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ダイバーシティ&インクルージョンが必要とされるのはなぜか



目次[非表示]

  1. 1.ダイバーシティ&インクルージョンが必要とされるのはなぜか
  2. 2.ダイバーシティとは
  3. 3.インクルージョンとは
  4. 4.企業がダイバーシティを推進するメリット
    1. 4.1.人材の確保
    2. 4.2.イノベーションの創出
    3. 4.3.生産性の向上、業績の向上
  5. 5.日本におけるダイバーシティ&インクルージョン推進の現状
  6. 6.ダイバーシティ推進を加速する動き
    1. 6.1.女性活躍・男女共同参画の重点方針2023
    2. 6.2.ダイバーシティ2.0
  7. 7.ダイバーシティ&インクルージョン推進の具体例
    1. 7.1.株式会社ローソン
    2. 7.2.株式会社資生堂
    3. 7.3.P&Gジャパン
  8. 8.企業がダイバーシティ&インクルージョンを推進する上での課題
  9. 9.D&I推進にはカスタムメイド研修をご利用ください

ダイバーシティ&インクルージョンが必要とされるのはなぜか

株式会社HRビジョンが発行している「日本の人事部 人事白書2020」(※1)によると、
ダイバーシティの必要性に関して、
従業員数5,001人以上の企業で、98.0%の企業が「必要」と
答えています。


1,001人~5,000人の規模の企業でも97.2%、
1~100人の規模の企業では下がりますが、それでも63.5%の企業が、
ダイバーシティが「必要」と答えています。

何故大多数の企業が、
ダイバーシティ&インクルージョンを推進する必要があると
思っているのでしょうか。

ダイバーシティとは

ダイバーシティは、日本語で「多様性」を意味します。
 
ダイバーシティを初めて提言した米国雇用機会均等委員会によると、
ダイバーシティの定義は、
「ジェンダー、人種、民族、年齢における違い」のことです。
 
これが時代とともにどんどん解釈が広がっていき、
現在では「個人間の違いすべて」を指すようになっています。

 
ダイバーシティの種類には、以下のものが挙げられます。
 
【表層的なもの】
・性別
・年齢
・出身地、国籍
・人種、民族
・価値観
・身体的特徴
 
【深層的なもの】
・働き方、勤務形態
・ライフスタイル
・コミュニケーションスタイル
・経歴
・教育
・趣味、嗜好
・意見
 
当たり前ですが、組織には多種多様な人材が所属しています。

この、「組織に多様な人材が集まっている状態」がダイバーシティです。

インクルージョンとは

インクルージョンは、
日本語で「受容」「包摂」を意味します。           
 

企業におけるインクルージョンとは、
「組織内全てのすべて人の考え方・知識・技能・経験などの能力が認められ、
活かされている状態」のことです。

 
組織に多様な人材が集まっている状態は、よいことのように思えますが、
逆に壁を作ってしまったり、反目しあったりなど、
ダイバーシティのメリットを活かせない場合も多くあります。

 
そこで、それぞれの個性を認めるだけではなく、
多様な個性をどうやってチームの成果として昇華していくのか、
というインクルージョンへの挑戦が必要なのです。

企業がダイバーシティを推進するメリット

同じく「日本の人事部 人事白書2020」のデータですが、
企業がダイバーシティを必要とする理由の
第1位は「人材の確保」でした。

次いで第2位が「イノベーションの創出」、
第3位が「生産性の向上」、
第4位が「業績の向上」と続きます。

人材の確保

多くの企業の採用サイトで、
ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みが紹介されています。

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが、
人材採用にとってプラスの影響があることは間違いなさそうです。

また、組織構成に多様性をもたせると、
採用条件が広がり、
これまで条件が合わずに不採用としていた人材にも門戸が開かれます。

例えば育児中の女性、シニア、障がい者、外国人です。

育児をしていた女性が、独自の視点からサービスを改善したり、
生み出したという例はよく聞きます。

シニア、障がい者、外国人の方でも
同様の話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

優秀な人材というのは、幅広い属性で多数存在しているのです。

イノベーションの創出

ミュンヘン工科大学とボストンコンサルティンググループの2016年の調査(※2)では、
ダイバーシティ&インクルージョンとイノベーションの創出には、
正の相関関係があることが認められています。

多様性が進めば進むほど、
新商品・サービスによる収入が多くなっていたのです。

また、同じ調査で女性管理職比率が20%を超えると、
イノベーションが起こりやすくなるというデータも発表されています。

特に欧米では、
ダイバーシティ&インクルージョンがイノベーション創出に欠かせない
重要な経営戦略として位置づけられており、
近年、日本でも同様の動きが活発になってきています。

生産性の向上、業績の向上

ダイバーシティ&インクルージョンが推進されると、
企業業績にはどのような影響があるのでしょうか。

ここでも興味深いデータが出ています。

2020年3月19日に発表されたマッキンゼーのレポート(※3)では、
経営層でのダイバーシティ&インクルージョンの推進と企業業績について書かれています。

ジェンダー(性別)ダイバーシティ&インクルージョンを推進している企業上位25%と
下位25%の収益を比較した時に、
前者のほうが25%も高かったそうです。

さらに、多民族でのダイバーシティ&インクルージョンを推進している企業での収益比較では、
推進している企業の方が、
なんと36%も高いという驚きの結果になったそうです。

 
アメリカのCloverpopという会社のホワイトペーパー(※4)では、
年代・性別・多国籍でダイバーシティ&インクルージョンが進めば進むほど、
会議の場で、結果として良い意思決定ができると報告されています。               
 
これらはすべてダイバーシティ&インクルージョンの推進は、
生産性の向上や業績の向上につながる可能性があることを示唆しています。


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日本における
ダイバーシティ&インクルージョン推進の現状

日本では、
ダイバーシティ&インクルージョンの浸透が遅れているとよく言われています。

例えば、世界経済フォーラムが毎年年末に発表している
「世界ジェンダー・ギャップ報告書」では、
日本は常に先進国の中で最低ランクに位置付けられています。

2023年版では146か国中125位と過去最低でした。
 

2018年の総務省の労働力調査(※5)によると、
女性の就業率と、潜在的労働力率の差を考えた時に、
女性の就職希望者は237万人もいます。

また、日本の女性管理職比率も世界に比べて
低い水準であることも良く知られています。
 

女性活躍というのは、
ダイバーシティ&インクルージョンのなかで、
最も推進されてきたテーマです。

その女性活躍ですら、
世界と比較するとかなり遅れているというのが日本の現状です。


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ダイバーシティ推進を加速する動き

女性活躍・男女共同参画の重点方針2023

そんな現状のなか、
女性活躍を加速させるために、
2023年6月13日に内閣府男女共同参画局より、
女性版骨太の方針2023』として、
女性活躍・男女共同参画の重点方針2023』が公表されました。
 
 
この方針の中では、
 
①女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けた取組の推進
②女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化
③女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現
④女性の登用目標達成(第5次男女共同参画基本計画の着実な実行)
 
について、政府全体として今後重点的に取り組むべき事項が定められています。
 
 
特に上記①については、
企業における女性登用の加速化を目指して、
プライム市場上場企業を対象とした
女性役員比率の数値目標が明記されました。

ダイバーシティ2.0

経済産業省では2018年6月に、「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン改訂版」(※6)を
策定しました。
 
中長期的に企業価値を生み出し続けるダイバーシティ経営の在り方について検討をおこない、
企業が取るべきアクションをまとめたこのガイドラインでは、
「ダイバーシティ実現のための4つの重要ポイントと、
[​​実践のための7つのアクション」や
「企業がダイバーシティを推進することによる4つの効果」
が示されています。


4つの重要ポイント
①中長期的・継続的な実施と、経営陣によるコミットメント
②組織経営上の様々な取組と連動した「全社的」な実行と「体制」の整備
③企業の経営改革を促す外部ステークホルダーとの関わり(対話・開示等)
④女性活躍の推進とともに、国籍・年齢・キャリア等の様々な多様性の確保
 

7つのアクション
①経営戦略への組み込み
②推進体制の構築
③ガバナンスの改革
④全社的な環境・ルールの整備
⑤管理職の行動・意識改革
⑥従業員の行動・意識改革
⑦労働市場・資本市場への情報開示と対話
 

4つの効果
①グローバルな人材獲得力の強化
②リスク管理能力の向上
③取締役会の監督機能の向上
④イノベーション創出の促進

ダイバーシティ&インクルージョン推進の具体例

株式会社ローソン

大手コンビニチェーンの株式会社ローソンは
「ダイバーシティ&ワークライフバランス宣言」を掲げ、
ダイバーシティの推進と社員のワークライフバランスの実現を目指しています。
 
具体的には以下の取り組みに注力しています。
 
・女性社員の積極採用
・外国籍社員の積極採用
・障がい者雇用の促進
 
また、男性社員の育児休業取得促進の取り組みもおこなっています。

出生時育児休業(産後パパ育休)に加え、
上限5日まで休業できるローソン独自の短期間育児休業制度をつくり、
男性の育児参加を後押ししています。
 
参照:『従業員との関わり』

株式会社資生堂

大手化粧品会社の株式会社資生堂は、
女性の活躍支援やLGBT支援、障がいのある社員の活躍支援、
外国籍社員の活躍支援などをおこなうことで
ダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。

 
女性の活躍支援では、
女性社員の人材育成強化をはじめ、事業所内保育所や保育料の補助、
有給が認められる子どもの看護休暇制度の整備などをおこなっています。

 
また、女性リーダー育成にも力を入れており、
2017年から女性リーダー育成塾を開催しています。
 

障害のある社員への支援にも力を入れています。
障がいのある社員に対して
「職場の貴重な人材として成長を期待する」としており、
採用の際は障がいを考慮した選考プロセスや、
障がいのある方専用のインターンシップを実施しているそうです。
 

参照:『ダイバーシティ&インクルージョン』

P&Gジャパン

大手日用品メーカーのP&Gジャパンは、
1992年から30年以上にわたって、ジェンダー平等やダイバーシティ、
個々の違いを尊重し受け入れる「インクルージョン」を推進している、
先進的な企業です。

 
2000年にはフレックスを導入し、
2021年からは居住地を柔軟に選択でき、
日本のどこからでも働くことを可能にするなど、
働き方改革にも積極的に取り組んでいます。

 
2013年には女性管理職比率30%も達成しています。

 
そんなP&Gでは、
2016年に社外啓発組織の「P&G ダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト」を
立ち上げ社外への啓発に取り組み始めました。

 
外部講演やシンポジウムへの登壇、
また研修プログラムを社外へ無償提供することにより、
積極的なダイバーシティ&インクルージョン推進をおこなっています。
 

参照:『ダイバーシティ&インクルージョンから
イクオリティ・インクルージョンへの継続的な取り組み』

企業が
ダイバーシティ&インクルージョンを推進する上での課題

ダイバーシティ&インクルージョンを推進したいけど、
思うように進まない・・・、とお悩みの企業は多いかと思います。


中でもよく聞く課題は、
 
・社内の理解不足
・経営層の本気が感じられない
・現場が協力してくれない
・変化を求める社風ではない
 
などが挙げられます。
 
これらの課題は、
以下の4つの象限に分けることができます。


特に重要なのが、「組織の内面」と「個人の内面」です。

D&Iを推進する制度や体制をつくったとしても、
経営層や管理職層が本気で推進しようとしなければ、活用されることはありません。

また、社員自身も変化に前向きになり、自分でキャリアを描こうとしなければ、
企業の取り組みが無駄になってしまいます。
 
ダイバーシティ&インクルージョンは、誰もが働きやすい風土への変革です。
その風土を作り出すのは、その企業で働いているメンバー全員です。

ですから、ダイバーシティ&インクルージョン推進を成功させる、
つまり風土改革を成功させるためには、一人一人の主体性や当事者意識が重要です。


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D&I推進にはカスタムメイド研修をご利用ください

D&I推進を目指して実施する育成プログラムの情報収集をされている方は、
15年の実績があるエナジースイッチをぜひご利用ください。
 
エナジースイッチは、研修成功の2大要因である
「研修プログラム」と「トレーナー」の両方を、
フルスクラッチでゼロから提案している、業界でも非常に珍しい研修会社です。
 
「研修をカスタマイズします」というのはどの研修会社も使っていますが、
その中身は実は会社ごとにまったく異なります。
 
せっかく費用をかけて研修を実施するのであれば、
自社にできる限りフィットした研修を実施していただきたいと考えています。
 
以下の資料に、自社に100%フィットする研修会社の選び方をまとめています。
ぜひご活用ください。



【参考文献・WEBサイト】
※1「日本の人事部 人事白書2020」株式会社HRビジョン
※2「The Mix That Matters Innovation Through Diversity」boston consulting group
※3「Diversity wins: How inclusion matters 」McKinsey & Company
※4「Inclusion + Diversity = Better Decision Making At Work」Cloverpop
※5「労働力調査」「労働力調査(詳細集計)」総務省
※6「ダイバーシティ 2.0 行動ガイドライン」経済産業省

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