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メンタルヘルスの基礎知識:人事担当者が知っておきたい「お薬の副作用」と対処法

働き方改革では「一億総活躍社会」の実現を目指し、
「女性」や「高齢者」「外国人」などの多様な人材の活用が求められています。

そのことは、人事労務や人材採用に携わられている担当者の方であれば、
既に耳にタコができるほど日々取り組まれている課題ではないでしょうか。

そして、「一億総活躍社会」の中には、
障がいを抱えた方(障がい者)も当然ながら多数含まれています。

人事労務担当者の方にとって、
この「チャレンジド」と呼ばれる障がい者の方をどのように雇用していくかは、
特に大きな関心事ではないでしょうか。

目次[非表示]

  1. 1.障害者の法定雇用率の段階的な引き上げ
  2. 2.障がい者雇用の概要と現状
  3. 3.「障がい」?それとも「副作用」?
    1. 3.1.抗うつ薬
    2. 3.2.抗不安薬
    3. 3.3.抗精神病薬
    4. 3.4.副作用による生産性への影響
  4. 4. コミュニケーションとサポート
  5. 5.まとめ
  6. 6.障がい者の活躍を推進するならカスタムメイド研修をご利用ください
  7. 7.エナジースイッチの障がい者活躍を推進するカスタムメイド研修事例

障害者の法定雇用率の段階的な引き上げ

障害者雇用率については、
障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則等の改正により、
2024年4月から障害者の法定雇用率が
段階的に引き上げられることが決定しており、
法定雇用率をどのように満たしていくか、頭を悩ませている方も多いと思われます。

現在、一般民間企業における障害者の法定雇用率は2.3%とされています。

しかし2024年4月より2.5%、2026年7月より2.7%へ
段階的に引き上げられることが、既に決定しています。

これにより、
2024年4月から障害者を最低1人は雇用しなければならない事業主の範囲が、
「従業員40人以上」、そして2026年7月からは「従業員37.5人以上」
と拡大されることになっています。

障がい者雇用の概要と現状

障害者雇用の対象となるのは、既にご承知のとおり、
身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者です。

なかでも身体障がい者は、「障害者雇用促進法」の元となった
「身体障害者雇用促進法」(1960年制定)において、
いち早く雇用促進の対象とされています。
(1987年に現在の障害者雇用促進法となり、
適用対象となる障がい者の範囲が段階的に拡充され、
知的障がい者(1987年)、精神障がい者(2018年)が対象となっています。)

こういった経緯もあり、身体障がい者の方の雇用は、
全障がい者雇用人数の6割程度を占めています。

また、身体障がい者の場合、
障がいによる「生きづらさ」や「必要なサポート」が比較的把握しやすいこと、
またビジネス上のコミュニケーションについても、
一般的に健常者と変わらないケースも多いことから、
障害者雇用の主力となっていました。

しかし、障害者雇用率の上昇により、
身体障がい者の方だけで障がい者雇用率を満たすことが難しくなってきたこともあり、
現在は知的障がい者の方や、精神障がい者(発達障がい者を含む)の方の採用も
積極的におこなわれるようになってきています。

「障がい」?それとも「副作用」?

先ほども少し触れましたが、身体障がい者や知的障がい者の場合、
その「生きづらさ」や「一般的な就労において必要とされるサポート」が
比較的把握しやすいこと、また職場内理解が得やすいこともあり、
就労が進んだ面があります。

しかし、精神障がい者の方の場合、
通院治療が必要となっていることが多く、
その際に様々な薬物療法が行われていることが一般的です。

そのため、精神障がい者の方の「言動」が「障害」によるものなのか、
「お薬の副作用」によるものなのか、
素人目には分からないことも少なくありません。

そのため、今回のコラムでは、あくまで基本的な知識として、
人事担当者が把握しておく方がよいと思われる、
精神障がい者の方が服用しているお薬と、その副作用について、
お伝えできればと思います。

抗うつ薬

抗うつ薬というと「抑うつ状態」や「うつ病」の治療に
使用されるお薬のイメージが強いかと思いますが、
パニック障害や強迫性障害、社交不安症などにも効果的とされており、
一般的なイメージよりも幅広く使われています。

副作用はそれぞれのお薬に特徴がありますが、
特に人事担当者の方に知っておいていただきたいのは、
「眠気」や「悪心」です。

悪心とは “吐きたい”という不快な感覚ことを言います。

そのため、食事などによっては嘔吐にも繋がりやすいため、
人事担当者として把握しておきたい副作用と言えます。


また、頭痛などの副作用があるお薬もあります。

特にパソコンを使う仕事や細かい仕事を長時間継続する場合、
頭痛が発生しやすくなる可能性もあるため、適度な休息を取り入れる必要があります。


また長期間にわたって服用していたお薬を減らすことにより、
離脱症状(頭痛や集中力低下等)が生じることもあるため、
お薬の服用状況を把握することも必要に応じて行うとよいでしょう。

抗不安薬

抗不安薬は、不安症や不眠などの治療に使用されます。

一般的な副作用には、眠気や注意力の低下の他、
ふらつきや車等の操作能力の低下があるため、
特に工場や現場作業など、足元が不安定な職場で働かざるを得ない場合や、
車の運転などが業務に含まれる場合、
人事担当者としてきめ細やかなヒアリングを行い、労働能力を把握することや、
業務への適応をサポートすることが求められます。

抗精神病薬

抗精神病薬は、精神疾患や統合失調症などの治療に使用されます。

一部の薬物は、体重増加や動作の遅さなどの副作用を引き起こすことがあるほか、
不安や不眠、また胃腸の不快感などが生じることがあります。

特に、新しい業務や新しい環境、人間関係の変化などがある場合、
そういった変化と相まって、お薬の副作用が業務に及ぼす可能性を理解し、
適切な調整をサポートすることで、
トラブルを未然に防ぐことができることもあります。

副作用による生産性への影響

副作用は、仕事において生産性に直結する可能性があります。

眠気や注意散漫さは、業務の品質や効率に悪影響を与えることがあります。

従業員とのオープンかつ包括的な対話を通じて、
これらの影響を共有し、業務に最適な対策を検討することが大切です。


また、従業員が適切な休息をとることができるような環境づくりや、
特別な仕事調整の柔軟性を提供することで、
生産性の低下を最小限に抑えることができます。

 コミュニケーションとサポート

メンタルヘルスのサポートは、コミュニケーションが鍵となります。

まずは人事担当者と薬物治療を受けている従業員が
オープンな対話をおこなえる制度や環境を整えることが最初のステップになります。

その上で、職場全体で薬の副作用を中心とした薬物治療に関する情報を共有し、
必要なサポートを検討し、
従業員本人の賛同や確認を取りながら進めることも大切です。

特に、その従業員本人と一緒に作業等をおこなう同僚や上司との
コミュニケーションは非常に重要になるため、
時間をかけて服薬治療や精神障がいについての理解と協力を築くことが求められます。

具体的な例として、
精神障がい者の方とその周囲の従業員の方のための社内相談窓口の設置があります。

※社内での担当者選任が難しい場合は
社外のカウンセラーなどに委託するのも一つの方法です。


その上で、人事担当者は、
スタッフからのフィードバックなどを活用しながら
メンタルヘルスのサポートプログラムを積極的に改善・提供し、
従業員が安心してコミュニケーションをとり、
サポートを受けられる環境を整えることが必要です。

まとめ

メンタルヘルスの基礎知識は、人事担当者にとって不可欠です。

従業員が精神薬物治療を受ける場合、
その副作用を理解し、適切なサポートを提供することは、
働く環境をより理解し、健康な組織文化を築く一環です。

精神障がいを抱えた方は、
決して「扱いづらい」人材ではありません。

繰り返しになりますが、周囲が適切な知識と理解を持つこと、
そしてその知識と理解をベースに、ヒアリングなどをおこない、
最適な雇用環境を提供することで、
身体障がい者の方や、知的障がい者の方と同様、貴社の戦力になる人材です。

また、2024年4月1日以降は、
週10時間以上20時間未満勤務の障がい者についても、
障がいの状態に応じて、実雇用率において算定できる改正法が
施行されることにもなりました。

コミュニケーションと適切なリソースの提供を通じて、
従業員のメンタルヘルスと仕事の調和を促進することが、
組織全体の活性化につながります。


参考文献:医学書院「公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法」 編集       下山 晴彦 / 中嶋 義文 編集協力             鈴木 伸一 / 花村 温子 / 滝沢 龍 2016年

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