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「レジリエンス」とは? ~ビジネスでの意味や注目 される理由、高める方法、研修事例をご紹介~

困難な状況や失敗したときなど、
ストレスが大きくかかるシーンで、すぐに諦めてしまったり、
見て見ぬふりをしてしまうことは、誰もがあるのではないでしょうか。

「もっとチャレンジしてほしい」、「ピンチをチャンスに変えてほしい」という言葉が、
経営層や管理職層の方からよく出てきますが、
実際に行動できる人はそれほど多くはありません。

人間は感情で動きますので、
いつでも前向きにチャレンジを続けられるかといわれると、そうではありません。

ですが、優秀なビジネスパーソンといわれる人は、困難な状況にあたったときに、
その壁を乗り越えようとする傾向が強いです。

また、ストレスがかかったときの回復も早い傾向があります。

このような外的圧力を撥ね返す力を持つ人を、
“レジリエンスが高い人”と表現することがあります。

今回のコラムでは、そんなレジリエンスについてご紹介し、具体的な研修事例とともに、
レジリエンスの意味や注目される理由、高める方法をお伝えします。

目次[非表示]

  1. 1.レジリエンスの意味とは
  2. 2.レジリエンスとストレス耐性との違い
  3. 3.レジリエンスとメンタルヘルスとの違い
  4. 4.なぜレジリエンスがビジネスで注目されているのか
  5. 5.レジリエンスにおける精神的回復力の構成要素(3因子)とは
  6. 6.レジリエンスの「危険因子」と「保護因子」 ~具体例とともに簡単に解説~
    1. 6.1.危険因子
    2. 6.2.保護因子
  7. 7.人はなぜ諦めるのか
  8. 8.レジリエンスを高めるメリット
    1. 8.1.①社員の心身の負担を軽減することができる
    2. 8.2.②困難のなかにあっても、目標達成に向けて行動できるようになる
    3. 8.3.③人間関係が良好になる
  9. 9.レジリエンスを高める方法とは ~簡単に諦めないための技術~
    1. 9.1.①自己肯定感を高める
    2. 9.2.②他者(ロールモデル)のマネをする
    3. 9.3.③ABCDE理論を知り、活用する
    4. 9.4.④計画的な問題解決を実行する
    5. 9.5.⑤周りを頼る
  10. 10.レジリエンスが高い人の3つの特徴とは
    1. 10.1.①柔軟性が高い
    2. 10.2.②感情をコントロールできる
    3. 10.3.③楽観的な視点を持ち、自分自身の本音・感情に気づいて大切にする
  11. 11.企業のレジリエンスを向上させるための人材育成研修事例

レジリエンスの意味とは

レジリエンスとは、「回復力」や「しなやかさ」、「復元力」を意味する英単語です。

もともとは物理学の世界で使われていましたが、近年、心理学やビジネス・組織論など、
幅広い領域で注目を集めています。

心理学用語におけるレジリエンスは、
ストレスを受けたときの「精神的回復力」を指します。

人は、同じストレスを受けたとしても、
「トラウマから抜け出せない人」と
「トラウマを克服できる人」に分かれるといわれています。

このようなストレスの受け止め方の差は、レジリエンスの違いにより発生します。

レジリエンスには明確な定義がなく、ビジネスの世界では、
逆境に対する反応としての精神的回復力や自然的治癒力
ストレスや逆境にさらされても、適応し、自分の目標を達成するために再起する力
のような意味で使われることが多いです。


レジリエンスとストレス耐性との違い

レジリエンスと似た意味で使われる言葉に、「ストレス耐性」があります。
ストレス耐性とは、ストレスを感じた個人が、
受けたストレスに耐えられる程度を意味しています。

上司や会社からの指示に従って、とにかく一生懸命仕事をすればいい時代であれば、
ストレス耐性が高ければ優秀なビジネスパーソンといえましたが、
新型コロナウイルス感染症の影響により変化のスピードが加速し、
明確な答えが分からない現代では、“適応力が高い”ビジネスパーソンが求められています。

また、「ストレスコーピング」という言葉もあります。
ストレスコーピングは、「ストレスに対処する」という意味を持ち、
ストレスに対する考え方や感じ方を変化させたり、ストレスの原因に働きかけたりします。


レジリエンスとメンタルヘルスとの違い

もうひとつ、レジリエンスと似た意味で使われる言葉に、「メンタルヘルス」があります。
メンタルヘルスは、
社員を悩ませるストレスや精神的な疲労を緩和してくれるサポートのことです。

他者からのサポートがメインになっているところが、レジリエンスとの大きな違いです。

メンタルヘルスも、社員の心身の健康を維持するために、非常に大切な取り組みです。


なぜレジリエンスがビジネスで注目されているのか

ビジネスにおいて、レジリエンスが注目され始めた背景には、
近年の急激な社会情勢や事業環境の変化が影響しています。

前述のとおり、現代は新型コロナウイルス感染症の影響により変化のスピードが加速し、
明確な答えがわからないVUCAの時代です。ウクライナ情勢や為替変動など、
大きな環境変化に振り回されている企業は多くありますし、
一方でSDGsやダイバーシティ&インクルージョン、人的資本開示、リスキリング、
DXのような潮流にも対応しなくてはいけません。

そんな大きな変化が続くなかでも企業が持続的に成長するためには、
いつ、どのような危機や困難に直面したとしても、
柔軟に対応して乗り越えていく力が必要です。

そこで今、レジリエンスが高い人材や組織に注目が集まっているのです。


レジリエンスにおける精神的回復力の構成要素(3因子)とは

組織および個人のレジリエンスを構成する要素には、
以下の3つの因子があるといわれています。

①新奇性追求
さまざまな分野やできごとに関する関心や新しいことに挑戦する気持ち

②感情調整
ネガティブやマイナスの感情に対してみずからをコントロールし調整すること

③肯定的な未来志向
前向きな未来に向けて明確な目標やビジョンを持ち、
実現するための具体的なプランを描く、といった未来に対する期待感

精神的回復力には個人差があり、精神的回復力尺度を用いて測定します。
レジリエンスが高い人は、この精神的回復力尺度が高い傾向にあります。


レジリエンスの「危険因子」と「保護因子」 ~具体例とともに簡単に解説~

レジリエンスを正しく理解するうえで知っておきたい用語が、
「危険因子」と「保護因子」です。

危険因子


危険因子とは、困難な状況やストレスをもたらす原因となるできごとです。

具体的には、戦争や災害、不健全な家庭環境、人間関係のトラブル、
病気、貧困、虐待などが挙げられます。

レジリエンスを高めることで、
このような危険因子と適切に向き合うことができるようになります。

保護因子


保護因子とは、困難な状況やストレス、ネガティブな気持ちを乗り越える力のことです。
つまり、レジリエンスを機能させる要因といえます。

個人の性格や考え方、特性といった先天的なものもあれば、
相談相手、家族、友人、職場などでの人間関係といった後天的な環境要因もあります。

また、問題解決能力のような、後天的な能力因子も保護因子のひとつです。

こうした保護因子の質を高め、数を増やすことで、
レジリエンスを高めることができるといわれています。


人はなぜ諦めるのか

ビジネスは、勝ち負けや成功・失敗が誰の目にも明らかになるという点で、
とてもストレスがかかり、ビジネスパーソンとしての力量が常に試される
過酷な状況であるともいえます。

このような状況で、努力してもうまくいかなかった経験を何度かすると、
「努力してもムダ」という考え方が根づき、前向きな行動をとらなくなります。

このような状態を、心理学では「学習性無力感」と呼んでいます。

学習性無力感の状態が続くと、向上心がなくなったり、
仕事で本来の実力が発揮できなくなり、最悪離職につながります。

ただし、失敗経験を繰り返すと誰もが諦めやすくなるのかというと、
そう言い切れないことも分かっています。

「マインドセット」の著者、ドゥエックによると、
失敗の原因を自分の「能力や才能の欠如」と考えてしまう人のほうが、
「練習や努力の不足」と考える人よりも無力感が促進されるとされています。

また、他者からの目を気にする「評価懸念」が高い人のほうが、
他者よりも良い成績をとることに重きを置く「成績目標」を持つ人よりも
やる気が低下しやすいともいわれています。

そういう人は、たとえば目の前の状況に一喜一憂しがちです。

こうした考え方の違いが、学習性無力感の発生に影響します。


レジリエンスを高めるメリット

ビジネスにおいてレジリエンスを高めるメリットには、以下の3つがあげられます。

①社員の心身の負担を軽減することができる


業務量の増加や職場環境の変化、人間関係のストレスなどにより、
心身のバランスを崩す社員は、決して少なくありません。

また、予定通りに進まない仕事やお客様の都合に振り回される仕事も多くあります。

そんなとき、レジリエンスを高めることによって、ストレスへの適応力や回復力が高まり、
社員の心身の健康を守ることができます。

②困難のなかにあっても、目標達成に向けて行動できるようになる


VUCAの時代、企業やビジネスパーソンには、変革が求められることが増えています。

そんなときに重要なのが、失敗や責任などのプレッシャーに負けず、
柔軟にチャレンジするマインドです。

そして、そうしたマインドを持つことは、
目標達成に向けて行動する力の向上にもつながります。

社員個人としても、企業としても、
レジリエンスを高めることは、持続可能性を高めることにつながるといえます。

③人間関係が良好になる


人のストレスのほとんどが、人間関係に起因するといっても過言ではありません。
レジリエンスが高い人は、そんな人間関係のストレスに過度に反応せず、
うまく受け流し適応することができます。

社員一人ひとりのレジリエンスを高めることで、
人間関係のトラブルが減り、人間関係が良好になることが期待できます。


レジリエンスを高める方法とは ~簡単に諦めないための技術~

レジリエンスは後天的に鍛えることができるとされている能力です。
日々の努力がレジリエンスを高めます。

では、レジリエンスを鍛え、簡単に諦めないようにするためには、
どのような方法があるのでしょうか。

今回はいくつもある方法のなかから、5つをご紹介します。

①自己肯定感を高める


自己肯定感を高めるためには、まず仕事のやり方や結果によって、
自分の人間としての価値が決まるのではないことを十分に認識し、
失敗の原因は才能や能力の欠如にあるという思考パターンを改善する必要があります。

そのうえで、強みはもちろん、弱みも自分らしさだと受け入れることで、
ありのままの自分を肯定することができるようになります。

また、小さなことで十分ですので、たとえば
「この仕事を定時までに終わらせる」など現実的な目標を立て、
達成する成功体験を積み重ねることでも自己肯定感を高めることができます。

②他者(ロールモデル)のマネをする


自分がマネしたいというロールモデルを立てて、マネをすることで、
考え方や行動をどう変えればいいのか具体的なイメージを持つことができます。

また、身近にいるロールモデルの成功体験を観察することで
「自分にもできるかもしれない」と思えるようになりますし、まずはひとつマネをして
実行することで、他者の成功体験を自分の成長に活かすことができます。

③ABCDE理論を知り、活用する


ABCDE理論は、
アメリカの臨床心理学の権威、アルバート・エリス博士が提唱したカウンセリング理論です。

悪い思考を自問自答で修正していくもので、感情のコントロールにもつながります。

ABCDEはそれぞれ、

A:Activating Event(出来事や外部からの刺激)
B:Belief(受け止め方、認知、ものの見方)
C:Consequence(感情や行動、結果)
D:Dispute(非合理的なBへの反論、または自問自答)
E:Effect(Dの効果や影響)

です。

出来事(A)に対する受け止め方やものの見方、考え方(B)によって、感情や行動(C)
が起こります。この時の考え方(B)がネガティブであれば、それによってネガティブな
感情が引き起こされ、行動や結果(C)も非生産的なものにつながります。

そこで、上述の(B)に対する反論(D)をおこなうことで、出来事(A)を多角的に見られる
ようになり、適切な感情や行動が生まれ、良い効果(E)につながる、という考え方です。

この理論を活用することで、思考パターンをポジティブなものに変え、
自分の感情をコントロールできるようになります。

④計画的な問題解決を実行する


問題を解決するための計画を立てて、解決方法を模索します。

「何が良くないのか(問題)」ではなく、
「どうすればいいのか(解決)」に焦点をあてて、
初動を具体的に考えられるようになることで、
物事に対する否定的な見方が改善され、行動を変えることができます。

⑤周りを頼る


とても重要な要因ですが、特に日本人は苦手な人が多いです。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」を肝に命じて、
同僚や上司、友人や外部の専門家などにアドバイスを求めます。

一方的に言われる意見には耳を傾けにくいですが、
自分からアドバイスを求めることで相手の意見を受け入れやすくなります。


レジリエンスが高い人の3つの特徴とは

レジリエンスを鍛えることで、どんな人になれるのでしょうか。
レジリエンスが高いといわれる人には大きく3つの特徴があります。

①柔軟性が高い


大きなストレスがかかるビジネスの場面でも、思考に柔軟性を持つことで、見方を変え、
ピンチをチャンスに変えたり、違った側面から物事を考え直すことができます。

発想を転換することで、困難な状況にあっても
「自分なら達成できる」「自分は一歩一歩前進している」
と思い、挑戦し続けることができます。

②感情をコントロールできる


ストレスがかかる場面では、感情的になりがちです。

また、自分の感情に振り回されてしまうと、
そのこと自体も大きなストレスになってしまいます。

目の前で起こった出来事に一喜一憂せず、自分の思考や感情をコントロールできると、
気持ちの切り替えが早くなる傾向があります。

③楽観的な視点を持ち、自分自身の本音・感情に気づいて大切にする


他者と比較することなく、自分自身が「今の自分」を認め尊重することで、
楽観的な視点を獲得し、物事を前に進めるための原動力につなげることができます。

自分の強み・弱み・思考や行動の傾向などを把握し、
自分の力を過小評価しないようにすることで、
失敗した時も自分の思考や行動を振り返り、次に活かそうと努力することが重要です。


企業のレジリエンスを向上させるための人材育成研修事例

レジリエンスを高めることのメリットには、

・ストレスと上手に付き合えるようになる
・心の健康を保つことができる
・環境の変化に振り回されず成長し続けることができる
・困難な状況でも自らモチベーションをあげられるようになる
・目標達成力が向上する
・職場の人間関係が良好になる

などが挙げられます。

組織のレジリエンスを高めるための取り組みには、
失敗を報告しやすい風通しの良い職場風土を整えたり、
フィードバック文化を醸成するなどがありますが、
人材育成研修も有効な取り組みのひとつです。

レジリエンス研修には、
主に若手向けに自分のレジリエンスを高めるためにおこなうものと、
リーダーや管理職向けに、
自分だけでなく部下やチームのレジリエンスを高めるためにおこなうものの、
2種類があります。
​​​​​​​

ここでは、前者の若手向けレジリエンス研修の事例をご紹介します。

テーマ:
レジリエンス研修

ねらい:
・思い通りにならないことや困難があっても、“折れない心”で対応できる考え方やスキルを
習得する

学びのポイント:
・ストレスとうまく付き合い、必要以上に落ち込まない方法
・ものごとのとらえ方を変える考え方
・言いにくいことを伝える工夫

内容:
①オリエンテーション

研修のねらいや進め方を確認します。また、グループ演習が多い研修なので、自己紹介や
アイスブレイクを通じて受講者同士のコミュニケーションを促進します。

②レジリエンスってなに
レジリエンスとストレスについて、それぞれ学びます。
ストレスの主な原因である人間関係については、グループ演習を通じて気づきを与え、
なぜ人間関係で心が折れてしまいそうになるのかを理解します。

③人間関係について理解する
人間関係がうまくいくコツを学びます。相手に高圧的だと思われないようにするために
必要なことやモチベーションを上げるコミュニケーション、良い関係構築について理解します。
そのために必要なスキルとして、言いにくいことを伝える手法を習得します。

④困難な状況でもモチベーションを上げるには
他者への理解やコミュニケーションスキルの習得だけではレジリエンスを高められません。
レジリエンスが高い人になるために、自分のものの見方を変える、リフレーミングの手法を
習得します。また、受講者が失敗して自信を失った時を思い起こし、自分を正当に評価し
自分をねぎらうことで、自己理解・自己受容を促進します。
自分と他者の両方を理解することで、レジリエンスを高めることができます。

⑤レジリエンスを高めるコツを身につける
レジリエンスを高めるために日々できることを学び、実際に体験もします。
感情との付き合い方や自分らしさの見つけ方、呼吸や運動の大切さまで様々な手法を習得します。

弊社では、個社ごとにフルスクラッチのカスタムメイドで研修をご提案しております。
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個社ごとに合った研修を、バリエーション豊富にプロデュースできます。
レジリエンス研修のバリエーションも豊富です。
本記事を参考に、是非自社に合った研修を実施してみてはいかがでしょうか。

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