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女性活躍推進とは ~女性活躍推進法など女性リーダーを増やすための人事施策の基礎知識・法律編~


目次[非表示]

  1. 1.女性リーダーを増やすための人事施策の基礎知識(法律編)
  2. 2.日本における男女共同参画の基礎知識
    1. 2.1.男女共同参画の始まりと背景
    2. 2.2.男女共同参画の進展 
      1. 2.2.1.男女雇用機会均等法
      2. 2.2.2.男女共同参画社会基本法
      3. 2.2.3.女性活躍推進法
      4. 2.2.4.育児・介護休業法
    3. 2.3.男女共同参画の現状
      1. 2.3.1.女性活躍・男女共同参画の重点方針2023
  3. 3.女性リーダーを増やす必要がある理由
    1. 3.1.多様性による企業成長
    2. 3.2.女性登用におけるロールモデル化
    3. 3.3.社会や企業内評価における公正性の向上
  4. 4.具体的な施策検討の前に、社内理解を育む
  5. 5.女性リーダーを増やすために人事ができること
  6. 6.女性活躍推進研修ならカスタムメイド研修をご利用ください

女性リーダーを増やすための人事施策の基礎知識
(法律編)


2023年4月27日、岸田総理は男女共同参画会議で、
2030年までにプライム市場に上場する各企業における女性役員の割合を
30%以上にするという目標を掲げました。


こういった政治の動きからも明らかなように、
今後のビジネスには、
女性リーダーを積極的に登用していくことが強く求められてきます。

とはいえ、人事として女性リーダーを増やすということに
頭を悩まされている担当者の方も多いのではないでしょうか。



内閣府の発表によれば、
女性役員の割合が30%に達しているプライム上場企業は、
わずか2.2%(2022年7月)しかありません。

そういった現状を鑑みれば、
このコラムを読んで頂いているあなたの職場でも、
女性役員や女性管理職は決して多くないというのが
実際のところではないでしょうか。


日本における男女共同参画の基礎知識

人事として、
まずは日本における男女共同参画施策の歩みを知っておくことは、
女性リーダーを登用するために押さえておきたい
基礎知識の一つです。

どのような経緯で男女共同参画が重視されるようになり、
今に至るようになったのか、
まずはこの概要から解説していきます。


男女共同参画の始まりと背景

日本の男女共同参画制度の始まりは、
1960年代に遡ります。


日本が高い経済成長率を記録し始め、
高度成長期に入った当時、
国民所得の拡大に加えて科学技術が大幅に進歩し、
多くの家電製品が家庭に普及し始めました。
 
これにより、男女を問わずライフスタイルが大きく変化し、
特に女性の家庭内労働時間が減少し始めます。

働けば稼げる行動成長という時代と、
女性の可処分時間の増加。

この両輪ががっちりと揃って回り出したことで、
女性の社会進出が後押しされることになります。
 

しかし、それは同時に日本社会が
女性の社会進出の困難さを浮き彫りにする端緒ともなりました。

皮肉なことに女性が社会進出するほど、
「女性の社会進出の困難さ」
がクローズアップされていくことになったのです。

ここから女性の社会進出を促進し、
ジェンダー平等を実現するための政策の必要性が
浮き彫りにされました。


男女共同参画の進展 

前述のように、
女性の社会進出が始まった1970年代後半~1980年代にかけて、
女性労働者の待遇改善やキャリア支援などを目的とした
様々な法律や政策が導入されました。

法律的に言えば、
下記の各法律が必須の知識と言ってよいでしょう。

男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法は1985年(昭和60年)に制定され、
翌年に施行されました。

この法律の目的は、
男女の雇用機会の均等な確保と、
特に女性の妊娠中や出産後の健康確保が目的に掲げられており、
またその理念として女性が
「母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むこと」
を謳っています。
 


(目的)
第一条 この法律は、法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのつとり
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、
女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を
推進することを目的とする。


(基本的理念)
第二条 この法律においては、
労働者が性別により差別されることなく、
また、女性労働者にあつては母性を尊重されつつ、
充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。


2 事業主並びに国及び地方公共団体は、
前項に規定する基本的理念に従つて、
労働者の職業生活の充実が図られるように努めなければならない。
(男女雇用機会均等法)


男女共同参画社会基本法

1999年(平成11年)には、
男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進する
ことを目的として、
男女共同参画社会基本法が制定されました。


この法律では、男女共同参画社会の形成を、

「男女が、社会の対等な構成員として、
自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、
もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を
享受することができ、かつ、
共に責任を担うべき社会を形成すること」

と定義した上で、
形式的な平等にとどまらない実質的な機会の平等を推進することが求められており、
社会のあらゆる分野における

「活動に参画する機会に係る
男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、
男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供すること」
(これがいわゆる「ポジティブ・アクション」となります)

を含む施策を講ずる責務が国に課されることになりました。

これにより、国が行うあらゆる施策において
「男女共同参画」が根底に流れることになりました。


そのため、この「男女共同参画基本法」は
非常に重要な法律と位置付けられます。


女性活躍推進法

女性活躍推進法は、
男女雇用機会均等法を受けて 2015年(平成27年)に成立、
翌2016年4月に施行されました。


この法律は、企業に対して女性の活躍推進を求め、
女性管理職の比率向上や
ワーク・ライフ・バランスの実現を目指しています。


大企業には女性管理職比率の目標設定が義務付けられています。

特に、多くの企業が、
女性活躍推進法に基づいて女性活躍推進プランを策定し、
具体的な目標と取り組みを進めており、
企業内でのジェンダー平等の実現をめざしています。

女性活躍推進法については、以下のコラムから詳しく知っていただけます。



育児・介護休業法

育児・介護休業法は、
人事担当者なら必須と言える法律ですが、
法律で求められる施策についての理解があっても、
意外と法律の目的や理念については
あまりご存じない方が多いのが現状です。

この機会に合わせて
育児・介護休業法の目的、理念そして責務についても、
しっかりと押さえておきましょう。


(目的)
第一条 この法律は、育児休業及び介護休業に関する制度並びに子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を設けるとともに、子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めるほか、子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする。
(基本的理念)
第三条 この法律の規定による子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉の増進は、これらの者がそれぞれ職業生活の全期間を通じてその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むとともに、育児又は介護について家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるようにすることをその本旨とする。
2 子の養育又は家族の介護を行うための休業をする労働者は、その休業後における就業を円滑に行うことができるよう必要な努力をするようにしなければならない。
(関係者の責務)
第四条 事業主並びに国及び地方公共団体は、前条に規定する基本的理念に従って、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉を増進するように努めなければならない。
目的をしっかりと押さえておくことが必要です。育児休業や介護休業の取得を促進し、男性も含めた多様な働き方をサポートすることを目指しています。
(育児・介護休業法)


これらの制度や政策は、
日本における男女共同参画の進展を示しており、
より多様な職場環境と社会の実現を目指しています。

とはいえ、課題はまだまだ残されており、
持続的な取り組みが求められていることはいうまでもありません。

▼女性のキャリアの柔軟性を広げるための解決策はこちらからご覧ください


男女共同参画の現状

女性活躍社会を実現すべく
多くの制度や政策が実施されてきましたが、
日本の女性活躍は他の先進国にくらべてまだまだ遅れているのが現状です。

たとえば、2003年には、
当時の小泉内閣のもと、男女共同参画推進本部で

「2020年までにあらゆる分野の指導的地位に女性が占める割合が、
少なくとも30%程度になることを期待する」

と具体的な数値目標が示されましたが、
結果は、2020年の段階で民間企業の女性管理職比率が、
課長相当で11.4%、
部長相当で6.9%にすぎませんでした。


女性活躍・男女共同参画の重点方針2023

そんな現状のなか、
女性活躍を加速させるために、
2023年6月13日に内閣府男女共同参画局より、
『女性版骨太の方針2023』として、
『女性活躍・男女共同参画の重点方針2023』が公表されました。
 

この方針の中では、

①女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けた取組の推進
②女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化
③女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現
④女性の登用目標達成(第5次男女共同参画基本計画の着実な実行)

について、政府全体として今後重点的に取り組むべき事項が定められています。
 

特に上記①については、
企業における女性登用の加速化を目指して、
プライム市場上場企業を対象とした
女性役員比率の数値目標が明記されました。

具体的には、プライム市場上場企業を対象に、
令和5年中に取引所の規則に
以下の内容の規定を設けるための取組を進めると
記載されています。

・2025年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める。
・2030年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す。
・上記の目標を達成するための行動計画の策定を推奨する。
 

また、上記②については、

・平時や育児期を通じた多様で柔軟な働き方の推進
・女性デジタル人材の育成などリスキリングの推進
・地域のニーズに応じた取組の推進

を通じて、
女性がキャリアを継続できる環境づくりを目指すとされています。



女性リーダーを増やす必要がある理由

既に述べたように、
日本における女性の社会進出は、
高度成長期と科学技術の進歩がそのきっかけとなっていますが、
現在における女性の社会進出は、
多様性や企業成長の観点からも重要です。

それは、女性がリーダーのポジションに進むことにより、
以下の点が得られる可能性が高いとされているからです。

多様性による企業成長

第一に、
多様なバックグラウンドや経験を持つ女性リーダーが存在することで、
組織の意思決定に多面的な視点が取り入れられます。

異なる視点が交わることで、
新たなアイデアや創造的な解決策が生まれ、
組織の成果を向上させる助けとなります。

女性登用におけるロールモデル化

第二に、
女性リーダーの存在は、
他の女性社員にとってもロールモデルとなり、
キャリア目標を追求する意欲を高める要因となります。

これにより、女性社員のモチベーションが向上し、
組織内の女性のリーダーシップパイプラインが拡大します。

社会や企業内評価における公正性の向上

ジェンダーダイバーシティの推進は
社会的な公正と平等を促進する手段としても重要です。

男女平等の実現は、
社会全体にポジティブな影響を与えると同時に、
男女の評価における公正性が高まることで、
組織内外からの信頼性や企業価値を向上させます。


具体的な施策検討の前に、社内理解を育む

女性リーダーの増加は、
日本におけるビジネスの健全な成長の促進が見込まれます。

女性リーダーの増加による
多様なリーダーシップスタイルやスキルの組み合わせは、
組織の適応力を高め、
組織の持続可能な成功と多様性の向上に資することとなり、
ひいては競争優位性を維持するのに役立つからです。

 
なぜ女性の社会進出(男女共同参画)が必要とされるのか…

具体的な人事施策にばかり目が向いてしまうと、
職場内での軋轢のきっかけにもなりかねません。

そして法律にはかならず「目的」があります。
この「目的」(理念)をしっかりと押さえ、
社内理解を図ることで、
よりスムーズな女性リーダー登用が可能になってくるのです。


女性リーダーを増やすために人事ができること

女性活躍を推進し、
女性リーダーを増やすために人事ができることのひとつに
『企業研修』があります。


女性活躍推進研修には、
女性管理職比率に合わせて以下の3つのフェーズがあります。

 
・女性管理職比率10%未満の企業におすすめの研修
・女性管理職比率が10~20%の企業におすすめの研修
・女性管理職比率が20%以上の企業におすすめの研修
 

以下のコラムから、それぞれ詳細な内容を知っていただけます。


女性活躍推進研修なら
カスタムメイド研修をご利用ください

女性活躍推進研修の情報収集をされている方は、
ぜひエナジースイッチをご利用ください。


 
エナジースイッチは、研修成功の2大要因である「研修プログラム」と「トレーナー」の両方を、フルスクラッチでゼロから提案している、業界でも非常に珍しい研修会社です。


「研修をカスタマイズします」というのはどの研修会社も使っていますが、その中身は実は会社ごとにまったく異なります。
 
せっかく費用をかけて研修を実施するのであれば、自社にできる限りフィットした研修を実施していただきたいと考えています。

 
とくに女性活躍推進は、
企業や部署、社員の現状によって最適な打ち手が大きく異なります。

課題とありたい姿から、
最適な打ち手を選択するためには、
ゼロからつくるカスタムメイド研修が最善です。

 
以下の資料に、自社に100%フィットする研修会社の選び方をまとめています。
ぜひご活用ください。



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