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Googleも採用するOKRとは何か? ~メリットや導入事例、MBOとの違いを解説~

近年、「OKR」という言葉が、人事領域で注目を集めています。

グーグルやメタ(フェイスブック)で導入され、日本でもメルカリのような成長企業が
導入したことで、注目されるようになりました。

今回のコラムでは、この「OKR」とはどんなものなのか、わかりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.OKRが求められる背景
  2. 2.OKRとは何か
  3. 3.OKRの目標設定方法と評価
  4. 4.OKRとMBOの違い
    1. 4.1.①目的
    2. 4.2.②考え方
    3. 4.3.③個人目標の共有範囲
    4. 4.4.④評価の頻度
    5. 4.5.⑤測定方法
    6. 4.6.⑥理想的な目標達成度
    7. 4.7.⑦全社目標との整合性
  5. 5.OKRの3つのメリット
    1. 5.1.①組織と個人の方向性を合わせることができる
    2. 5.2.②コミュニケーションを活性化できる
    3. 5.3.③重要な目標と成果に集中できる
  6. 6.OKRの導入事例
  7. 7.1on1で、OKRを成功に導く
  8. 8.1on1研修事例紹介

OKRが求められる背景

OKRが注目されるようになったのは、ひと言でいってしまえば、
企業が変革期を迎えているからです。

現代はVUCAの時代といわれ、世界市場が急速に変化し、先を見通すことができません。
また、グローバル化やAI・自動化などのテクノロジー進化とともに、
急速に労働人口が減少し、少子高齢化も進んでいます。

そんななか、企業の非財務指標の価値が見直されています。
特に人的資本には大きな関心が集まっており、
社員一人ひとりの能力向上によって、企業の競争優位性を保つことが求められています。
※人的資本経営については、こちらのコラムで知っていただけます。

これからのビジネスパーソンや組織は、これまでの経験則が通用せず、
正解がみえないなかで、みずから最適解を考え、
スピーディに市場環境に適応して、軌道修正していかなくてはなりません。


OKRは、そんな変革期にある企業が、

・常識にとらわれない発想でイノベーションを起こしたい
・組織風土や組織内のコミュニケーションを改善して生産性を向上させたい
・柔軟な発想ができる優秀な人材を確保したい
・多様な人材を活かすために組織や企業のミッション・ビジョンを浸透させたい

と考え、導入しています。


OKRとは何か

OKRとは目標管理手法の1つで、Objective(目標)and Key Results(成果指標)の略称です。
OKRでは、組織における目標管理と人材開発を一体として考えます。
この点が、OKRの最大の特徴といえます。

O(Objective)は主に定性的な目標です。
組織や個人が「何を目指したいか」「どこに向かうのか」という、目指す状態を設定します。
定量的な目標を設定することもあります。

KR(Key Results)は成果指標で、定量的な目標です。
Oを達成したことをどう判断するか、という視点で設定します。

たとえば、私は今マーケティングチームのリーダーです。
そんな私のOは、「自社サービスの価値をターゲット企業に伝え、
営業チームが対応しきれない量の商談を作り出す」となります。

そして、KRは、以下の3つです。
・ウェブサイトのアクセス数を今の5倍にする
・従業員1,000名以上の、保守的な企業に刺さる訴求ストーリーを展開し、1回あたりの
    ウェビナー参加申し込み50社を確保する
・50社のニーズを顕在化させるナーチャリング施策を展開し、
    営業チームに25社の商談をわたす


このように、KRを達成することが、Oの達成につながるように設定します。
そして、OKRの目的は、会社のあらゆる人・組織を共通の方向に向かって
全力で取り組ませ、生産性を高める
ことです。

目標は、社員のもつ潜在能力を引き出し、育成することにつながっている必要があります。


OKRの目標設定方法と評価

多くの場合、OKRでは「ストレッチゴール」と呼ばれる
挑戦的で難易度の高い目標を設定することが推奨されます。

なぜなら、挑戦的な目標は、従業員のパフォーマンスを高めるだけでなく、
能力開発にもつながるからです。

そのため、“ムーンショット”といわれる、60〜70%の達成率で成功とみなされるような
チャレンジングな目標を設定します。

ただ、それだと「目標に到達しなくて当たり前」という認識が広がり、
甘えが出ることもあります。

その場合は、100%の達成率で成功とみなす、
“ルーフショット”な目標を設定することがおすすめです。

どちらの目標を設定したとしても、
OKRでの評価は、業績評価と連動させず、別運用とすることがほとんどです。

業績評価と連動させてしまうと、
チャレンジな行動や自由な発想が抑制される恐れがあるからです。

そして、評価は全社であれば4半期、
部署やチーム単位であれば毎週~1か月単位の短いスパンでおこなわれ、
人と組織の生産性向上を目指します。


OKRとMBOの違い

OKRは、同じ目標管理手法であるMBOと比較されることが頻繁にあります。
それぞれ、どのような違いがあるか整理しました。

①目的


OKRとMBOの共通の目的は企業の生産性を高めることで、
大きな違いは、人事評価に活用するかどうかです。

MBOは目標の達成度合いを従業員の評価に活用します。

一方でOKRの目的はイノベーションです。

前述のとおり、企業・組織の業績を大きく伸ばすため、
非常にストレッチした目標を達成することに重きを置いていますので、
通常、業績評価とは切り離します。

②考え方


OKRは人材開発とつながっています。
組織や個人の目指す状態を示し、自発的なアクションをうながすことで、
飛躍的な成長をねらいます。

一方でMBOは、一般的にイメージされる業績評価の考え方です。

③個人目標の共有範囲


OKRでは、組織の目指す方向と個人の役割を明確にするため、
全社目標から個人目標まで、全社員で共有します。

これにより、社員の自律的な行動が期待されます。

また、大きな成果を上げるためには、自部署のことだけでなく、
他部署や他メンバーの動きや状況を把握する必要もあるため、
視野が広がり、視座が高まります。

一方で、MBOで目標が共有される範囲は、上司などの限られたメンバーのみです。
人事評価として活用されるため、通常非公開で運用されます。

また、部門ごとに別々で目標を設定することがほとんどですので、
上司が直接確認した方が社内全体で共有するよりも効率が良くなります。

④評価の頻度


OKRでは1週間〜1ヶ月に1回程度と頻繁に評価がおこなわれます。
めまぐるしく変わる環境の変化に応じて、
定めた目標が実態とかけ離れていないか、到達可能かなど、
現状を把握してこまめに軌道修正する必要があるからです。

一方MBOでは、人事考課のタイミングに合わせて半年~1年に1回程度の頻度で評価が
おこなわれます。

⑤測定方法


OKRでは、「SMART」の考え方にのっとって、定量的にスコアリングします。
MBOでも定量的にスコアリングをしますが、
組織によっては定性的な測定も入るなど、さまざまです。

⑥理想的な目標達成度


OKRは前述のとおり、“ムーンショット”と呼ばれる、
高い目標を設定することがほとんどです。

一方MBOでは人事考課と紐づきますので、目標を達成することが報酬と直接関係します。
ですので、目標に対して100%以上のパフォーマンスを出すことが期待されます。

⑦全社目標との整合性


OKRは、組織と個人が同じ目標に向かって進めるように、
全社、部門、チーム、個人の目標が連動するように設定します。

一方でMBOでは、全社目標と個人目標が異なる場合がほとんどです。


OKRの3つのメリット

OKR導入のメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
OKRは企業と社員双方にとって、多くのメリットがあります。

①組織と個人の方向性を合わせることができる


組織が大きく、複雑になるにつれて、
せっかく定めたビジョンやミッションが曖昧になりがちです。

OKRで最初におこなうことは、全社の目標と成果指標の決定、
そしてそれを全社員で共有することです。

そして、部門の目標が達成されると全社目標が達成されるように、
個人の目標が達成されると部門の目標が達成されるように、
目標と成果指標を決めていきます。

そうすることで、組織の方向性を明確にし、メンバーの行動をそろえることができます。
また、企業がどこを目指しているかがわかることは、
社員のモチベーションアップにもつながります。

多様な個性が集まると、組織に遠心力が発生します。
OKRによって、多様な個性をひとつにまとめる求心力を生み出すことができるのです。

②コミュニケーションを活性化できる


OKRで目標を設定し、全社員で共有すると、
自分の行動が周囲に影響を与えることがよくわかります。

そうすると、目標で定めた期間が終了するまでの間、関係者全員で意思疎通を図ろうと、
定期的に意見交換や進捗確認をする機会をつくるようになります。

OKRでは大きくストレッチされた目標を設定します。
自然、役職や部門を超えた強固な連携がないと最終目標の達成は困難です。

このように、OKRは相談や意見交換をする機会が増える仕組みとなっているため、
社内のコミュニケーションが活性化していきます。

③重要な目標と成果に集中できる


日々の業務で、組織の人間関係によって、
タスクの優先順位が曖昧になることがあるのではないでしょうか。

OKRでは、会社の目指す状態とそのための自分の役割が明確になりますので、
組織と自分にとってより重要性が高いシンプルな目標に集中することができ、
タスクの優先順位が明確になります。

また、評価期間が短いこともポイントです。
頻繁に振り返りの機会があるため、本来の目的を見失わず、
重要タスクと成果に向けた仕事に取り組むことができます。

そしてそれは、OKRの目的であるイノベーションにつながり、
飛躍的な生産性の向上が期待できるのです。


OKRの導入事例

Googleは20年前からOKRを実践している代表的な企業です。
OKRを導入した成果は大きく、1998年に創業したGoogleはわずか数年で世界を代表する
大企業へと発展しました。OKRを導入したGoogleでは、

①ストレッチゴールの設定
②OKRの達成度を数値化
③四半期ごとに全社員に公開


の3つを実践しています。

①ストレッチゴールの設定
Googleでは、 自身ができると考える設定値より高い目標(ストレッチゴール)を
3つ設定するよう推奨しています。

50%の確率で達成できる目標こそが、チームや個人のパフォーマンスを最大化
できると信じているからだそうです。

②OKRの達成度を数値化
Googleではスコアリングという手法を取り入れています。
スコアリングシステムとはKey Resultsの達成度合いに応じてスコアをつけるもので、
Googleでは0.0〜1.0のスコア幅で表すルールです。

四半期の終わりに結果を0.0〜1.0までの数値で出します。
最終的に3つのKey Resultsの平均値がObjectiveの達成度となります。

③四半期ごとに全社員に公開
Googleでは四半期ごとに、前期のOKRの結果と、次期のOKRを全社員の前で発表します。
また、毎週の木曜日に、世界各地にTGIF(Thanks God It’s Friday)ミーティングを
リアルタイムで配信し、全社員が見られるようにもしています。


OKRは、

・新しいサービスや製品を開発したり、革新的なアイディアの創出を目指している組織
・組織間で壁がなく、多様な情報にアクセスできる組織
・ビジョンを組織に浸透させ、理念経営を実現しようとする組織
・アジャイル型の組織
・個人が自律し自己実現することを支援しつつ、チームとして連携できる組織

を目指したいというときに、特に有効といわれています。

このコラムではMBOと比較しましたが、
MBOが駄目で、OKRが優れているというわけではありません。

たとえばご紹介したように、GoogleはOKRを導入していますが、
MicrosoftやAmazonは違います。

自組織にあった目標管理手法を導入することが重要です。


1on1で、OKRを成功に導く

OKRを導入しているほぼすべての企業が1on1を並行して運用しているといわれています。
OKRで設定した高い目標を達成するには、個人の能力を最大限引き出し、
また、育成する必要があります。

そのため、リーダーや上司のサポート、チームの協力はなくてはならないものです。

1on1は“対話型”のミーティングで、マネジメントと育成が一体となっていますので、
OKRを機能させるために必須の仕組みといえます。


1on1研修事例紹介

そこでここからは、弊社で実際に実施している1on1研修の事例をご紹介します。
1on1ミーティングを導入するのであれば、部下の主体性や能力を引き出す手法を習得しなくては
いけません。

せっかく導入した1on1をねらい通りに運用するために、演習を含めた5日間の研修を実施し、
現場での定着を目指しました。

【研修事例】

テーマ:

1on1研修

ねらい:
・1on1のより効果的で効率的な手法を「知る」だけでなく「実感」する
・1on1の手法を「身体にしみ込ませ」、現場で「使える」ようになる

内容:
①1on1の意義を考える
1on1の基本的な考え方を理解し、これからの時代に求められるマネジメントを学ぶことで、
そもそもなぜ1on1を実施するのかを腹落ちしてもらいます。

②1on1の基本的な構造を知る
一般的な、「上司-部下面談」との違いを知り、1on1で到達すべきなのはどこなのかを学びます。

③1on1での最高の状態「オートクライン」を起こす条件:心理的安全性編
1on1で最高の状態である「オートクライン」について学び、オートクラインが起こる3つの条件について理解を深めます。

そのうちのひとつである「心理的安全性」を作るためにできることや、「最高の聴き手」になる
ために必要なことを議論し、実践します。

④1on1での最高の状態「オートクライン」を起こす条件:強力な信頼関係構築編
相手が無意識で安心を感じる、強力な信頼関係構築のためにできることを議論し、
とにかく実践します。

⑤1on1での最高の状態「オートクライン」を起こす条件:適度な緊張感編
フロー理論から緊張を紐解き、「時を忘れるくらい、完全に集中して対象に入り込んでいる
精神的な状態」にするための条件を学びます。

また、1on1に必須の質問力を身に付けるワークを実施し、実践します。

⑥1on1に磨きをかける
GROWモデルやマンダラチャートを体験することで1on1に磨きをかけていき、
繰り返し実践します。

弊社では、個社ごとにフルスクラッチのカスタムメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが450名以上おり、
個社ごとに合った研修を、バリエーション豊富にプロデュースできます。
1on1をテーマにした研修バリエーションも豊富です。
本記事を参考に、是非自社の目的や課題に合った研修を実施してみてはいかがでしょうか。

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