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業務効率を高める手段と体制づくりとは ~生産性が上がらない3つの理由と具体的な手法、必要な能力~

会社で仕事をしていると、たまに「なんでこんな面倒なやり方をしているの?」と感じてしまう、
明らかに非効率と思える作業に出くわします。

また「誰がこんな詳細な情報まで見ているの?」と思える必要以上に細かすぎる資料や、
誰がやってもいつも同じ間違いをする作業で「誰かわかりやすい作業手順を作ってくれないかな」と思う場面などもあります。

あまりにも非効率なやり方をしている業務は、前任者に文句のひとつでも言いたくなりますが、
だからといって、自分がその問題を解決し、業務を効率化できるか といえば、それもなかなか
難しいものです。

今回のコラムのテーマは「業務の効率化」です。
日々の仕事をこなしながら、非効率な業務を改善していく方法について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.業務効率化とは
  2. 2.普段の仕事で目にする業務効率が悪いと感じる場面
  3. 3.非効率が起きる原因といつまでたっても改善されない3つの理由 
  4. 4.業務効率を高めるための体制づくり
  5. 5.業務効率化を成功させ、生産性を向上させるために身につけたい能力とは
  6. 6.まとめ

業務効率化とは

業務効率化とは、企業や組織における業務内容やプロセスを改善し、生産性を高めることを
目的とした取り組みのことを指します。業務効率化を図るためには、現状の業務に隠れている
「無理・無駄・ムラ」をみつけ、それらをなくすことが必要です。

「無理・無駄・ムラ」をなくすことで、基本の工程は変えなくても労働時間を減らすことが
できたり、チームメンバーを変更したり増員しなくても、これまで以上の質や量の成果を上げる
ことができるようになります。

とくに最近では、少子高齢化への対応や働き方改革、DX(デジタルトランフォーメーション)が
求められる社会変化の観点から、業務効率化の必要性がますます高まっています。

業務効率化の手法としては、自動化や標準化、業務プロセスの見直しや改善、情報システムなどのツール導入が挙げられます。また、社員のスキルアップやチームコミュニケーションの改善なども
効率化のために重要な取り組みです。


普段の仕事で目にする業務効率が悪いと感じる場面

◆作業手順が確立されていないケース
同じ仕事をしているのに、担当者によってやり方がバラバラ。

定型業務なのに作業の手順書がない、手順書があったとしても記載されている内容が古い、
ところどころ書かれていない手順もあり、それを見て作業をすると余計に混乱する始末。
このように手順が確立されていないために、担当者がとても非効率なやり方をしている業務や
作業があります。

また、手順が不明確なせいで、それが作業ミスを引き起こす原因にもなっており、その作業ミスの検知から手直しまで含めれば、もはや非効率のひと言では片付けられない作業量となっている
ケースもあります。

◆無駄作業をやっているケース
ずっと以前からある作業の中には、その目的や必要性がすでにわからなくなっているものが
あります。そして状況が変わり、すでに不要となっているにも関わらず、その判断がつかないまま無駄な作業を続けている場合があります。

たとえば、毎月のデータを集計し細かく分析した後、報告書にまとめて会社の全部署に向けて
送るという業務があったとします。

しかし、そのような全体向けの報告書の場合、それを受け取った全員が報告書の最初から最後までを見るわけではなく、営業部門は収支に関する報告、コンプライアンス部門は違反
トラブルに関する報告というように、自分たちが関わる部分のみを確認しています。

そしてこのような報告書では、当初は記載が必要だった報告パートが、それを確認する部門の
業務フローが変わったせいで、報告自体が不要になることがあります。

しかし、全体向けの報告書ということもあり、引き続き報告が必要か否かを、報告書を作成する人には判断できず、結果、誰も見ていない報告のまとめ作業が残り続けます。

このような極端なケースでなくても、「合計」は必要でも「内訳」は不要、
「結果」は必要でも「経緯」は不要といった、報告書が過度に詳細を記載している場合もあり、
その要否を見極められず、無駄な作業をやり続けている場合があります。

◆効率化が限定的になっているケース
担当者によっては、自ら工夫して仕事を効率良くこなしている人もいます。

しかし、そのやり方が周りの作業員と共有されないために、せっかくの効率良いやり方が
限定的にしか効果を発揮していないケースがあります。

また、以前から会社の業務で使用しているツールや業務支援ソフトには、それをうまく利用
できれば業務がとても効率良くなるにも関わらず、その機能を知らないまま、非効率な使い方を
している人もいます。


非効率が起きる原因といつまでたっても改善されない3つの理由 

その1:改善意識が低い
「とりあえず今回は今のやり方で乗り切ってしまおう」
「業務の改善はいずれ誰かがやってくれるだろう」

このように業務の改善意識が低いと、今の仕事のやり方に問題があることを認識していても、
それが改善という行動にあらわれることはありません。

また、作業者の中には、「他のみんながこのやり方で作業しているのだから、自分も我慢して
従わなければならない」と考える人もいます。その人からすれば、面倒な作業でも真面目に
取り組んでいるという自負があるため、工夫して作業手順を変えようとしている人を逆に
止めようする場合もあります。

このように業務改善をどこか他人事として考えている人と、あえて今のやり方に従っている人の
ために、いつまで経っても非効率なやり方のまま、業務を続けることになります。

その2:どこから手をつければ良いかわからない
なんとか業務の手順を変えたいが、何をどうすれば良くなるのかがわからない。改善意識が
強くても、具体的な改善手段がわからないために、これまでの非効率なやり方を続けている
ケースがあります。

たとえば、毎週実施している全員参加の会議では、明らかに議題に関係ない人も参加していたり、
一度にたくさんの議題を話すために会議時間もとても長い。

このようなケースでは、

「参加者を絞った方が良いのか?」
「議題ごとに会議をそれぞれ開催したほうが良いのか?」
「いっそのこと毎週の会議はやめてしまい、必要に応じて関係者だけを、
その都度招集するべきか?」

やり方はいろいろ考えられるため、どれを選択すれば良いのか悩ましいものがあります。
そして、ここで悩んでしまうと、いろいろ頭では考えていても、どれを選択すれば良いか
わからないという理由で、何も実行できないまま時間だけが過ぎていくことになります。

その3:実行するだけの余裕とスキルがない
改善意識も高く、具体的な改善方法が考えられていても、本人にそれを実行するだけの
時間的余裕や対応力がないというケースです。

通常、業務での決まったやり方を変更したり、手順書の整備をしようと思ったら、
そのための準備や実行する時間を捻出する必要があります。

しかし、日々の業務をやりきるのに一杯いっぱいの人は、その時間の捻出ができずに、
いくら改善したくてもそれを実行することができません。

ときには仕事の忙しさも弱まり、日常業務以外のこともできるかもしれませんが、その状態は
長くは続かず、何らかの業務改善に着手できたとしても、結局、途中で止まってしまいます。

また業務改善を進めていくなかでは、いざやってみると想定とは違う結果になる場合もあります。
その際は、新たに認識した事実を基に考え方ややり方を変えていく必要があります。

業務効率化の改善には、こうした柔軟に対応できるスキルも求められますが、そのようなスキルを持つ能力の高い人は、すでに日常業務の最前線に駆り出されているため、業務効率化の改善は
いつも二の次にされてしまいます。


業務効率を高めるための体制づくり

現在、非効率となっている業務を改善しようと思ったら、継続的に業務効率化を考え、それを実行できる体制を作る必要があります。なぜなら仕事の内容が変わったり、作業メンバーの状況が
変わるたびに、これまで順調だった業務でも、非効率になってしまう可能性があるからです。

ここでは、継続的な業務効率化ができる体制づくりの施策を3つご紹介します。

・フレームワークを活用して改善対策を考える機会をつくる
「無理・無駄・ムラ」「ECRS」といった思考整理のフレームワークを使って考える場を定期的に開催します。改善施策をみんなで考えようとしたら、現状の問題、それを取り巻くメンバーの
状況、これまでの経緯などを正しく認識する必要があります。

しかし、いざこれらを整理しようとすると、人によって気になるところが違ったり、想いの強さの違いから、求めている理想像が全く異なる場合があります。この状態のまま、話し合いでアイデアをまとめようとしても、議論は紛糾するばかりで、一向に話はまとまりません。

このような状態に陥らないためには、予め決められた手順に従い、考えを整理することができる
思考整理のフレームワークを活用することがとても有効です。

<改善施策の検討に使えるフレームワーク>
・無理・無駄・ムラ

最初から無理と思える計画や納期、明らかに無駄な時間や工程、結果にムラが生じやすい手順
など、無理・無駄・ムラをキーワードにして、改善や廃止が必要な業務や手順を洗い出します。

いざ書き出してみると、無理と無駄が複合的に発生しているケースもあり、改善の必要性が
顕著に表れます。

・ECRS
E:Eliminate(取り除く)
C:Combine(統合する)
R:Rearrange(取り替える)
S:Simplify(簡素化)
の4つの切り口で、改善が必要な業務に対して、どのように対策するかを考えます。

これを実施すると、業務の目的、手順、効果、類似する業務など幅広い視野で考えることになり、業務の本質についても改めて認識することができます。
 
思考整理のフレームワークを活用し、問題点や改善策を書き出すと、根本的な問題や効果的な施策もわかるようになり、どこか他人事として業務効率化を考えていた人も、より自分事として
実感できるようになり、改善意識も高まります。

・実現可能な改善方針を立てる
業務効率化は、試しにやってみるような個人で出来る簡単な工夫から、
新たなシステム導入といった大掛かりなものまで、そのやり方と規模は多種多様です。

そのため、せっかく改善施策を開始したのに、改善効果のない無駄なことをしてしまったり、
やることが大掛かりすぎて、途中で改善が頓挫してしまうこともあります。
このような事態に陥らないためには、業務効率化のための方針を打ち立てる必要があります。

たとえば、改善施策として考えられるものが幾つかあがったら、それを実現性と改善効果の
2軸で整理します。

①実現性が高く(易しい)、改善効果も高い
②実現性が低く(難しい)、改善効果は高い
③実現性が高く(易しい)、改善効果は低い
④実現性が低く(難しい)、改善効果も低い


ここで改善の方針として、①は必ず実行し、④は絶対にやらないと決めます。②と③は判断が
難しいところですが、余裕がなければ、一旦、②③どちらもやらないと決める事も必要です。
この②と③の対応方針を暖味にしておくと、いつも③にばかり時間を使って、②には一向に
手がつかない状況にもなってしまいます。

また、基本方針を決めた後、「定型業務は必ず手順書を作る」というような具体的な改善ルールを決める場合は、あまり時間を掛けずにできる範囲で、必ず複数名が関わるようにしておくと、
いざルールを決めたものの、それが実現されずに放置されてしまうような状況が起きにくく
なります。

・改善策の実行をサポートするビジネススキルを身につける
各自が業務効率化の改善策をいつでも実施できるように、そのために必要なビジネススキルを
あらかじめ身につけておきます。業務効率化に有効なビジネススキルには、前述の思考整理の
フレームワークの活用があげられます。

しかしこれだけでなく、猶予時間の捻出や作業効率を高めるタイムマネジメントスキル、
改善しながら最適な方法を見つけていくデザイン思考なども、業務効率化にはとても有効な
スキルです。

そして、言うまでもありませんが、このタイムマネジメントやデザイン思考は、業務効率化だけでなく、日々の業務推進やお客様への提案などでも活用できます。まとまった手順書の整備など
しなくても、各自の生産性や作業品質を向上させ、最も広範囲に適応できる改善策ともいえます。


業務効率化を成功させ、生産性を向上させるために身につけたい能力とは

業務を効率化できれば、生産性が上がります。そうすれば自分や会社の評価が高まったり、
プライベートの時間が確保できるようになるなど、大きなメリットが得られます。

ですが、業務を効率化したいと思っても、なかなか思い通りに効率化を進めることはできません。新入社員から経営層まで、幅広い階層の人材が、業務効率化をうまく進められずに悩んでいます。そんな業務効率化をうまく進めるためには、どのような能力が必要なのでしょうか。

ここからは、業務効率化のために身につけたい能力を具体的にご紹介します。
前述のとおり、業務効率化は、企業や組織における業務内容やプロセスを改善し、
生産性を高めることを目的としています。

生産性は、次の計算式で求められます。
生産性=(仕事の質×仕事の量)/投下時間
つまり、以下の3つのことをおこなえば、生産性を高めることができます。

・仕事の質を上げる
・成果につながる仕事の量を増やす、あるいは無駄な仕事の量を減らす
・仕事に費やす時間を減らす

①仕事の質を上げる
仕事の質を上げるためのアプローチには、大きく3つの種類があります。

・自分に求められる“役割”をアップデートし、改善意識を向上させる
人は、自分にとって居心地の良いコンフォートゾーンを持っており、改善のためとはいえ慣れた
現状を変えるためには大きなエネルギーが必要です。会社からの期待役割をあらためて認識し、
自分の“ありたい姿”と重ねて考えることで、成長する意欲が生じ、改善意識を向上させることが
できます。

↓関連するコラムはこちら
社員を“成長マインドセット”にするためには

・課題発見・問題解決能力を向上させる
問題解決のプロセスを間違えてしまうと、成果を上げることができず、投下した時間の多くを
無駄にすることになります。生産性を上げるためには、現状とあるべき姿のギャップをとらえ、
問題が発生している真因を特定したうえで、解決策を実行できるようになる必要があります。

↓関連するコラムはこちら
問題の本質を見極め、最適解を見つけだすコンセプチュアルスキルとは

・他者と協働して仕事を進める
仕事は自分ひとりでおこなうことはできませんし、自分ひとりでできることにも限界があります。仕事の質を上げるためには、自分の言いたいことを伝え、他者を巻き込むスキルが必須です。

たとえば、チームビルディングのためのスキルや、相手を動かすための
ロジカルコミュニケーションスキルが挙げられます。
それぞれ、以下のコラムから詳細を知っていただけますので、ぜひご参考にしてください。

若手社員 と一緒に成果を上げるためのチームづくり

多様な人材のいる組織が生産性を上げるために必要なロジカルコミュニケーション

②成果につながる仕事の量を増やす、あるいは無駄な仕事の量を減らす
仕事の量を改善するためには、

・仕事を整理し、優先順位をつけて、成果につながる仕事の量を増やす
・無駄な業務を減らし、業務にかかる作業負荷を 軽減する

の、2パターンのアプローチがあります。

そのためには、タスクマネジメントやプロジェクトマネジメント、
ナレッジマネジメントスキルの向上が有効です。また、仕事を捨てる勇気をもつために、
仕事を整理整頓するための思考力も必要になります。

やるべきことを見える化するタスクマネジメントの極意とは

プロジェクトを成功に導くためのプロジェクトマネジメントとは

仕事の全体像をとらえながら、より効果的な対策を見つけだすシステム思考とは

③仕事に費やす時間を減らす
仕事に費やす時間を減らすためには、業務効率改善のためのツールやシステムを導入することも
有効ですが、タイムマネジメントスキルを高めることも同じくらい効果的です。

限られた時間を最大限活用するためのタイムマネジメントの秘訣とは


まとめ

いかがでしたでしょうか。
業務効率を上げたい、というのは社会人の永遠のテーマです。
本記事が、皆さまが業務を見直すきっかけとなれましたら幸いです。

また、ここでご紹介した以外にも、
「業務効率を上げたいけどどうしたらいいかわからない」
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