なぜ社員が管理職を目指さないのか 〜その原因から環境改善やメンタリングサポートなどの対策を詳細解説〜
今の日本では、管理職を目指す人が、年々減少傾向にあるという問題が生じています。
これは高齢化社会により、経験豊富な管理職が退職し後継者が不足したり、若い世代が
ワークライフバランスを重視することで管理職への昇進を避けるなどが主な原因です。
もちろん会社としても、この状況を放置することはできず、
リーダーシップを育成する研修をしたり、ワークライフバランスを重視する社員が
管理職を敬遠しないように、労働時間の削減やフレキシブルな勤務体系を導入したりと、
さまざまな工夫をおこなっています。
しかし、その工夫もなかなか期待する効果まで結びつかず、その結果、
外部から管理職になれる人を中途採用し、なんとか凌いでいる会社も少なくありません。
今回のテーマは「管理職不足への対策」です。
管理職を敬遠する社員の傾向や、
管理職不足に悩まされる企業がすべき対策について解説します。
目次[非表示]
- 1.管理職を目指さない理由
- 1.1.マインド面での課題
- 1.2.スキル面での課題
- 1.3.風土醸成での課題
- 1.4.制度や環境整備での課題
- 2.管理職を目指さない社員への対策をするための最初の一歩
- 3.管理職を目指さない社員への対策の具体例
- 3.1.環境の整備 〜 働きやすい環境をつくる 〜
- 3.2.キャリアパスの明確化 〜 目標と報酬の提示 〜
- 3.3.社員の教育 〜 管理職に必要なスキルを得る 〜
- 3.4.メンタリングサポート 〜 継続的なサポートをする 〜
- 3.5.成功事例の共有 〜 事例から実践力を高める 〜
- 4.管理職を目指す人材の育成ならカスタムメイド研修をご利用ください
- 5.エナジースイッチの管理職を目指す人材を育成するための研修事例
- 5.1.■8年目社員『未来型』キャリアデザイン研修
- 5.2.■35歳キャリアデザイン研修
管理職を目指さない理由
管理職を目指したくない、と考える人のうち、“楽をしたい”、“一生懸命働きたくない”、
“会社や上司が嫌い”などと考える層は、実は少数派です。
多くの場合で、真剣に向き合い、考えているからこそ、
“管理職になりたくない”という結論に達しています。
ではなぜ、管理職を目指したくない、と考えてしまうのでしょうか。
その理由は、下図のように、大きく4つに分けることができます。
マインド面での課題
管理職になると、自分個人の成果はもちろん、
部下や部署全体の目標達成も考えなくてはいけなくなります。
部下側の社員から上司を見たときに、
責任の範囲が広がることを“やりがい”だとは感じつつも、
自分が上司のように、その責任を担えるのか、不安になる人が多くいます。
また、自分に自信をもてない社員も多くいます。
とくに日本人は、子どもの頃から自分の足りていない点に注目してしまうことが多く、
ポジティブに自分を認めることが苦手な人が多いといわれています。
そして、管理職になると責任が重たくなる一方で、
その責任を少しでも完璧に全うしようと真面目に働く人が多く、
『管理職になること=長時間労働が当たり前になる』という印象が強く残っています。
人生100年時代のなかで、自分のキャリアを真剣に考えたときに、
この長時間労働のイメージは、マイナスに働いてしまいがちです。
スキル面での課題
管理職になると、たとえば、
・組織を動かしてより大きな成果を上げるスキル
・目標設定や、評価、フィードバックを通じて部下を育成するスキル
・自分の言葉で組織の方針を伝え、部下を引っ張るスキル
など、さまざまなスキルが求められます。
そうしたスキルをすべて完璧に習得する必要はないのですが、
あまりにもスキルが足りていなければ、管理職を任せてみよう、とはなりません。
また、自分自身に真剣に向き合って考えるがゆえに、自分のスキルに自信がもてず、
管理職になることを諦めてしまう人もいます。
▼関連コラム『課長が担う役割とは ~中間管理職に求められ仕事とスキル~』https://energyswitch-inc.com/archives/column_role-of-section-manager
風土醸成での課題
管理職は組織の中間に立つ立場です。
自分よりも役職が上の管理職や経営層と、現場で働く部下との間に立ち、
組織の潤滑油のような役割を担うことが求められます。
権限が限定的なこともあり、多様な関係者との調整も必要です。
そうしたコミュニケーションを取るときに、風通しの良い、
オープンなコミュニケーションを取ることができず、関係者に振り回され続けたり、
無駄な会議を続ける上司を見たら、部下は管理職を目指そうとは思いません。
また、管理職は長時間労働することが当たり前でそれが正しいという風潮や、
前例を踏襲することが良く、新しい考えを入れることは非常に難しい風土があると、
管理職を目指そうとしたときに大きな壁になってしまいます。
制度や環境整備での課題
管理職を目指す機運を高めるためには、人事制度や働く環境整備も重要です。
管理職になる前や、なった後のキャリアパスが不明瞭で、評価や昇進の基準も属人的だと
思われてしまうと、管理職を目指す気がなくなってしまいます。
また、管理職を目指そうとしたときに、会社内にコンピテンシーマップがなく、
スキルアップが属人的に委ねられている状態だと、会社から何を求められているのかが
分からず、管理職を目指すイメージを具体的にすることができません。
さらに、ダイバーシティ&インクルージョンが推進されている現代の会社では、
多様な人材が所属することが当たり前です。
フレックスタイム制度や在宅勤務制度など、柔軟な働き方を認める制度がないと、
それが管理職を諦める理由のひとつになってしまいます。
管理職を目指さない社員への対策をするための最初の一歩
自社の管理職を目指してくれる人材を増やしたい、と思ったとき、
手法に目がいきがちですが、最も重要なことは、自社の現状と課題の把握です。
管理職を目指してくれない、とはいっても個社ごとにさまざまな事情があります。
何か対策をしなくては、と焦って実行する前に、
自社の現状と課題の把握から始めることをおすすめします。
現状と課題の把握の進め方 〜管理職を目指さない社員の傾向と原因分析〜
会社で働く人たちのなかには、管理職を目指さない人が必ず一定の割合で存在します。
そしてこの割合が大きくなると、組織体制や生産性を維持することが困難になり、
会社にとって大きな問題となります。
この問題に対処するためには、
まず社員たちが何を考えているかをしっかりと把握することが重要です。
「どうして管理職になりたくないのか?」
「そこにはどんな本音が隠れているのか?」
社員一人ひとりと面談をおこなって、彼らの今の想いを聴く必要があります。
次に、管理職になりたがらない社員の特徴を捉え整理します。
これは、社員の年齢、現在の仕事のポジション、働き方(フルタイムやパートタイム)、
そしてどの部署にいるかなどの事実情報を集めて分析することから始めます。
たとえば、ある部署や年齢層で、とくに管理職を目指す人が少ない場合、
そこに何か共通点があるかもしれません。
また、オフィスに来ないで働く人や、
パートタイムで働く人が管理職を望まない傾向もあるかもしれません。
これらの情報を基に、なぜ管理職になりたくないのかその根本的な原因を探ります。
原因としては、仕事とプライベートのバランス、管理職の責任の重さ、
将来のキャリアパスが不明瞭であること、職場の環境が影響している場合があります。
とくに、プライベートを大切にする若い社員は、
管理職になるメリットなどがわからないまま、
管理職になることが自分の生活にどう影響するかのみを心配していることが多いです。
こうした原因を理解した上で、会社はどのような対策を取るべきかを考える必要があります。
職場の環境を改善したり、キャリアパスを多様化させたり、管理職の負担を少なくしつつ、
管理職のメリットを理解してもらえる対策を考えることが大切です。
管理職を目指さない社員への対策の具体例
実際に現状と課題が浮き彫りになったら、それに合わせた対策を実行します。
ここからは、管理職を目指さない社員への対策の具体例を5つ、簡単にご紹介します。
環境の整備 〜 働きやすい環境をつくる 〜
会社において、管理職を目指さない人への対策として、
働く環境の改善はとても重要な要素です。
もし働く環境が悪ければ、社員は会社や一緒に仕事をする仲間と、
心理的に一定の距離を置くようになります。
そしてもちろんそんな状態では、社員にとって管理職は貧乏くじでしかなく、
管理職への昇進を考える人も出てくることはありません。
このような状態にならないためには、まず、会社は管理職かどうかに関わらず、
社員が働きやすい環境にあると自覚できるような取り組みを進めることが大切です。
たとえば、オフィスの物理的な環境の改善、コミュニケーションの流れの見直しなどです。
また、働き方に関する柔軟性、リモートワークの選択肢やフレキシブルな勤務時間なども、
働きやすさを感じさせる重要な要素です。
次に、さらに社員が仕事に集中しやすい環境を作るために、
働きにくさを感じる要因を洗い出し、それを解消することが必要です。
これには社員からのフィードバックを積極的に求め、何が彼らのストレスの原因に
なっているのか、どのような支援が必要かを理解することが大切です。
そしてそれに応じた措置を講じることで、安心して働ける環境が作られます。
最終的に働きやすい環境が整っていれば、社員はその職場での成長やステップアップを考え、
次の目標に向かって進む意欲を持つようになります。
そして自分の職場に満足している社員は、新しい挑戦にも積極的であり、
将来的に管理職としての役割を担うことにも前向きになるかもしれません。
キャリアパスの明確化 〜 目標と報酬の提示 〜
多くの社員は、身近な管理職を見て「管理職は大変だ」と感じています。
このような印象は、管理職へのステップアップをためらわせる大きな要因となります。
管理職がどんな責任を担っているのか、どんな目標を持っているのか、
表面的には理解されているようで、実は多くの社員はそれをよく理解していません。
この問題を解決するためには、まず管理職としての役割と期待される成果について、
明確かつ詳細に説明することが必要です。
企業は、管理職の具体的な業務内容、彼らの目標や責任、
そしてそれに対する会社のサポート体制を明確に示すことで、
社員の誤解を解き、管理職のポジションへの意欲を高めることができます。
さらに、管理職に求められる負担だけでなく、そのポジションがもたらす仕事の自由度や、
得られる報酬についても、正しく理解してもらう必要があります。
管理職の報酬やその他の利点(たとえば、より大きな影響力を持つことができる、
キャリアアップのチャンスが増えるなど)を明らかにすることで、
管理職を目指すメリットを具体的に理解してもらえます。
会社がキャリアパスを明確にし、それに関連する報酬体系を透明にすることで、
社員は管理職への道を現実的かつ魅力的な選択肢と捉えるようになります。
そしてこれは、管理職を目指す社員のモチベーションを向上させるだけでなく、
社員全体が自分のキャリアについて積極的に考え、
企業としても持続可能な成長を促す基盤を築く手助けとなります。
社員の教育 〜 管理職に必要なスキルを得る 〜
管理職を目指さない人たちの中で、管理職への認識が変わり、その結果として管理職を
目指す人が増えてきたとしても、重要なのは、ただ単に役職が増えることではありません。
実際に管理職として機能できるスキルを身につけていなければ、
現場の混乱を招くことになります。
管理職として成功するためには、コミュニケーション能力、チーム管理、問題解決、
意思決定能力など、最低限持っていなければならないスキルがあります。
これらのスキルを体系的に理解するためには、
日常の業務をこなしているだけでは難しいものがあります。
そのため会社は、これらスキルを身につけるための、
研修プログラムなどの機会を積極的に設けることが必要です。
研修は、実際の管理職が直面する課題をシミュレーションする
ワークショップ形式でおこなわれることが理想的です。
これによって、参加者は理論だけでなく、実践的なスキルを学ぶことができます。
また、上司からの定期的なフィードバックやコーチングをすることで、
学んだスキルが実務にどのように活かせるかを理解することができます。
これらの教育とトレーニングの機会を通じて、
社員自身が管理職に挑戦することへの自覚を持ち、自分にも自信を持つことができます。
また管理職スキルを身につける過程で、自分が実際に管理職になることを実感できれば、
その役割を担うためのモチベーションも自然と高まります。
メンタリングサポート 〜 継続的なサポートをする 〜
どんなに能力がある人でも、
管理職になった日から優れたリーダーに変身できるわけではありません。
そして新しい役職では、予期しない困難に直面することが多く、
そのために「自分には管理職が向いていない」と感じることも少なくありません。
管理職は部下をサポートする役割を担いますが、彼ら自身もまた、
その責任の重さからくるプレッシャーを強く感じます。
こうした状況を乗り越えるためには、
管理職自身も精神的な支援を誰かから受けることが必要です。
管理職へのメンタリングサポートは、
彼ら自身の行動や決断を客観的に見直す機会に役立ちます。
たとえば、経験豊富なメンターが、日々の業務で直面する様々な課題に対して
具体的なアドバイスやフィードバックをおこなうことで、管理職は必要以上に感じていた
ストレスをやわらげたり、具体的な問題解決へのヒントを得ることができます。
また、メンタリングを受けることにより、
管理職は、自らの弱点や課題に対して前向きに取り組むことが可能になります。
そしてこのプロセスは、管理職が自信を持ってリーダーシップを発揮し、
チームを効果的に率いるための基盤を築くのに役立ちます。
成功事例の共有 〜 事例から実践力を高める 〜
管理職には、状況に応じて柔軟に対応する能力が求められます。
一般的な管理職としての振る舞いを学んでいたとしても、
実際の職場で遭遇する困難に対して、どのように対処すべきかを判断するときは、
それまでの彼ら自身の経験が大きく影響します。
職場での成功事例の共有は、
単に良い結果を出したという喜びを分かち合うものではありません。
それは、実際に成功に導いた具体的な行動、意思決定プロセス、そしてその過程で遭遇した
課題とその解決策を共有すべきであり、これにより、管理職を目指す社員は、
理論だけでなく、実際の状況に即して何をすべきかを学ぶことができます。
たとえば、
・プロジェクトでの短期的な危機をどのように乗り越え、チームを成功に導いたか?
・難しい人間関係をどのように扱い、プロジェクトの成果を最大化したか?
などの事例は、なかなか詳細を聞ける機会がありません。
しかしこうした事例は、現在の管理職だけでなく、
未来の管理職候補の人たちにも、とても参考になる事例といえます。
さらに、実際の成功事例を共有することは、管理職としての疑似体験でもあり、
彼らが自身の将来のポジションで遭遇するであろう状況への心構えにもなります。
このように会社が体系的に成功事例を共有し、それを教育の一環として組み込むことで、
管理職を目指さない社員もその魅力と可能性を再認識し、
キャリアの新たな道を考えるきっかけになるかもしれません。
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