コミュニケーションを考える ~聴く力と伝える力×マインド~
求める人材像の要件や採用の際などに必ずといっていいほど「コミュニケーション能力」という
言葉が出てきます。
一般社団法人 日本経済団体連合会の「2018年度新卒採用におけるアンケート調査結果」
によると、選考にあたって特に重視した点は、16年連続で「コミュニケーション能力」が
第1位でした。
それだけ重視されている「コミュニケーション能力」にもかかわらず、縦社会の文化が強い
日本企業では、今なお双方向のコミュニケーションが成立しにくいと言われています。
研修でも、特に新入社員向けのものにはコミュニケーションのコンテンツが入りますよね。
今回は、そのコミュニケーションについてあらためて考え、聴き方・伝え方が何につながるのか
をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.コミュニケーション能力とは
- 2.聴き方のコツ
- 3.伝え方のコツ
- 4.ビジネスコミュニケーション研修事例紹介
コミュニケーション能力とは
対人コミュニケーションにおいて、意思の疎通や感情の交流をうまくおこなう際に必要な能力を「コミュニケーション能力」と呼んでいます。個人対個人でのコミュニケーションもあれば、
個人対集団や集団対集団のコミュニケーションもあります。
また、コミュニケーションには、
言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションの2種類があります。
非言語的コミュニケーションには、語調や抑揚などの言葉に付随する特徴や身体動作、
空間距離、身体特徴、身に付けている付属品などが含まれます。
言語的コミュニケーションは意識されがちですが、非言語的コミュニケーションは無意識に
発信されることが多く、より注意が必要です。
さらに、コミュニケーションにおける非言語的コミュニケーションの持つ影響力は、
50~70%に及ぶと言われています。ですので、コミュニケーション能力の向上を
目指すのであれば、非言語的コミュニケーションの重要性に気づくことも重要です。
対人関係を上手に築いている管理職ほど、メンバーの非言語的コミュニケーションのクセや
特徴に注意を払っていますし、自身の表情や目線の使い方にも気を付けているものです。
また、社内のあらゆる方面の対人関係を上手に築いている人は、聴き上手な人が多いと
言われています。
聴き方のコツ
聴き上手な人との対話は、不思議なくらい会話が続きます。なぜでしょうか。
実は、聴き上手な人たちは、話を聴くコツを心得ているのです。
そのコツを一言でいうと、「共感的理解」をもって話を聴くことといえます。
共感的理解とは、聴き手が自分を見失うことなく、相手の感情や考え、置かれた状況などに関心を持ち、その状況をあたかも自分自身のものであるかのように理解しようとする心構えのことです。
共感的理解に基づく会話が成立すると、相手は「気持ちをわかってもらえた」と満足し、信頼関係が深まっていきます。
共感的理解には心構えや態度だけでなく、以下の5つスキルが重要です。
・受容
・繰り返し
・明確化
・感想
・質問
それぞれ簡単に紹介していきます。
~受容~
あいづち上手は聴き上手といわれます。あいづちにはゆっくりとうなずく、細かく早くうなずく
など、いくつかパターンがありますが、会話を促進するための重要なポイントは、
相手の話すスピードに合わせてうなずくことです。
相手の話すスピードに合わせることで同調効果が生まれます。
また、「うん」や「へぇ」など、あいづちを声に出すことで会話の流れが整います。
さらに、「それから」「そうですね」「たしかに」「わかります」などの言葉を使うことで、
共感の心情をダイレクトに伝えることができます。
~繰り返し~
繰り返しは、相手の話した内容をそのまま繰り返して言うこと、
相手の言葉の尻をとらえてオウム返しすることです。
たとえばAさんが「課長に昇進したよ!」と言ったときに、「課長に昇格したの!おめでとう!」と返すと、共感的な返事となり、Aさんの喜びは倍増します。
また、「昇進試験に挑戦するか迷っているんだ」と言った時に
「昇進試験に挑戦するか迷ってるの?」と返すことで、相手の共感を誘うこともできます。
繰り返しは、あなたの話に関心がある、というサインとして相手に伝わるので、
自然と相手の話を引き出せるのです。
なお、繰り返しでは、何を繰り返すかが重要となります。
喜び、悲しみ、怒り、後悔、感動など、相手が感情をこめて言った部分を繰り返すと、
共感的理解が深まり、相手との信頼関係が強化されます。
~明確化~
会話の中で相手が適切な言葉や言い回しを思いつかない、また感情が高ぶって沈黙してしまうことがあります。このような場合に求められるのが明確化です。
たとえば
Aさん「〇〇さんに提出した資料の出来が良くないって言われまして・・・」
Bさん「でも、〇〇さんに言われたとおりに作ったんだよね?」
Aさん「そうなんです。なんか、ちょっと・・・・」
Bさん「それはちょっと悲しい気持ちになるよね」
のような会話では、BさんがAさんの気持ちを推察して明確化(代弁)しています。
明確化とは、
・相手の要求を見抜いて「~しようか」などと提言する
・相手の気持ちや考えを推察して「~なのか」などと言う
ことで、たとえそれが間違っていたとしても、受容的・積極的な姿勢が伝わるため、
相手も信頼感や満足感を抱くようになります。
~感想~
相手の話を聴いている途中で感想を伝えたくなる時があります。
そんな時は短くひと言で伝えるのがコツです。「よかったね!」「やったね!」など、
ひと言で感想を伝えると、相手に気持ちよく話してもらうことができます。
~質問~
会話の中で「いつ」「どこで」「だれが」「何が」「なぜ」「どうやって」「どのくらい」
という質問は、相手の話を促す効果が高く、積極的に活用すると良いです。
伝え方のコツ
優れた知識や卓越した技能を持ったマネジャーがいたとしても、それをうまくメンバーに伝える
技術がなければメンバーやチームのパフォーマンス向上にはつながりません。
伝え方のコツをいくつかご紹介します。
・自分の要求と感情を明確に表現する
私は、私の、と冒頭に伝えることで、責任の所在が明確になり、メッセージが持つ伝達力や
聴き手を動かす力が増します。
・メッセージを理解するための充分な情報を与える
目的や背景を相手に伝えることで、意図を汲み取り、目的から逆算した行動を
とってもらいやすくなります。
・事実としてのメッセージと意見としてのメッセージを分ける
報告をする時や相手に対してフィードバックをするときには特に事実と意見を分けることで
齟齬や誤解を防ぐことができます。
ビジネスコミュニケーション研修事例紹介
ここまでご紹介した通り、ビジネスにおいてコミュニケーション能力を高めることは、
メンバーやチームのパフォーマンスを高めることにつながります。
今回は、そんなコミュニケーション能力を高める研修の中でも、最近多い
「アサーティブコミュニケーション」や「コンフリクトマネジメント」に重心を置いた研修を
ご紹介いたします。
弊社では、個社ごとにフルスクラッチのカスタムメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが450名以上おり、
個社ごとに合った研修を、バリエーション豊富にプロデュースできます。
本記事を参考に、是非自社に合ったコミュニケーション研修を実施してみてはいかがでしょうか。
***以下、研修事例***
【自身のコミュニケーションの特徴や多様性を理解する】
4種類のコミュニケーションスタイルを知り、グループワークでの自分の
コミュニケーションスタイルと特徴を振り返ります。
また、他のメンバーのコミュニケーションスタイルにも興味を持ち、
それぞれに癖や違いがあることを理解を深めます。
【多様な人々と協働するためのアサーティブコミュニケーションを学ぶ】
アグレッシブ(攻撃的)、アサーティブ(自己主張)、パッシブ(受け身)
という行動の特徴を知り、そのコミュニケーションが相手に与える影響について考えます。
自分自身のアサーティブ度を簡易テストでその場で計測します。
【アサーティブ実践演習】
職場のありがちな場面を想定したケーススタディを題材に、断りづらい状況で
相手を尊重しながらうまく断る練習をする。
効果的に伝えるための4つのステップをヒントにトレーニングします。
【衝突を解消するためのコンフリクトマネジメントを学ぶ】
コンフリクトが起こる原因とその効果を学びます。
コンフリクトに秘められた「感情」「ロジック」という2つのニーズを理解します。
【コンフリクト実践演習】
ペアになって傾聴のロールプレイングをしながらコンフリクトな状況を解消するために、
「感情」「ロジック」で相手に訴えかける流れを、解決のための5ステップをヒントに
トレーニングをおこなっています。
【実践への架け橋】
職場での行動変容をねらい、誰とのどんな場面のコミュニケーションをどのように変えるのか?
その結果何を手に入れるのか?それをいつまでに達成するのか?
といった切り口で目標を設定します。