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こんな考え方があったのか!『ラテラルシンキング (水平思考)』で柔軟に考える

現代社会はVUCAの時代と呼ばれ、これまでの常識を覆すような社会変化が次々と起こり、
将来を予測することが困難といわれています。

・DX推進などデジタル技術の急速な変化
・気候変動や新型コロナウイルス感染症などの環境変化
・グローバル化や人口問題、人生100年時代などの社会構造変化

など、一筋縄では解決・対応できない問題や、急激な変化をもたらした問題が多く、
しかもそれが多方面に渡っています。

しかし、私たちはこのような困難な時代にも企業を持続させなくてはいけません。
そんな中ビジネスパーソンには、

・革新的なアイディアを生み出すことができる力
・変化に適応できるソリューションを提供する力

が求められています。

そこで今、発想の枠を広げる思考法として「ラテラルシンキング(水平思考)」が注目を
集めています。今回のコラムでは、最新の研修事例とともに、この「ラテラルシンキング」
についてご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.ラテラルシンキングとは何か
  2. 2.ラテラルシンキングとロジカルシンキング
  3. 3.ラテラルシンキングに必要な2つの力
    1. 3.1.①疑う力
    2. 3.2.②抽象化する力
  4. 4.ラテラルシンキングで視点を変えるコツ
  5. 5.ラテラルシンキング研修事例紹介

ラテラルシンキングとは何か

ラテラルシンキングとは、物事の見方の「角度」を変えることで、発想の枠を広げ、
さまざまな視点から自由に発想しようとする思考方法であり、
英語の「ラテラル(=lateral)」が「横からの」「水平の」を意味することから、
日本語では水平思考と呼ばれることもあります。


言葉だけだとよく分からないと思いますので、具体例で説明します。
ラテラルシンキングは日常生活の色々な場面でその成果をみることができます。


今回取り上げる事例は、電車に乗るときに通過する「自動改札機」です。

今や、電車に乗るときは、ICカードを利用して「ピッ」とするだけです。
非常に便利な仕組みですが、
特に開発当初は「ピッ」とした後の運賃計算に一定の長い時間が必要でした。

特に首都圏は乗り換えも多く、複雑な計算が必要です。
計算速度は一朝一夕には上げられず、かといって計算が終わるまで改札の扉を閉じたままに
しておくと人がスムーズに動けなくなってしまいます。

論理的に考えるのであれば、
改札の数を増やして対応しながら計算速度を上げる開発を進める、
などの対策が浮かぶと思います。

ですが、この問題を解決した方法は、「自動改札機を長くする」でした。
お客様が長い改札を通過する分だけ計算時間が稼げる、というわけです。

他にも、5個のリンゴを2人に平等に分ける事例があります。
通常であれば2つずつ配って、最後の1つを半分に分ける、という方法が思い浮かびます。

一方で、リンゴをすべてジュースにして半分に分ける、
という考え方がラテラルシンキング的な思考です。

このように、常識にとらわれず、水平に思考を広げて多角的な視点で思考するのが、
ラテラルシンキングです。


ラテラルシンキングとロジカルシンキング

ラテラルシンキングとよく対比される思考法に、ロジカルシンキングがあります。
この2つの思考法の違いをみることで、よりラテラルシンキングの理解が深まります。

最初にお伝えしたいのは、ラテラルシンキングとロジカルシンキング、
またはその他の思考法は、それぞれ対立する考え方ではなく、
互いに補完しあう関係にあるということです。

たとえばラテラルシンキングでたくさんアイディアが出たとしても、
ロジカルシンキングができないと
そのアイディアを1つにしていくための検討を具体的に進めることはできません。

今回ご紹介する2つの思考法以外にもさまざまな思考法があります。
それぞれを組み合わせて使うことで相乗効果を生み出すことができるのです。

ここからは、ラテラルシンキングとロジカルシンキングとの違いを説明します。

ロジカルシンキングは、垂直思考ともいわれ、
既成概念をもとに筋道をたてて深く掘り下げ、
合理的かつ論理的な1つの結論を導き出すことを目指す思考法です。

A→B→Cというように
各ステップを正しくつなげて思考し、1つの正解にたどり着きます。

一方でラテラルシンキングでは、解決策を導くための順番や過程は問題になりません。
筋道立てて考える必要はなく、スタートからいきなり答えに到達してもよいとされ、
唯一の正解もありません。

つまり、問題を解決するときに、「過程」を問われるのがロジカルシンキングで、
「結果」を問われるのがラテラルシンキングだといえます。

両者の違いをまとめた表をご覧いただくと、
その違いがイメージできるのではないでしょうか。

マインドを変えるのコラムで紹介したように、常識に縛られることなく可能性を広げ、
行動や結果を変えるためには「見方」を変えなくてはいけません。

また、ダイバーシティ&インクルージョン推進の取り組みのなかでも、
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を取り除き、
“個性の違い”を活かす考え方が広がっています。

ラテラルシンキングは、ビジネスはもちろん、
多様性が求められるさまざまな場面で役立つ思考法なのです。


ラテラルシンキングに必要な2つの力

ラテラルシンキングには、

①疑う力
②抽象化する力

の、2つの力が必要です。

①疑う力


アンコンシャス・バイアスのコラムでも紹介したように、
人は必ず、過去の経験や見聞きしたことの影響を受けて、先入観や思い込みを持っています。

これは決して悪いことではなく、過去の経験や見聞きしたことがあるからこそ、
人や組織は効率よく、また間違いや失敗のリスクを回避しながら意思決定ができます。

ですが、ラテラルシンキングでは自由な発想が求められますので、
先入観や思い込みはおじゃま虫になってしまいます。

「もしかしたら違う見方もあるんじゃないか」
「なぜ今と同じでなくてはいけないのか」

などと「疑う力」がないと新しい発想は生まれません。


特にビジネスの場面でラテラルシンキングを活用するときには、
「前提を疑う」ことからスタートすることが重要です。

たとえば、公園でアイスクリームを販売したところ、
食べた後のカップやスプーンがベンチや芝生に捨てられてしまった、
「ゴミ問題」があったとします。

ここでの問題設定(前提)は、
多くの場合「出たゴミをポイ捨てさせずに回収するためには」に置かれます。

ですので、解決策として考えられる最も一般的な答えは、
「ゴミ箱を設置する」です。

ですが、問題設定(前提)を
疑い、「そもそもゴミがでない売り方をするには」と思考を変えられたらどうでしょう。

そうすると、
カップではなくコーンに入れて販売する、という問題解決策も浮かびますよね。

このように前提を疑うことで、新たな視点で発想できるようになります。

②抽象化する力


抽象化とは、物事の本質や機能に注目することです。
たとえば、自動車の事例が有名です。

フォードの自動車が急速に広がったのは19世紀末ですが、当時はまだ馬車が主流でした。

ですので、より早く移動する手段として「より早い馬車」を
開発すべきだという考え方が常識的な発想でした。

ですが、フォードは当時一部の富裕層向けだった自動車に注目し、
できるだけ安く大衆に自動車を供給しようと、会社を立ち上げたのです。

ここでの抽象化の思考は、
馬車(具体的な対象)

早く移動するもの(抽象化)

大衆向け自動車(具体化)

です。


馬車を「早く移動するもの」と抽象化することで、大衆向け自動車という具体的な考えを
思いつくことができたのです。

そしてその後自動車が普及し、ライバル各社が多彩なカラーやデザインの
自動車を発表するようになりました。

つまり、早く移動するものとしての自動車が当たり前になり、

自動車(具体的な対象)

人に自慢できるもの(抽象化)

多彩なモデル(具体化)

というように本質が変化したのです。
このように抽象化することで、本質や機能の見方を変えることができます。


ラテラルシンキングで視点を変えるコツ

ラテラルシンキングでは、
これまでの常識にとらわれることなく、水平に思考を広げていきます。

そして、思考を広げてたくさんの解答を出すためには、
ひとつの物事を多用な角度からとらえて考える必要があります。

そのために、ここでは、オズボーンのチェックリストをご紹介します。
次のようなポイントに注意して、思考を広げていってはいかがでしょうか。

・転用できないか
既存の商品をほかの用途で使えないか、違う商品に使えないか
・応用できないか
ほかの商品で活用した技術やアイデアをマネできないか
・変更できないか
一部を変更して、よりニーズに応えられないか
・拡大できないか
今の商品を大きくすることで新たな使い方が生まれないか
(重くする、強度を上げる、広くするなどでもOK)
・縮小できないか
今の商品を小さくすることで新たな使い方が生まれないか
​​​​​​​(薄くする、軽くするなどでもOK)
・置換できないか
位置や順番、工程や要素を入れ替えることはできないか
・逆転できないか
上下左右、前後、役割、立場などを逆転することはできないか
・結合できないか
既存の商品やサービス、要素を組み合わせて新しいものが生まれないか


ラテラルシンキング研修事例紹介

冒頭に述べたように、ラテラルシンキングを身に付けることのメリットには、

・革新的なアイディアを生み出すことができる力
・変化に適応するソリューションを提供する力

などが挙げられます。

今回は、そんなラテラルシンキング(水平思考)に加えて、ロジカルシンキング(垂直思考)も
一緒に学び、問題解決思考の強化を目指した研修事例をご紹介します。

テーマ:
ラテラルシンキング研修(1日間)

ねらい:
・ラテラルシンキングとロジカルシンキングの思考法を理解し、問題解決のためにはその2つを
柔軟に使いこなすことに納得感を持って職場での実践イメージを持つ

学びのポイント:
・ロジカルシンキングだけでは解決できない問題に対して、思考を切り替えることの必要性を
理解する
・ラテラルシンキングの思考法について学ぶ
・ラテラルシンキングとロジカルシンキングを業務の中で使えるイメージを持つ

内容:
①エレベーター問題を考える

待ち時間が長いエレベーター問題を考えることを通じて、ロジカルシンキングの限界と
ラテラルシンキングの必要性を実感します。エレベーター問題とは、だれもが経験したことが
ある、なかなかエレベーターが到着してくれないことに対する解決策を考えるものです。
エレベーターの数を増やしたり、速度を上げたりというのが一般的な考え方ですが、
「前提を疑う」ことで、たとえばエレベーターの横に鏡を取り付けて待ち時間を短く感じさせる、などの新しい視点での解決法を考えることができます。

②ラテラルシンキングの必要性
新しい価値を提供し続けることが必要な時代であることを理解し、ロジカルシンキングとの
補完関係について学びます。そして、実際に新しいアイディアをみつける練習をします。

③思考のツール~発散と収束~
マンダラートなどを活用したブレインストーミングや、SCMAPER、シックスハット、
マインドマップなど、先入観や思い込みから逃れ、新しい発想が生まれる手法を体験し習得
します。また、ロジカルシンキングを活かしてアイディアを収束させ、具体化する練習もします。

④活用のイメージをつかむ
これまでのまとめとして、「既存の商品を使った新しいサービスを考える」演習をおこない、
職場での実践イメージを具体的に、受講者が現場で使えるよう背中を押します。

弊社では、個社ごとにフルスクラッチのカスタムメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが450名以上おり、
個社ごとに合った研修を、バリエーション豊富にプロデュースできます。
ラテラルシンキング研修のバリエーションも豊富です。本記事を参考に、ぜひ、自社に合った
ラテラルシンキング研修を実施してはいかがでしょう​​​​​​​

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