やるべきことを見える化!仕事のモチベーションもあがる「タスクマネジメント」の極意
・やることがたくさんあるのに、いつも目の前の仕事で精一杯
・もっと仕事を効率よく片付けていきたいけど、どこから手をつければ良いかわからない
・以前からやろうと思っていた勉強や新たなチャレンジがずっと先延ばしになっている
そんな人には、自分が関わる仕事をタスクとして整理し、効率よくこなしていく
タスクマネジメントがおすすめです。
ここでちょっと想像してみてください。
言われた仕事を頭の中で記憶し、とりあえず思いついたものからやる人と、
言われた仕事を紙に書いて整理し、どの順番で取り組めば良いか考えてから実行する人と、
どちらが仕事でより安定的に成果を出せるでしょうか?
前者の方が仕事の開始は早いかもしれませんが、仕事量や難易度が高くなればなるほど
手が回らなくなります。その一方で、後者は確実に仕事を終わらせていくため、
長い目で見れば前者との成果の差も歴然となります。
今回は仕事の効率や成果を左右する仕事の管理術「タスクマネジメント」について解説します。
目次[非表示]
タスクマネジメントとは
~モチベーションもあげてくれるタスクマネジメントの効果~
タスクマネジメントは言葉のとおり
「タスク」を「マネジメント(管理)」することですが、
まずこの管理の対象となる「タスク」について解説します。
タスクを日本語に直訳すると仕事や課題といった意味となります。
タスクマネジメントでも、このタスクは仕事という意味合いにはなりますが、
日々の業務やある仕事のまとまりを指すのではなく、
ひとつの仕事の中で構成されている実行単位のアクションを意味します。
たとえば、ある提案をするプレゼンテーションの仕事では、
そのプレゼンをおこなうまでの過程に、
・対象者をリサーチするタスク
・提案内容を検討するタスク
・プレゼン資料を作成するタスク
・プレゼンテーションを実施するタスク
があります。
仕事を構成するアクションがタスクですが、仕事の規模の大きさによっては、
各タスクをさらに細かい単位のタスクにわけて整理していきます。
これをタスク分解と言います。
そしてタスクマネジメントとは、
ひとつの仕事でやるべきことをタスク化またはタスク分解で見える化し、
優先順位や進行状況を監視しながら、
タスクの状況・状態の変化に応じて対応する(=管理する)ことです。
タスクマネジメントがしっかりできるようになると、
終わるまでに何ヶ月もかかるような大きな仕事でも、
小さなタスクをひとつずつこなすことで、着実にゴールに向けて前進することができます。
実際、スタートからリリースまで長い期間を要するシステム開発の現場では、
必ずタスク分解をおこなってそれをひとつずつ消化していきます。
また、詳細なタスクがあげられた段階で、効率の良い実行順なども考えられるようになり、
仕事全体にかかる労力や時間を抑えることができます。
たとえば、自分がいろんな場所を歩き周りながら
たくさんの買い物をする場面を思い浮かべてみてください。
重いものを先に買ってしまったり、
帰り道に通るお店なのにそこで先に買い物をしてしまうと、
それら買った物を持ち歩いてその先の買い物を続けることになり、とても大変です。
あらかじめ買う物とそのお店がリストアップされ、買い物の順番が考えられていれば、
余計な労力をかけずに買い物をすることができます。
そしてタスクマネジメントには、それを実行する人のモチベーションまであげるという
精神的な効果もあります。
自分の仕事をタスク表にまとめてから仕事を進めていくと、仕事が進むにつれ
消化したタスクが増えていき、残りのタスクが減っていきます。
この消化したタスクと残りのタスク量の変化は、その仕事をやっている本人に対して、
「まだ途中で大変だけど、ここまでやったぞ」という達成感、
「ゴールまであと少し、ここまでやれたんだから、最後までやりきれる!」
という自信を与えてくれます。
タスクマネジメントのやり方 ~タスク分解とタスク管理~
ここからはタスクマネジメントのやり方を解説します。
タスクマネジメントは、以下の手順でおこなわれます。
(1)仕事の分類
(2)タスク化(タスク分解)
(3)優先順位づけ
(4)状態管理(必要に応じてリカバリー)
(1)仕事の分類
まず、自分が受け持っている仕事の分類から整理をします。
日々の仕事全般を対象にするなら、月単位などで自分が受け持っている仕事、
責任の範囲などから、仕事の分類を大枠で整理していきます。
たとえば、人事部に所属している人であれば、採用に関する仕事、
社員育成に関する仕事、労務系の事務仕事などといった感じです。
大枠が先に決まっていると、
そこからタスクをあげていけるのでタスクの挙げもれが防げます。
(2)タスク化(タスク分解)
次に、それぞれの仕事に対して、それを構成しているタスクをあげていきます。
たとえば資料作成のような仕事では、
資料に載せる情報を収集するタスク、そこから資料の文章を記述するタスク、
出来上がった資料を確認してもらうタスクがあります。
ここからそれぞれのタスクをさらに細かなタスクに分解していきます。
情報収集のタスクであれば情報の分類ごと、記述するタスクであれば各章の記述、
確認をしてもらうタスクであれば、確認してもらうタスクと確認後の資料修正タスク
といったようにタスク分解をしていきます。
具体的なアクションが明確になるまで、タスク分解をおこないます。
資料作成タスク → ①情報収集/②文章の記述/③資料チェック
①情報収集タスク → 分類1の収集/分類2の収集/分類3の収集
②文章の記述タスク → 第1章の記述/第2章の記述/まとめの記述
③資料チェックタスク → 資料を確認してもらう/確認後の指摘から資料を修正する
(3)優先順位づけ
すべてのタスクが明確になったら、次は各タスクの優先順位づけをおこないます。
タスク間で最初から前後関係があるものもありますが、
複数の仕事を対象にタスクマネジメントをする場合は、
そのタスクの重要度や緊急度をベースに優先順位をつけます。
重要度、緊急度の両方が高いものは、
仕事として重要であり期限も差し迫っていることから、優先的に対応するタスクです。
重要度と緊急度のどちらか一方が高いものでは、
どちらを優先的におこなうか迷いますが、
たいていの人は緊急度が高いものを優先してしまいます。
重要ではないメールの返信、
SNSのチェックなど、日課として組み込まれているようなものがそれにあたります。
そしてこの逆の重要度が高いが緊急度が低いものは、期限が先なので後回しにしがちです。
資格の勉強や個人的に取り組みたいものがこれにあたります。
ビジネスパーソンとして成長するためには、重要度の低いタスクは優先度を下げ、
その分の時間を勉強などの重要度が高いタスクに充てていくことが望ましいです。
重要度が高い&緊急度が高い = 第一優先とするタスク
重要度は低い&緊急度が高い = 日課として優先度は高めだが、優先度は下げたほうが良い
重要度が高い&緊急度は低い = ついつい後回しにしがちだが、優先度を上げたほうが良い
(4)状態管理(必要に応じてリカバリー)
タスク分解ができ優先順位がつけられたら、
それをタスク表にまとめて、そのタスクをひとつずつ消化していくだけです。
しかし実際にその仕事をやっていくなかではじめて気づくタスクや、
予定通りに消化できないタスクも出てきます。
その際は必要に応じてタスクの見直しや優先順位づけをやりなおします。
タスク表を書いたところまでで満足し、その先の状態管理までおこなわない人もいます
(※実際、タスク表をつくるだけでも仕事の質は向上します)。
しかし、想定していたものと現実の出来事のギャップにこそ、
改善のヒントがあるので、タスク表はその仕事が終わるまで使い続け、
出来れば次の仕事の参考にするまで活用することが理想的なタスク表の利用法です。
タスク表の例
効果的なタスクマネジメントの極意
タスクマネジメントをより効果的におこなうためには、その本質的な部分を認識しておくことが
大切です。ここではそんなタスクマネジメントの本質的な一面について解説します。
1.各タスクの消化の判断は目に見えるものでおこなう
たとえば、「◯◯◯について理解する」というタスクがあったとします。
理解をする対象者が自分だろうと相手だろうと、
どちらにせよ「理解したか?」というのは見た目ではわかりません。
今日の時点では理解したと思っても、
明日になったら、やっぱりわからないと思うかもしれません。
こうなると昨日消化したタスクが、
今日の時点で復活してしまうということになりかねません。
理解していることを前提にして、
それ以降のタスクがすでに消化されていたら余計に混乱します。
このような事態にならないためにも、消化の是非は目に見えるもので判断するのが良いです。
たとえば、今回のケースでは、
理解するため整理したノートをつくるとか、小テストをして〇〇点以上取るなど、
理解したことと同じ意味となる実際に目に見える物を基準とします。
2.時間管理と併用する
たいていの仕事には「いつまで」というタイムリミットが存在します。
どんなに精度の高い仕事をしても、そのタイムリミットまでに間に合わなければ、
その価値がゼロになってしまうこともあります。
与えられた仕事を確実に期限内に終わらせるためには、
各タスクの所用時間や期限を設定して、進行状況を細かく管理することが有効です。
夏休みの宿題が、8月31日になってから慌てても決して終わらなかったように、
仕事も間に合わないとわかった時は
すでにリカバリーもできない状況に陥っていることがあります。
こうならないためにも各タスクが済んだか否かだけでなく、
それに要した時間まで一緒に管理することがおすすめです。
タスクマネジメントの成果をより効果的にする「タイムマネジメント」のコラムは
こちらに掲載されています。
「限りある時間を最大限に活かすタイムマネジメントの秘訣」
・タイムマネジメントの効果
(このままやっても間に合わないに気づく/効率アップの意識が定着)
・タイムマネジメントのコツ
(タイムリミットは自分で決める/時間帯によってはかどるタスク)
タスクマネジメントがやること(タスク)の見える化なら、タイムマネジメントは
時間配分の見える化です。併せて実践することで、仕事の質が何倍にも向上します。
3.過ぎたるは及ばざるがごとし
(手順の見える化とタスクの見える化は区別する)
タスクマネジメントではあげたタスクを予定どおりに消化しているか否か監視し、
済んだものは消化済みタスクとしてチェックしていきます。
しかしこのタスクが細かすぎると、そのチェックだけでも大変な作業になることがあります。
たとえば、資料作成の仕事で、パソコンをたちあげる、ワードを起動する、
参照するファイルを開く、資料のタイトルと日時を記述する・・・。
ひとつアクションするたびに、タスク表に
チェックを入れていったら、いつまで経っても本来の目的である資料作成が終わりません。
実際、わかりきった作業でここまで細かいタスク表をつくる人はそうはいませんが、
絶対にミスが許されないような重要な仕事や、はじめてやるような仕事では
過剰に細かいタスクをあげて管理しようとする人も珍しくはありません。
確かにはじめてやる作業では、細かな手順を事前に知っておく必要がありますが、
その際に手順の見える化とタスクの見える化が一緒にならないように区別しましょう。
手順書をつくるタスク、手順書に従って実行するタスクといったタスクはあっても、
一つひとつの手順がタスク化されていたら、
これはタスク分解のやりすぎになっているかもしれません。
タスクマネジメント研修事例紹介
ここからは、弊社で実際に実施したタスクマネジメント研修の事例をご紹介します。
演習も含めた一日間の研修事例です。
【研修事例】
テーマ:
タスクマネジメント
ねらい:
・タスクマネジメントの基本を理解し、その実践方法を学習する。
・仕事における目的意識やコミュニケーションなど、仕事の質を高めるために必要な考え方
を身につける。
内容:
① オリエンテーション
トレーナーからタスクマネジメントを身につける必要性を説明し、これからの仕事のために各自が何を重点的に学ぶべきかを意識してもらいます。また受講者同士の自己紹介を通して安心感を高める雰囲気をつくります。
② 仕事の問題点を考える
タスクマネジメントの目的と効果を説明し、タスクマネジメントによって今の仕事の進め方がどう改善されるのかがわかります。
(1)現状把握(今の仕事の進め方/理想的な仕事の進め方)
(2)何のためのタスクマネジメントなのか
(3)タスクマネジメントから何が得られるのか
③ 自分の仕事を管理する
自分の仕事のプロセス全体とそこに関わる人たちを全て図示し現状を見える化。
整理された現状をもとにタスクマネジメントの手順に従って、やるべきことのタスク化、仕事の
つながりを考えながらタスクの優先順位づけなどをおこないます。自分の仕事を題材にしてワークをおこなうため、タスクマネジメントの理解がより深まります。
(1)仕事と組織の全体像
(2)仕事を管理するための4つの視点
④ 自分の仕事を乱す阻害要因を考える
タスクが思いどおりに処理できない時、その原因は何かをイメージします。対策はグループワークで話し合います。その結果を各グループで発表し、トレーナーから改善策を助言します。仕事の中でコントロールできるものとできないもの、仕事における課題が明確になります。
(1)予定を崩す原因は何か
(2)仕事は常に動いている
⑤うまくいくコミュニケーションのための考え方
タスクマネジメントの効果をより高めるため、情報整理のやり方、適切なコミュニケーションの
取り方を学習します。同じ情報をグループ内で正確に共有するための、わかりやすい伝え方を
学習します。
(1)仕事の質を高める情報整理
(2)うまく仕事を進める伝え方
(3)パターンで伝える
⑥まとめ
目的意識、情報整理、視野を広げるものの見方、相手視点、コミュニケーションなど、仕事に
求められる基本事項を確認しつつ、その効果を理解します。
(1)気持ちよく仕事をする基本概念
(2)振り返りとまとめ
弊社では、個社ごとにフルスクラッチのカスタムメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが450名以上おり、
個社ごとに合った研修を、バリエーション豊富にプロデュースできます。
タスクマネジメントをテーマにした研修バリエーションも豊富です。
本記事を参考に、是非自社の目的や課題に合った研修を実施してみてはいかがでしょうか。