女性のキャリアと子供の発達を考える
近年、多様性やジェンダーレス化といった社会の進展や、
私たちの意識の変化に伴い、
女性の管理職登用など、
女性のキャリアにおけるチャンスと可能性が広がっています。
そういった現状は大変喜ばしいことなのですが、
一方で仕事と育児の両立は、
男性の育児参加が進んできたとは言っても、
未だ女性にとって非常に大きな問題を抱えています。
そこで今回は、
女性のキャリア発達について知っておきたい知識に加えて、
人事担当者が見落としがちな
「子どもの発達」
という側面から取り上げてみたいと思います。
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女性のキャリア発達における人事施策上のポイント
では、女性のキャリア発達を支援する際に、
人事担当者がどのような知識を持って各種の人事施策を実施するべきか、
今回は特に乳幼児期の発達の観点から
解説していきたいと思います。
自己理解とキャリアパスにおける出産の影響を理解する
女性に限らず、
自らのキャリアをどう描くかは、自己理解と
「今後自らがどのような仕事に携わっていくか(いきたいか)についての理解」
が重要です。
自己理解では、
学生時代を含む自らのキャリアを振り返りながら、
そこで得て来た知識や経験を棚卸し、
整理することで、「自らの強みや弱み」を把握することが重要です。
この「自らの強みと弱み」をしっかりと把握したうえで、
どのような教育訓練(キャリアパス)が望ましいかを
検討することが可能となるからです。
しかし、出産を望む女性にとって20代後半から30代半ばの時期は、
一時的とはいえ、キャリアが中断したり、
停滞したりすることは避けられません。
人事労務的な観点から考えると、
この時期の支援制度は、
産前産後休業や育児休業となることがほとんどかと思います。
つまり、この時期の女性が
具体的にどのような子どもの養育上の問題を抱えているのか、
この点について人事担当者はしっかりと把握し、
適切なサポートをおこなうことが重要です。
そのためには、女性社員としてだけではなく、
「乳幼児の養育に立ち向かう母親」
としての面を人事担当者も理解し、
率先してサポートする姿勢が大切です。
乳幼児の発達と女性(母親)への影響
では、0歳から3歳までの
乳幼児の身体的生理的発達を解説していきます。
この時期は、親にとって喜びに満ちた時期でもありますが、
同時に困難を伴うことが多々あります。
それは、育児における体力的負担、
睡眠不足、子供の安全への気配り、自己の時間の減少などです。
乳幼児の運動能力と母親のストレス
0歳から3歳までの幼児は、
驚異的な成長を遂げていきます。
つい先日まで、生まれたばかりだったはずの赤ちゃんは、
体重や身長が急速に増加していき、
最初の数カ月で首のコントロールが向上し、
寝返りや座ることができるようになります。
さらに1歳を超えると、
歩行や走るといった大きな運動のスキルが発展します。
乳幼児がこの時期に身につける運動スキルや健康的な習慣は、
将来の成長や健康に大きな影響を与える要素となるため、
幼児期の成長を見守り、
適切な環境で健全な身体的発達を促進することが重要となります。
とはいえ、それは口で言うほど簡単なことではありません。
もちろん個人差はありますが、
子どもは、多くの場合常に動き回り、
母親は目を離すことができません。
母親は抱っこ、おんぶ、走り回る子供に追いつくなど、
体力的な負担が大きいことがほとんどです。
特に1歳前後には、赤ちゃんがつかまり立ちや歩行を始め、
母親は常に子供のサポートや見守りをおこなう必要があります。
また幼児期に入ると、
多くの子どもは好奇心旺盛で、
物事に対する興味が尽きません。
母親はいつも子どもの行動に目を光らせ、
安全を確保する必要があります。
例えば配偶者男性(父親)が安易に吸ったタバコや
片づけなかった小さなおもちゃが、
誤飲などの事故を招くこともあります。
こういった事故や怪我を防ぐためには、
子どもが触れてはいけないものや危険な場所を避ける必要があり、
これが母親にとってストレスとなることは想像に難くありません。
特にタバコなどは、
子どもへのリスクを考えない父親の態度そのものが、
母親にとってはストレスになることもあります。
睡眠不足と疲労
乳幼児は睡眠サイクルが短く、
夜中に何度も目を覚ますことがあります。
これにより、
母親は夜間の授乳や添い寝、
寝不足に悩むことがあります。
継続的な睡眠不足は、
日中の活動に影響を与え、
母親の体力と気力を低下させる要因となります。
それは、これらの問題に対処するのは、
大抵の場合、女性だからです。
多くの男性はまだまだ
「俺は仕事があるんだから寝かせてくれ。お前は時短なんだから
(又はお前は給料が俺より低いんだから)、
子どもの世話は母親(妻)がするものだ」
とばかりにベッドから出ないケースが多いのが現状です。
健康的な生活習慣の形成
乳幼児期は、
健康的な習慣を形成する重要な時期でもあります。
栄養バランスの取れた食事や運動は、
幼児の成長に不可欠です。
十分な睡眠も重要であり、
質の高い睡眠は身体的な発達に寄与します。
とはいえ、こういった知識がさらに母親を追い詰めることもあります。
離乳食を食べない、食が細い、作ってもポイっと捨ててしまう。
夜泣きが多く眠らない…
このような問題に対して、
母が「きちんと養育できない」ことで自らを責めてしまい、
メンタル不全に陥ることも珍しくないのです。
メンターシップとサポートの重要性
このように、
育児だけでも母親として女性の疲労感や身体的なストレスが
どれだけ大きなものになるか…。
特に昭和・平成中期までの男性上司は
育児に参加した経験が乏しく、
これらの理解が全くないことすらあります。
こういった「育児参加の経験のない男性上司」
の意識を変えることが、
まず人事施策の第一歩と言っても過言ではありません。
子の養育と仕事を両立しながら、
女性が十分に納得したキャリア形成をサポートしていく。
そのためには、
社内カウンセリング制度やメンター制度など、
制度として企業がおこなうバックアップや、
職場の理解が欠かせません。
例えば、女性がリーダーの地位に進む際、
子どもの養育の問題は検討ポイントとして大きな比重を占めます。
もしかすると、職場には話せていないだけで、
養育している子どもが何らかの障がいを抱えている可能性もあります。
こういったとき、
守秘義務のある社内カウンセラーによる支援や、
しっかりとした研修を積み、
経験も豊富であるメンターからのアドバイスやガイダンスは、
大きな助けになることがあります。
また、職場が女性のキャリアや、
とくに幼児の発達についてしっかりと理解すること、
そしてその理解に基づいたサポートを制度として構築することで、
子どもの養育上のトラブルなどにより、
遅刻や早退、欠勤等が生じた場合でも、
職場全体がストレス状態に陥ることなく、
また女性自身が引け目を感じることが無くなっていきます。
そういった心理的安全性により、女性も男性も、
仕事と家庭のバランスを保ちながら
キャリアを発展させることが可能となるのです。
女性がリーダーシップを十分に発揮できるためには、
子の養育問題を知ることも大事
子どもの養育にはトラブルがつきもの。
そのトラブルを引け目に感じてしまうような職場では、
女性がリーダーシップを発揮することは難しいでしょう。
女性が自信を持ち、
リーダーシップを発揮できるように環境を整備することが、
人事施策として非常に重要なポイントとなります。
そうすることで、
女性が自身の職場での価値を認識し、
自分のアイデンティティを保ち続けることができるようになり、
同僚や部下といった
職場の仲間を導く力も養うことができるのです。
「育児参加経験のない男性上司」の意識を変える研修事例
文中で述べたとおり、女性のキャリア形成を支援するためには、
「育児参加の経験のない男性上司」
の意識を変えることが、
まず人事施策の第一歩と言っても過言ではありません。
そこでここからは、
男性上司の意識を変える研修事例を2例ご紹介します。
①管理職向けアンコンシャスバイアス研修
多様性を受容し、
個性を活かすことでイノベーションを起こせる組織をつくる、
という文脈でアンコンシャスバイアスへの対処法を学ぶ研修事例です。
女性活躍ではなく、
「個性」を前面に打ち出すことで、
男性上司に研修内容を受け入れやすくしました。
詳しいカリキュラムや受講者の声は以下のから知っていただけます。
②男性上司向けダイバーシティマネジメント研修
男性上司には男性上司の築いてきたキャリアがあり、
会社には会社の築いてきた成功パターンや文化があります。
簡単に、「女性に対して理解を」と言われても、
どうしていいかわからない、
という男性上司は多くいます。
そこで、男性上司の悩みがグチを吐き出してもらい、
それに対して現場で実際にどうするかを学べる研修が必要です。
詳しいカリキュラムや受講者の声は以下から知っていただけます。
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