マインドを変える⑤ ~3日坊主にならないためのマインドセットの仕方~
行動変容は、研修の成果として以前から求められ続けているものです。
マインド系の研修でもスキル系の研修でも、日常への定着が求められます。
研修評価の際によく用いられる、以下の図で有名なカークパトリックの4段階評価でも、
行動変容に対する評価の項目があり、研修成果としても重要視されていることが分かります。
(行動変容の評価方法はまた別の機会に紹介します。)
今回のコラムは、人事の研修担当者に知っていただきたい、受講者の行動変容を促すコツについて紹介します。もちろん、自分の行動を変えたい、という方も是非ご一読ください。
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なぜ3日坊主になるのか
前回のコラムで紹介したように、マインドを変えて行動を変えようとすると、自身の
コンフォートゾーンから出てしまうため、元に戻ろうとする力が働きます。
これは誰にでも当てはまる法則ですので、誰もが3日坊主になり得ます。
元に戻ることが当たり前という認識を持ち、3日坊主にならないためのコツを知らないことで、
アメとムチによる方法に頼ってしまうパターンをよく目にします。
外部から強制的に力を加えて、無理やりゴールに向かわせるようなやり方です。
アメとムチはすぐに効果が見られますが、外部からの力が無くなれば、元に戻ってしまいます
ので、この方法も結局は一時的で長続きしません。
長続きさせるためには、マインドを変えなくてはいけません。
以前のコラムでも紹介したように、マインドを変えるためには、目標設定が重要です。
3日坊主にならないために、ゴールを決めて行動を変えていくわけですが、
この際のポイントは以下の3つです。
①マインドからエネルギーを生み出す
②現状の延長線上にある目標を設定させない
③目標を達成したイメージは具体的にするが、達成方法を考えさせない
マインドが生み出すエネルギーとは何か
飛行機が飛ぶのにエネルギーが必要なのと同じように、行動を変えるためにもエネルギーが
必要です。そのエネルギーはどこから生まれるのでしょうか。
行動を変えるためのエネルギーはマインドから作られます。
マインドは、自分のコンフォートゾーンの中で行動をする場合には、最低限のエネルギー
しか生み出しませんが、ひとたび矛盾を感じるとストレスを感じ、解消するためにエネルギーを
生み出します。
例えば、いつも通勤電車内で新聞を読んでいるのに忘れてしまったとき、ストレスを感じて
その矛盾を直そうと、駅で新聞を買うことがありませんか。
マインドの生み出すエネルギーが行動につながってますよね。
これがマインドの生み出すエネルギーで、現状を大きく変えようとすればするほど、
大きなエネルギーが生まれます。
ただし、そのエネルギーは通常、元に戻そうとする力に使われます。
生み出されたエネルギーを行動変容に向けて使えないと、実際の行動は変わりません。
そのために必要不可欠なことが目標設定です。
目標設定があるからこそ、現状のコンフォートゾーンとは違う、新たなコンフォートゾーンを
明確にイメージすることができるようになります。研修の最後でほぼ必ず目標設定の時間を
とるのはこのためです。
現状の延長線上にある目標を設定しない
行動変容を求めるときの目標設定のコツは、現状の延長線上から考えられる、理想的な未来を
目指さないことです。
例えば係長の方が、課長になる目標を立てたとしても、それは現状が理想的に推移した場合には
実現可能です。現在のコンフォートゾーンから出ることがないためエネルギーが生まれず、現状を変える行動にはつながりません。課長になった自分が何を達成しているのか、を考えて初めて
コンフォートゾーンから出ることができます。
女性リーダー育成研修では、自分が管理職になることで新たな目線で働き方を改革し、
生産性を上げつつプライベートも充実させる、のような目標設定ができると行動変容に
つながりやすくなります。
日常の業務の中での目標設定では、どうしても現状の延長線上にゴールを設定されてしまいます。
よい評価を取るためには何をすればいいのか、昇進するにはどんな仕事を達成すればいいのか、
やるべきことが分かっている状態で目標設定がなされます。
ですので、一度日常の業務を離れた場を設定することが重要です。
新しいゴールを目指すとき、現状から離れたゴールにしないとエネルギーは生まれません。
現状から想像できるゴールは、コンフォートゾーンの中にある行動がベースになりますので、
決して現状を変えるだけのエネルギーが生まれることはないのです。
目標を達成したイメージは具体的にするが、達成方法を考えない
現状から離れた目標設定をしても、どうやってやるか分からず長続きしないのでは、
と心配される方も多いと思います。
確かに、大きなエネルギーが生まれれば生まれるほど、ストレスを感じ、
元に戻りやすくもなります。
そうならないためには、目標を達成したイメージを具体的に持つことと、その達成方法を考えないことが重要です。明確にイメージできる新しいゴールに向かって、現状の「当たり前」を
壊していくからこそ今までにない視点でモノがみえ、新しいアイデアが生まれます。
正しく目標設定ができれば、そのための方法は後からみつかります。
本気で目標を達成したいと考えることができれば、その目標に対する矛盾をなくそうと、その方法を勝手に探し始めます。
今までみえていなかった情報がみえるようになり、創造性も生み出され、達成方法を
探し始めます。ゴール達成に必要な人脈を探したり、新しいことを学んだり、率先して
動き始めるのです。
研修は、日常の業務から離れて目標設定ができるよい場です。
ゴールを達成するための方法など考えず、未来を開拓できるような目標設定を
促してみてください。
普段とは違う目標を持たせるための次世代リーダー育成研修
最後に、弊社で実施した次世代リーダー育成研修事例をご紹介します。
弊社では、個社ごとにフルスクラッチのカスタムメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが450名以上おり、個社ごとに合った
研修を、バリエーション豊富にプロデュースできます。
本記事を参考に、是非自社に合った次世代リーダー育成研修を実施してみてはいかがでしょうか。
【普段意識することがない視点から思考する】
視座を上げて自分たちの仕事や置かれている環境を見通す練習をすることで、普段の自分とは
異なる視点からの思考を促し、コンフォートゾーンの外側に意識が向くようにします。
【自分の使命を考える】
まずは入社した理由や働き続けている理由を振り返り、自分がしたいことと周囲への期待を
重ねます。そこから更に現状からかけ離れたゴールを設定するために、自分が成し遂げたいことを書き出し、その達成をより具体的にイメージできるようになるために、会社トップに近い立場の人と対話します。
【会社の中での成功イメージをより具体的にする】
自社製品やサービス誕生のターニングポイントや、その際の修羅場体験のような具体的な
エピソードを共有し、また成功者の共通点を深掘りすることで、自分が設定した新たなゴールを
達成するイメージをどんどん具体的にしていきます。
【本当に成し遂げたいことを始められるようにする】
自分が覚悟を決め、何を決断し、次世代リーダーとしてどうありたいのかを全体発表することで、最初の一歩を踏み出す後押しをします。