事例を解説〜
傾聴とは、
「深いレベルで、相手をよく理解し、気持ちを汲み取り、共感する」聴き方です。
傾聴ができる人は、良好な人間関係を築くことができるようになります。
傾聴は、カウンセリングやコーチングの際に活用されてきましたが、
ビジネスシーンでの活用が急速に広がっています。
そこで今回のコラムでは、
・傾聴のメリット
・傾聴のビジネスシーンでの活用方法
・傾聴で使えるテクニック
などをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.傾聴とは何か
- 2.傾聴の目的
- 3.傾聴のメリット
- 3.1.相手と信頼関係を構築しやすくなる
- 3.2.相手の自発的な行動を促す
- 3.3.自分の成長につなげられる
- 4.ビジネスで傾聴が活用される場面
- 5.傾聴の3原則
- 6.傾聴の具体的なやり方
- 6.1.目的を確認する
- 6.2.ささいなことでも感謝を伝える
- 6.3.相手の感情を汲み取る
- 6.4.聴く姿勢・態度に気を付ける
- 6.5.少しずつ相手の本音を聞き出す
- 6.6.課題を分解して協力と目標を一致させる
- 7.傾聴に必要なマインドとは
- 8.傾聴によって引き起こされる心理的安全性
- 9.エナジースイッチの傾聴力を高める研修事例
- 10.社員の傾聴力を高めたいならカスタムメイド研修をご利用ください
傾聴とは何か
傾聴とは、
「深いレベルで、相手をよく理解し、気持ちを汲み取り、共感する」聴き方です。
傾聴はコミュニケーション手法のひとつであり、習得できる技術です。
傾聴は、ただ相手の話を聞くだけではありません。
相手を受け入れる。そして、相手に共感する。
この2つがあって初めて傾聴となります。
傾聴が正しくおこなわれると、話し手側が自分自身の理解を深めることにつながり、
言動を見直すことができるといわれています。
傾聴の目的
傾聴の目的をひと言でいうと、相手を深く理解すること、といえます。
傾聴は単純に相手の言いたいことを聞いたり、意見を引き出すことではありません。
相手の話に耳を傾け、話し方や表情、しぐさなどにも注意を払い、感情を慮ることで、
相手を深く理解し、話し手自身が納得できる結論を導き出します。
ですので、傾聴には、「聞く」ではなく、「聴く」の漢字が使われています。
傾聴のメリット
傾聴のスキルを習得することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、傾聴のメリットを簡単にご紹介します。
相手と信頼関係を構築しやすくなる
傾聴をされた話し手は、
・自分に関心を持ってもらえて大切にされていることが分かり、緊張が和らいだ
・言いたいことが言える環境があることが嬉しい
・相手の言っていることも聞く気になり、これまで以上に自己理解が進んだ
などと感じます。
相手の話を傾聴することは、相手から信頼されやすくなることにつながるのです。
相手の自発的な行動を促す
傾聴によって話し手の気持ちや考えを整理していくことは、
話し手が自分で問題解決への道筋を考えることにつながります。
また、とくに仕事における相談は、本当に相手が相談したい内容ではない、
表層的なやり方などについての相談になりがちです。
相談内容の真因を深掘りすることで、根本的な問題解決につなげることもできます。
自分の成長につなげられる
相手の話を、相手の価値観や世界観に立って聞こうとすることで、
自分を客観視することができるようになります。
そうすることで、これまで以上に自分のことを理解できますし、
自分の感情に振り回されにくくもなります。
そうして得た気づきは、聞き手自身の成長につながります。
ビジネスで傾聴が活用される場面
傾聴は、もともとカウンセリングで用いられてきた技法です。
相手が悩みを話しやすいように環境を整え、
相手の表情などに気を配りながらじっくりと話を聞くことで、相手をリラックスさせます。
そうして、相手自身も納得できる解決策を一緒に導き出していくのが傾聴です。
そんな傾聴を、ビジネスで活用する最も代表的な場面が1on1です。
上司と部下とのコミュニケーションの取り方のひとつとして、
1on1の場を大切にする企業が増えています。
1on1は、ただ、評価や管理のための面談をおこなうのではなく、
部下の成長をサポートするための時間として設定されます。
1on1をうまく活用することができると、上司と部下との人間関係が信頼で結ばれ、
部下の成長を促し、組織にも良い影響を与えられます。
1on1以外でも、クライアントの課題を聞き出したり、同僚の本音を引き出すなど、
さまざまな場面で傾聴を活用することができます。
傾聴の3原則
アメリカの心理学者で、カウンセリングの基礎を築いたといわれるカール・ロジャーズ氏は、
傾聴に必要な要素として、ロジャーズの3原則を挙げています。
3つの要素とは、「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」です。
共感的理解
共感的理解は、どんな時にも話し手の立場になって会話を聞くことです。
聞き手と話し手は違う人間です。
その前提に立ち、聞き手は相手の立場に立って会話を聞きます。
共感とは、「そうだよね」と自分も相手と同じ意見であることを
表明することではありませんし、同情することでもありません。
話し手の状況を自分に置き換えて、相手の価値観や世界観を受け入れ、
相手を理解することが共感です。
無条件の肯定的関心
無条件の肯定的関心とは、会話の内容について評価するのではなく、
常に肯定的な関心を示しながら相手の話を聞くことです。
たとえば、上司が部下と意見や考え方が違ったときに、
自分の意見を言ったり、部下の間違いを指摘するのではなく、
部下がそう発言する背景に関心を寄せ、相手の発言を受け入れます。
自分の話や考え方を肯定してもらえれば、
部下も安心して話をすることができるようになりますし、
自分を肯定することで成長することもあります。
自己一致
自己一致は、聞き手が話し手の意図と自分自身の理解を一致させ、
言葉の奥にある真意を把握することです。
相手の話に分かりづらい部分があるときには、
率直に伝え、相手の真意をしっかりと確認します。
傾聴の具体的なやり方
では実際にどのように傾聴をおこなったらいいのでしょうか。
ここからは、傾聴の具体的なやり方を簡単にご紹介します。
目的を確認する
最初に会話や面談の目的をしっかり確認することで、
相手との間で認識のずれが生じることを防ぎます。
目的が分かると相手も安心します。
そうして相手が発言しやすい場を整えることで、
会話や面談をスムーズに始めることができます。
ささいなことでも感謝を伝える
感謝を伝えることは、相手に話そうという勇気を与えることにつながります。
自分の本音を話すことには少なからずエネルギーが必要です。
時間通りに面談に来てくれてありがとう、といったように、
「当たり前」と感じることであっても感謝を伝えることが、
相手から本音を引き出すことにつながります。
相手の感情を汲み取る
感情を理解してもらえると、とても話やすくなります。
たとえば、「悲しかった」「悔しかった」「心配だった」など、感情を表す言葉が出たら、
自分もその言葉を口に出して反復すると、相手は安心します。
また、相手の声のトーンやしぐさ、表情などから、今の相手の感情を汲み取り、
言葉のトーンや話すスピードを調整することも有効です。
聴く姿勢・態度に気を付ける
聞き手側の印象をより良いものにすることも重要です。
たとえば、対面であれば真正面に座るよりも
90度になるような位置に座った方が圧迫感を与えないといわれています。
また、腕組みなどはせず、やや前かがみ気味にすると、
積極的に話を聴いていることが伝わりやすくなります。
そして、体ごと相手に向けて視線も相手に向けます。
オンライン面談の場合は特に当てはまりますが、
あいづちを打ったり、大きくゆっくりうなずいたりすることも有効です。
少しずつ相手の本音を聞き出す
話を聴いて何度も出てくる言葉や、感情を表す言葉を「伝え返す」ことや、
話の先をうながすような聞き方で「それで?」などの言葉を使うことで、
相手が自分を深く考えることができるようにします。
話を要約したり、タイミングよくオープンクエスチョンをしたりすることも有効です。
沈黙する時間が続くこともありますが、沈黙を怖がらず、
次の言葉を待ちつづけることも場合によっては必要です。
傾聴は鏡をみせるようなことだともいわれます。
自分を深く考えてもらえるように誘導することが重要です。
そうして相手の本音や話したいと思っている焦点、問題の真因を明らかにしていくことで、
問題解決の糸口をみつけることができます。
課題を分解して協力と目標を一致させる
相手からの話を聴きながら、話している課題は誰の課題で、
だれが責任を引き受けるのか、という視点で観察し、
課題を分離することで自分と他者を分けて考えられるようにします。
そうすると、自分の責任の範囲での目標を自分で決めてもらえるようになります。
同時に協力できることを確認することで、よい関係を構築していきます。
傾聴に必要なマインドとは
相手に対して傾聴をすることで期待される効果は以下の3つです。
・心理的安全性の実現
・とらわれへの気づき
・自己決定によるコミット
つまり傾聴をすることで、
「なぜ相手が解決してくれないんだ」という他責の考えを自責に変えて、
主語を「私」に変え、問題解決や目標達成に向かえるようにします。
傾聴によって部下との信頼関係を築くためには、
・受容的態度
・共感的態度
・肯定的態度
が必要ですが、部下への受容や歩み寄りだけに注目すると、
自己犠牲の考えを持つようになりがちです。
そこで必要なマインドセットが「自己受容」です。
相手だけにではなく、聴き手が自分自身を受容することが大切です。
似た言葉に「自己肯定」がありますが、
こちらは自分の弱い部分を見ないようにして、
自分は今のままでいいんだと納得させるようなやり方なので、
他者に対して競合的に接しがちです。
「自己受容」は自分の欠点や弱点も含めて自分を受け入れることですので、
他者とリラックスしたよい関係を築くことができるようになります。
傾聴によって引き起こされる心理的安全性
たとえば1on1研修のように、部下との関係構築研修を設計する際に、
アドラー心理学の考えを取り入れることがあります。
アドラー心理学の考えでは、勇気づけが大切とされています。
「人の悩みは全て対人関係の悩みであり、人生で悩むのは勇気を失っているからだ」
という明確な考えがあります。
ですので、アドラー心理学を取り入れた1on1では
管理職が自分自身と部下の「勇気づけ」をおこない、
部下の自信と心理的安全性を醸成し、新たな挑戦意欲を高めることをねらいとしています。
心理的安全性とは、安心して本来の自分をさらけ出せる、というような意味です。
2012年に発表されたプロジェクト・アリストテレスというGoogle社の調査で、
「チーム生産性向上の5つの柱」が発表され、
その1つに「心理的安全性」が挙げられたことで有名になった言葉です。
自分と向き合い、自分も他者も大切に出来るようになることで、
傾聴力が高まり心理的安全性が生まれます。
心理的安全性が高い場を作り、部下からの本音を聞き出すことは、
生産性の高いチーム作りに必要不可欠です。
エナジースイッチの傾聴力を高める研修事例
エナジースイッチは、研修成功の2大要因である
「研修プログラム」と「トレーナー」の両方を、フルスクラッチでゼロから提案しています。
これまで提案したプログラムにひとつとして同じものはなく、
協力いただいている外部のトレーナーも450名以上と非常に豊富です。
対応しているテーマも幅広く、階層別研修やテーマ別研修、キャリア研修など
あらゆる研修に対応いたします。
ここからは、15年の実績があるカスタムメイド研修のカリキュラムのなかから、
傾聴力を高めることに役立つ研修事例をご紹介します。
■組織活性化のための1on1研修
傾聴が必要とされる最も分かりやすい場面が1on1です。
傾聴が大切と分かっていても、
実際にどうやっていいか分からない管理職の方は多くいらっしゃいます。
そこでこの研修では、3時間の研修を5回に分けて実施し、実践と研修を繰り返すことで、
実際に効果的な1on1ができるようになることを目指しました。
▼詳しいカリキュラムはこちらのURLから無料ですぐに知っていただけます。
https://energyswitch-inc.com/solution/custom/104
社員の傾聴力を高めたいならカスタムメイド研修をご利用ください
自社の社員に向けた育成プログラムの情報収集をされている方は、
ぜひエナジースイッチをご利用ください。
エナジースイッチは、研修成功の2大要因である
「研修プログラム」と「トレーナー」の両方を、
フルスクラッチでゼロから提案している、業界でも非常に珍しい研修会社です。
「研修をカスタマイズします」というのはどの研修会社も使っていますが、
その中身は実は会社ごとにまったく異なります。
せっかく費用をかけて研修を実施するのであれば、
自社にできる限りフィットした研修を実施していただきたいと考えています。
以下の資料に、自社に100%フィットする研修会社の選び方をまとめています。
ぜひご活用ください。