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“プレイヤーから脱却できない”リーダーにマネジメント 意識を目覚めさせる方法

管理職やチームリーダーのなかには、現場の作業メンバーの誰よりも知識があり、長年の経験に
より判断も早く、チームで作業者が不足しているときなどは先頭をきって作業をしてくれる、
メンバーにとっては神様のような存在の人がいます。

忙しいときは本当に助かる存在で、とにかく現場作業をバリバリこなしてくれます。

上の立場でいながら、メンバーと一緒になって作業に向かう姿勢や、そのプロ意識はメンバーの
誰もが見習いたいと思うほどです。しかし、そんなスーパーマンのような何でもできるリーダー
ですが、彼らの上司はそのリーダーに対して、現場の人たちと同じように良い評価をしているかと
いえば、必ずしもそうとは限りません。なぜなら、上司がそのリーダーに求めているのは、
チームメンバーと一緒になって作業をすることではないからです。

もちろん仕事について詳しく、経験を活かしてチーム全体の生産性に貢献することは、
何も悪いことではなく、評価や賞賛されるべき事柄です。

ただし、このために管理職やリーダーとしてのチームやプロジェクト全体のマネジメント業務を
後回しにしているのであれば、話は少し変わってきます。マネジメント業務の中には、その立場の人でしか進められない業務や、目先の作業よりも優先しなければいけない重要な取り組みなども
あるからです。

今回のテーマは「プレイヤー気質が抜けないリーダー」です。ついついマネジメント業務を後回しにしてしまうリーダーの傾向と、プレイヤー思考からマネジメント思考に切り替えていくために
何が必要かを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.マネジメント業務を両立できないリーダーの傾向とその原因
  2. 2.プレイヤーからマネジャーへ意識を変える必要性
  3. 3.マネジャーとしての価値観を醸成する機会
  4. 4.プレイヤーからマネジャーになるための経験が積める環境づくり~3つの具体的な取り組み~
  5. 5.プレイヤーから脱却するための研修とは

マネジメント業務を両立できないリーダーの傾向とその原因

冒頭でも述べているとおり、誰よりも業務について詳しい、作業の実行力がある、業務の説明が
上手など、現場のメンバーにとって頼りになる存在でいることは、何の問題もありません。
むしろ、このようなプレイヤーを兼ねたリーダーがいるほうが助かるという現場も多々あります。

しかし、管理職やリーダーが、現場で一人の作業メンバーとして動くことで、マネジメント業務が滞ってしまうケースもよくみられます。

ここでは、そういったマネジメント業務がうまく回っていないリーダーの傾向と、
その原因について解説します。

<傾向1>
仕事の優先順位付けが苦手で、マネジメント業務がどれも中途半端になっているリーダー


担当作業だけでなくマネジメント業務もおこないますが、仕事の優先順位付けや、
タイムマネジメントが苦手なために、マネジメント業務がいつも中途半端になっている状態です。

この傾向にある人は、マネジメント業務も自身のタスクとして認識していますが、顧客や
他の作業メンバーが関わる仕事のほうが、身近に期限が迫っていることが多く、それらを先に
片付けなくてはならない状況にあります。

その結果、マネジメント業務が途中の状態で滞り、また時間ができた時に再開というかたちで
後回しになってしまいます。仕事には、期限が近く重要度も高い仕事と、期限は先だが重要度が
高いものがあります。

そしてマネジメント業務の中には、メンバー育成や会社の中長期計画に基づいた業務など、
期限はまだ先ですが、リーダー以上の人しかできない重要な仕事があります。これらが中途半端なままだと、チーム全体の底上げや業務の改善が、なかなか実現されない状態が続きます。

<傾向2>
マネジメント業務の重要性について理解が乏しく、マネジメント業務に偏りがあるリーダー


マネジメント業務には、チーム全体が扱う案件の管理、それらを問題なく遂行していくための
リスク管理、チームメンバーの育成、品質向上や効率化を目的とした業務改善などがあります。

これら業務の目的や重要性の理解が不十分なリーダーは、特定のマネジメント業務だけに注力し、他が疎かになっている傾向があります。

たとえば、よくみられるケースでは、顧客と接点のある案件の管理には、リーダーになる前から
関わってきたため、重要性も理解しており注力します。しかし、育成や業務改善では、
リーダー自身が、その重要性にピンと来ていなかったり、現時点での必要性を感じていないため、後回しにしてしまいます。

後回しにしないように、さらに上の立場である部長や上長から、直接、指示をされる場合も
ありますが、リーダー自身が目的や背景を理解していないと、指示をされても具体的に何を
どうしたら良いのか戸惑ってしまうこともよくあります。

<傾向3>
プレイヤーとしての仕事が多すぎるため、マネジメント業務に全く手がつかないリーダー


担当作業が多すぎるため、リーダーがマネジメント業務全般にまったく手が出せない状態であり、チームとしてもリーダー不在のような状態となっているようなケースです。

リーダーになる前から担当している作業を、他の人に引き継がないまま、
リーダーになってしまった人によく見られる傾向です。

手持ち作業が一時的なものであれば、それらが完了していくと、徐々にマネジメント業務に
手をつける余裕も出てきますが、継続的な作業を担当したり、チームの体制として必ず
リーダーにも作業が割り振られるようになっていると、いつまで経ってもマネジメント業務に
手がつかない状態なってしまいます。


プレイヤーからマネジャーへ意識を変える必要性

プレイヤー思考から、マネジメント思考に変わっていくためには、これまで仕事に対して
持っていた価値観や考え方を変えていくことが必要です。

たとえば、これまでは自分自身のスキルアップや作業の結果から達成感を得ていましたが、
これからはチーム全体の生産性向上や、全体の評価に対して喜びを感じられるように
ならなければなりません。

特に今でもプレイヤーとして現場で活躍できるリーダーは、現場を仕切り、メンバーや顧客までも支配できるような存在です。自分の思い通りに進められる仕事がたくさんあるので、慣れない
マネジメント業務でストレスを抱えるより、やりやすい現場作業のほうが、当人としても嬉しい
ものです。

しかし、この状態をいつまでも続けていては、マネジャーとして成長することができず、
いつまで経っても現状を打破することができません。

個人の成果で喜びを感じるのではなく、チーム全体の成果から達成感や喜びを感じられるように
なり、いずれ現場を仕切る存在から、会社全体を仕切る存在になっていくためには、
日頃からマネジャーとしての振る舞い、マネジャーの立場で考える機会を持つことです。

こうした多くの機会、経験によって、その人のマネジャーとしての価値観が醸成されます。


マネジャーとしての価値観を醸成する機会

・マネジャーの立場で現場メンバーと接する

プレイヤー思考のリーダーは、これまでメンバーに指示を出すことはたくさんあっても、
メンバーの意見や想いを聴くという経験が不足しています。メンバーそれぞれが普段どんな事を
考えていて、何に不満を感じ、何を実現したいと思っているのか、周りの意見を受け止める立場で感じることが大切です。

これができるようになると、自分がこれまでチームに抱いていた印象とはまったく違うものが
見えるようになり、自然とマネジャーとしての考え方や振る舞いが身についていきます。


・上司や先輩マネジャーと話をする

マネジャーとしてチームや会社全体のことを考えるといっても、何をどう考えれば良いのか?
今、自分が思い描いていることはマネジャーとしての考えになっているのか?何が正解か
わからないものについて考えることは難しいものです。

そんな時にとても参考になるのが、上司や先輩マネジャーの意見や考え方について
話を聞くことです。

話すシチュエーションは何でも良く、ひとつの課題について一緒に対策を考えたり、
マネジャーとしての悩みをお互いに話すなど、マネジャー目線の意見を聞くことは、
マネジャーとしての成長にとても良い影響をもたらしてくれます。


プレイヤーからマネジャーになるための経験が積める環境づくり
~3つの具体的な取り組み~

マネジメント思考がしっかり定着するためには、その価値観を変えていく取り組みだけでなく、
マネジャーとしての基礎知識や実践からの経験も必要です。
ここでは、それらの知識や経験を積むための具体的な3つの取り組みを紹介します。


◆管理職研修などで、マネジメント業務の基本を学ぶ
プレイヤー気質が抜けないマネジャーには、マネジメント業務の基本について何も教わらない
まま、その立場になった人もたくさんいます。もちろん、それらの基本を教わらなくても先輩や
上司の振る舞いを見て、マネジメント業務をしっかりこなしている人はいます。

しかし、どれも真似をすることから始めているため、こなしているマネジメント業務のなかには
目的や本質がわからないままやっている場合もあります。
このケースに該当する人には管理職研修などがとても有効です。

マネジメント業務の目的やその効果について一から知ることで、マネジメント業務の理解が深まるだけでなく、これまでの現場経験などがマネジメント業務にも活かせるようにもなります。

◆優先順位の付け方や、タイムマネジメントスキルを身につける
特にマネジメント業務まで手が回らないという人には、仕事の優先順位の付け方や、
タイムマネジメントのスキルを身につけると良いです。

仕事の優先順位の付け方や、タイムマネジメントスキルが定着すると、マネジメント業務と
手持ち作業がバランスよくこなせるようになります。そしてそのスキルがしっかり定着すると、
今度はその考え方を応用して、チーム全体の効率についても考えられるようになります。

元々、実行力のあるリーダーであれば、チーム全体へ波及させる影響力もあるので、
すぐにチーム全体の生産性も向上します。

◆チーム全体の作業体制を見直し、マネジメント業務の時間を確保する
マネジメント業務以外で、リーダー自身に割り当てられている作業を見直します。どんな人でも
リーダーになった直後は、新たなマネジメント業務とそれまで担当していた作業が重なるため、
マネジメント業務に集中することは難しいです。

しかし、各作業がバランスよくチームメンバーに割り当てられていれば、リーダーにかかる
作業負荷も一時的であり、次第にマネジメント業務にも集中できるようになっていきます。

ところが、なかにはリーダーもひとりの作業メンバーとしてカウントされ、
リーダーにも作業メンバーと同じような作業が割り当てられているチームがあります。

もちろん、難易度の高い作業のためそれを実施できる人が少ない、退職者が出たために一時的に
要員不足の状態にあるなど、チームとしてやむを得ない理由などもあるため、リーダー自身で
作業の割り当てを決めている場合も多いです。

しかし、こんなときこそ、本当はマネジャーとして、メンバーへの教育や要員追加などを急ぎ、
早くチームの状態を健全なものにするべきで、ここでマネジメント業務を後回しにして目の前の
作業を優先すると、この状態はいつまで経っても改善しません。

リーダー本人としては、自分自身がマネジャーと作業メンバーの2役をこなして、誰よりも
頑張ろうとしているのですが、その頑張りの結果、チーム全体の改善を遅らせることがある事に
リーダー自身が気付かなければなりません。


プレイヤーから脱却するための研修とは

せっかくマネジャーになったのに、
プレイヤーとしてばかり活躍してしまうようにならないためには、

・マネジャーに求められる期待役割を理解する
・自分の働き方を変えてマネジャーとして活躍するためのスキルを身につける

の2軸で研修を組み立てることが有効です。

前者であれば、自社のマネジメントの要件とその理由を理解してもらったり、目の前の仕事以外にも目線が向くように、視野を広げ、視座を高めたりしてもらうことが一般的です。

後者であれば、優先順位付けやタイムマネジメントのスキル、仕事をみずから開発するための
思考力、部下を動かすためのコミュニケーションスキル、仕事の実行力を高めます。

マネジャーに何を求めるかは個社ごとによって大きく異なりますので、自社にとって最も効果的なマネジャー向けの研修を実施するためには、フルカスタマイズで研修を提案してくれるベンダーに依頼するのが最適です。

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マネジャーの役割やマネジャーに身につけてもらうことが望ましいスキルについては、
以下のコラムを参考にしていただけます。

ぜひお気軽にご覧ください。

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